2013/04/25

「ヤッソ800」インターバル走でフルマラソンのタイムを予想してみた

前回の記事でも少し触れましたが、Yasso 800s(ヤッソエイトハンドレッズ、ヤッソ800)とは、Bart Yassoさんが発明した画期的なインターバルトレーニング。マラソンの練習&タイム予測方法としてわりとポピュラーらしいです。(関連記事:タイム予測シミュレーターいろいろ



 
この人がYassoさん。
Runner's World誌のCRO(チーフ・ランニング・オフィサー(!))だそうです。

練習方法

 

やり方はとても簡単。

フルの目標タイムがX時間Y分の人は、X分Y秒のYassoを練習します。

400mトラック2周をX分Y秒で走り、さらに1周をX分Y秒で走るだけ。これを最初の練習(マラソンの4,5ヶ月前)は3~5セットからはじめ、徐々にセット数を増やしていき、最終週(マラソンの3~5週間前)は10セット出来るようにします。



逆に、もし平均X分Y秒を10セットできれば、

マラソンのタイムはX時間Y分だと予想できるとか。

例えばX=3, Y=30とすると、
2周を3分30秒で頑張って走り、1周を3分30秒でゆっくり走る・・・
というのを10本こなせればフルを3時間30分で走れそうだということみたいです。
4分ならフル4時間ですね。

こんな感じで単純で覚えやすいので、流行っているんですかね。

注意点、改良方法

ただ、いくつか注意すべき点もあるようです。Tennessee Running誌のDave MilnerさんによるWhy Yasso 800s are overrated(なぜYasso 800sは過剰評価されているのか?)という記事を、コンテキストを補完しながら意訳でまとめてみます。
  • Yasso 800sはスピード系指標VO2max(最大酸素摂取能力)の向上に役立ち、(切りの良い数字は一見デタラメに見えても)Jack Daniels氏の表によるVO2maxの良い近似を与えているという裏付けがある。一方マラソンはLTより下のペースの有酸素運動なのでスタミナ系。つまりYassoはスピード重視の運動結果でスタミナ重視の運動結果を予想しようとしている。
    •  私のコメント:Daniels表予測にも同じことが言えると思いますが、上の理由から、ちゃんとロング走をやって走り込んでいる人のほうがいい推定値を与えそう。
  • 近年のマラソンランナーは一般的にスタミナよりスピードのほうが鍛えられている。スピードはすぐ身につくがスタミナ(有酸素系)は鍛えるのに何年もかかる。この差から言えることは、Yassoのようなスピードテストでの成績を用いても、必ずしもスタミナ能力が必要なマラソンパフォーマンスを正確に予測できるわけではない、ということ。
  • Yasso 800sはいいトレーニングだが、ベストなマラソントレーニングではない。Yassoと同ペースで1200~1600mを多めのセット数でこなしたり、LTペースで1600~3200mをリカバリ短めでやるとより強くなるだろう。
    • 私のコメント:これは大変そう・・・。時間効率だけで考えたら坂道インターバルや数十秒単位のHIITなどさらに激しいインターバルもあるみたいですが、私のようなレベルのランナーには負荷が強そう。
  • Greg McMillan氏によると、実際のマラソン結果はYasso推定タイムより5~7分遅くなるという。筆者(Dave Milner氏)にいわせると多くの人は10~15 分かそれ以上遅くなる。
  • RW誌の記事通り盲目的にYasso 800sを信じるのは良くない。それより良い推定法は、マラソンの6~8週前にハーフを走り、そのタイムの2倍に6~10分(週間走行距離で微調整)を足すことだ。
    • 私のコメント:そりゃ8kmより21km、さらには42kmに近ければ近いほど正確な予想ができるでしょう。ハーフTTって私レベルだと全然気軽じゃないです・・・。
  • Yasso 800sの改良方法
    • 10 × 800mをリカバリタイム短めで。(サブ2:45ランナー: 30秒リカバリー、2:45-3:00: 60秒、3:00-3:15: 90秒、3:15-3:30: 2分、3:30-3:45: 2分30秒、3:45-4:00: 3分).
    • ラダー・インターバル: 1000-1000-1200-1600-1200-1000-1000m (計8000m) を同じリカバリタイムで。
    • 8 × 1000m または 5 × 1600m をYassoペース、同じリカバリタイムで。

さらに詳しく知りたい人へ

Yasso 800sについてもっと知りたい方はRunner's Worldのこの記事が詳しいです。

Yassoさんが個人的にやっていたトレーニングに、1968年のボストン・マラソン優勝者でRW誌編集者のAmby Burfootさんが「Yasso 800s」と名付け、2:09のトップランナーから4時間台の人までいろいろ試して調べた、というような経緯が書いてあります。


Yassoさん本人による解説動画も貼っておきます。







ちなみにYassoさん、各地のマラソン大会を旅して回っているそうです。
Twitterでピッツバーグマラソンに来るか尋ねた人がいたのですが、残念ながらバンクーバーマラソンに行ってしまうそうです。




実際にやってみた

さて前置きが長くなりましたが、今日はYasso 800sデビューしてみました。
本来最初の練習は3~5repsから始めるところを、無茶をして10repsで
3分30秒目標(フル3時間半)でできるか試してみました。

トラックに行き、Garmin のAuto Pauseをoff、Auto Lapを400mにして準備完了。

rep
fast run
800m
easy run
400m
1 03:24 03:29
2 03:27 03:21
3 03:32 03:28
4 03:28 03:30
5 03:27 03:29
6 03:25 03:24
7 03:28 03:24
8 03:26 03:21
9 03:21 03:26
10 03:23 -
mean 03:26 03:26

なんとか10repsできました。
3:26/800m = 4:18/kmペースですね。
(注:)

急走・緩走はたまたま同じ平均タイムになりました。
(緩走はLSDよりゆっくりで逆に難しかったです。)

Yasso 800sによればフルの予測タイムは3時間26分!
上の記事によるとこれにプラス補正がかかるようですが、
果たしてどのぐらい増やせばいいものやら。

筋肉痛もなくまだ早くできそうですが、疲労を残してもまずいのでこれぐらいにしておきます。


本日 14.5km 月間 238.6km
ピッツバーグマラソンまであと10日
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