2013/07/09

週3ポイント練メソッド最強説(?)

おとといのエントリーでこんなことを書きました。
今月の距離目標は300km。毎日10km走るより、長い距離とオフを組み合わせる方針にしてみました。
7月1週目の練習は、オフ - 20km - オフ - 20km - オフ - 30km - オフ。
果たして、こういう一日置きで、週3回か4回ぐらいの練習っていいのでしょうか・・・?というエントリーです。

コーチの経験則

偶然、昨日のコンペティター誌web版に「The Secret To Running Success: Three Runs Per Week」という記事が載っていました。週3、4回走るほうが、週6、7回走るより速くなるかもしれないとのことです。

そういう方針でランとトライアスロンのコーチをしているNeil Cook氏が書いた記事で、このコーチのいるクラブの練習メニューは、
  • 月曜:スプリント系のスピード練
  • 水曜(週3だと足りない人用):テンポ走(ここでの定義は、レース以下の距離をレースペース以上で走る)
  • 木曜夕方:坂道練(インターバル、タイムトライアル、上り400mスキップ&下りお尻を踵で蹴るbutt kicks)
  • 土日どちらか:ロング走
と紹介されています。トライアスリートは空いている日にスイム・自転車をするのがいいそうです。

これはRW誌でJenny Hadfieldコーチの勧めていた「フルマラソンの記録を向上させる3つの方法」の2つの方法を組み合わせた感じですね。

私の場合はスピードよりスタミナをとにかく強化したいので、スピード練は抑えめでいいかな…。昨日の練習でお尻が痛くなるということは、坂での対策が有効かもしれないので、坂道練は負荷に気をつけながら一度試してみたいと思います。

それにしても坂道スキップって(笑)。久しぶりに「スキップ」っていう単語を聞きました。いやー、1人でスキップしながら坂道上るのは恥ずかしすぎます・・・。

それとも、陸上業界で「スキップ」は特別な走り方を指す用語だったりするんでしょうか?元記事には"skipping", "skip up"とありました。このコーチのクラブでは集団で坂道をスキップをしているのでしょうか・・・?謎です。

追記:ほんとにスキップしてる動画ありました。2人だと楽しそうですが1人はやっぱりちょっと・・・

スポーツ科学の裏付け

他にも、このブログで何度か引用させていただいてる筑波大・鍋倉先生の記事にも同様の話題が。

——どのくらいの頻度で走ればいいのですか?
「ちょっとクイズを出しましょう。どちらだと思いますか?
Q. 1週間の運動量、マラソンに向いているのは?
A. 5キロ×7日=35キロ
B. 10キロ×3日=30キロ
『マラソンに向いているトレーニング』としたのは、ダイエットや健康のための走り方とは違うからです。長距離を走り抜くためには、トレーニングで過負荷(オーバーロード)をかけることが必要になります。より強い体力をつけるために『運動→疲労→休養→回復→超回復(※)→運動』の習慣をつけないといけないのです。ですから答えはB。

練習を距離ベースで考えるとなかなか見えてこないですが、いわゆる筋トレ(筋肥大目的)だけじゃなくて、長距離ランナーのポイント練習にも超回復は重要なんですね。目からうろこでした。

高齢ランナーの語る記録向上の秘訣

こういう低頻度高負荷の練習は、回復スピードが遅めのランナーさんにも合っているみたいです。

例えば先週の50歳以上のすごいランナーのエントリーでとりあげた71歳のJohnny Ouweleenさん。この方は65歳でシリアスランナーとして目覚め、65歳でフルマラソン3:39:43、67で3:27:53、71で3:20:17と加齢に負けずPRを更新しているんですが、頻度を抑えて長距離を走る練習方法が秘訣だとか。

週3で週65km走っていて伸び悩み、速いマスターズランナーの助言で週3のまま80km~95kmをずっと続けていたら、年代別入賞をするぐらいの成績が出たそうです。その後、週4に頻度を上げて110km走るようになったとか。その練習量は、火曜32km、木曜32km、金曜16km、日曜32kmだそうで、スプリント、ファルトレク、テンポ走なども取り入れているそうです。

雑感

まとめると、適度な負荷を掛ける練習をしたほうが伸びる、休養(超回復)も練習と同様に重要、そしていろんな練習を取り入れるといい、といったところでしょうか。

経験則豊富なコーチ、客観的データ・理論に重きを置くスポーツ科学者、そして実際に成果を出したランナー個人の三者が、低頻度高負荷がいいといっているのが興味深いです。

ただ、練習方法全般に言えることですが、個人差があるので、誰しもに合った究極の方法っていうのはないと思います。ポイント練を増やすと怪我しそうな人は低頻度低負荷がいいかもしれませんし、トップレベルランナーはつなぎジョグもいるかもしれませんし、初心者は伸びしろが大きいのでどんな練習をしても走ってれば伸びるっていう意見もあるかもしれません。

もちろん「疲れる練習を平日からやりたくない」「毎日ちょっとずつのほうがモチベーションが保てる」「タイム向上には興味はなく、ダイエット・健康目的のみ」という方は、無理に練習方法を変える必要はないと思います。

でも、伸び悩んでいる方、効率良く効果的なトレーニングをしたい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。すでにこんなの常識だよ、って方にはすみません><

あと最大の問題は、平日にまとまった時間が取れるかですね。ただ、着替え時間やシャワーなど、ラン以外にかかる時間は低頻度のほうが節約できるので、トータルで見ると時間的には得かと。夏は日の出前から起きられるかもポイントですね。

自分的にはまだ結果がでていないので、タイトルには「?」をつけときましたw でも当分はこの方法で試してみたいと思います♪ というわけで、今日はランオフ、補強オンリーです。

追記:高負荷・低頻度練習の追加事例

■メアリー・ケイン選手:週間走行距離100km以下で全米高校記録

メアリー・ケインは世界陸上2013に歴代最年少(17歳)でアメリカ代表に選ばれた注目選手(英語版wikipedia)。5000m女子の全米高校記録15:45.46を保有する、800m~5000mの選手です。Sports Illustrated via 世界の中長距離によれば、
最大週間走行距離は現時点で60マイル
ちなみに5000mは私みたいに陸上競技に詳しくない人からすると短く見えますが、分類的には立派な長距離のようです。例えば男子マラソンの元世界記録保持者のハイレは5000mの元世界記録保持者でもあります。

高校の陸上部は倍ぐらいの距離を走っている人もいると聞いたので、それを考えると驚異的な効率です。

追記:2013年11月、ケインのオレゴン・プロジェクト加入が発表されました(ソース)。今後も大注目の選手ですね。

■川内選手:1部練、月間走行距離60%以下

東洋経済ONLINE:"公務員ランナー"川内優輝のマネジメント力によると、
「僕は実業団選手のように多くの練習時間を確保できませんし、朝練習もやっていません。練習量も少ないです。強度の高いポイント練習も水曜日と土曜日の2回だけ。水曜日がスピード練習(400mや1kmのインターバル走など)で、土曜日が距離走(30~43kmのペース走やビルドアップ走など)というのが流れです。あとの5日間はすべてジョグになります。ポイント練習は週に2回だけですから、そのときはいつも以上に集中して取り組んでいます」
実業団選手は恵まれた環境の中で、月間1000km以上の距離を走る選手もいるが、川内の月間走行距離は600kmほど。
毎日のように走っているそうですが、トップレベルの選手は1日2回の2部練が主流の中、1部練を採用。超トップアスリートにしては低頻度、そしてポイント練習に集中して負荷をかける練習方法のようです。

■ギャロウェイさん:「25万人見てきたけど、週3回の練習頻度が一番怪我が少ないよ」

ジェフ・ギャロウェイ氏は元オリンピック選手。怪我を最小限にするギャロウェイ式トレーニングで知られていて、30年間で25万人のランナーがこのトレーニング法で練習してきているそう。eA式の鈴木彰氏もブログで「アメリカを代表するカリスマコーチ」と呼ぶような人です。ちなみに私の地元ランニングクラブ(SCRR)でも、ギャロウェイ式で練習するグループがいます。

このギャロウェイ氏がコンペティター誌に寄稿した記事で、「週3回の練習頻度が一番怪我が少ない」「ランの間に48時間置くこと(つまり一日置き)が、脚のダメージ回復に魔法のように効く」と書いていました。

■小出監督:「マラソンは毎日走っても完走できない」

コメント欄にて教えてもらいました。
小出義雄監督の「マラソンは毎日走っても完走できない」って本を読んだのだけど、そこにも、一週間のうち追い込む日と休養(or軽いジョギング)の日を作るといいって書いてあったよ。
Ishidaくん、サンクス!




■「月間たった80kmで2時間46分」

走る距離を減らす分クロストレーニング(自転車など)を入れるのが特徴のトレーニングのようです。

この本で提唱されているようです。


この練習メソッドの実績(アマゾンより):
☆月間走行距離80kmで2時間46分38秒(著者)
☆走行距離を半分に減らして自己ベスト更新(35歳女性)
☆自己ベストを30分以上短縮、サブスリー目前(39歳男性)


他にも実体験、事例などをご存知の方はコメントで教えていただけると幸いですm(__)m




追記:私が実際にこの週3(一日置き)の練習をしている過程は、こちらの記事にて。

追記:人によっては毎日走るのが悪いわけでは決してありません。プロアスリートレベルだと、大半の選手は毎日のように走ってるはずですからね。参考までに、「ボディービル用トレーニングの基本は2日間のレストですが、ランナーはなぜ毎日走るのか?」というディスカッションがreddit(英語)にありました。要約すれば、筋肥大が目的か心肺強化が主か、というところに行き着きそうです。市民ランナーレベルだと、故障へのリスクをどれだけ取るか、という点も重要。


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2 件のコメント:

  1. 小出義雄監督の「マラソンは毎日走っても完走できない」って本を読んだのだけど、そこにも、一週間のうち追い込む日と休養(or軽いジョギング)の日を作るといいって書いてあったよ。
    例えばオリンピック選手の練習メニューとかも紹介されていて、追い込む日が3日、その他の日は休養やジョギングな感じだった(さすがにオリンピック選手ともなると日ごとのメニュー粒度ではなくて、午前午後の粒度だったけど)。

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  2. >Ishidaくん
    そんなズバリな本があったんだね・・・!ってことはランナーの間ではかなり常識なのかな。それをドヤ顔でエントリーしてしまって恥ずかしいw 次日本に帰った時探してみるよ!

    小出道場とかランニングスクール+Qとかのウェブで読める練習メニュー見たときに思ったのは、結構平日普通に走って週末にまとめてポイント練な感じがしたけど、対象読者が社会人だとどうしても時間的制約でそういう練習になるのかなー?

    いわゆるつなぎジョグ/疲労抜きジョグ/アクティブレストがどのくらい効くのか、検証してみたいところ^^

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