2013/11/29

裸足系vsクッションたっぷりシューズ、フォームに違いは出るか?

全然違う種類のシューズを履いたら、フォームに違いは出るでしょうか?ほんの一例ですが、海外人気ブロガー、ランブロガーさんのブログにそんな内容の面白い記事が載っていました。

マキシマリストシューズとミニマリストシューズ


タイプの違う3足


1足目はHoka One One(ホカワンワン/ホカオネオネ)という、クッションを「これでもか!」というぐらい入れているシューズ。

見た目は、ずんぐりむっくりな感じ。
この厚底ソールのボリュームは普通のシューズの2.5倍だとか。

「ミニマリスト」の反対なので、海外メディアは最近「マキシマリスト」シューズと呼ぶこともあるようです。

ホカオネオネ
(写真:Hoka One One - Stinson Tarmac)

踵着地でもコロリンっと、スピードを殺さないで走れるような形状にデザインされています。

ホカオネオネ


ウルトラマラソン・トレイルレースで人気のシューズのようです。
2010年のハセツネ(日本を代表するトレイルランニングレース)で優勝したアスリートが着用していたシューズ
100kmを超えるウルトラマラソンやトレイルレースでの着用者が多いのは、このシューズが着地時の衝撃を確実に吸収し、脚への疲労を軽減していることを証明しているといえる。
優れたクッション性に加えて約300g(26.5cm)と軽く、トップアスリートだけでなく「これまでのシューズではヒザなどが痛くなってランニングを諦めていた」というビギナーランナーにもいいかもしれない。
(引用元:日経トレンディネット - バネ内蔵、超厚底…“異色ランニングシューズ”が続々日本上陸!

追記:ホカワンワンは間違った読み方と思いきや、Hoka One One社の公式Youtube動画内ではホカワンワンと言っているので、英語圏ではこっちのほうが正しいようです。



2足目はK-Swissのありきたりな練習用シューズ。


3足目はVivoBarefootの裸足系シューズ。

1足目の対極にあるようなシューズで、クッション機能などを最小限にしたシューズです。この系統では裸足感覚のビブラムファイブフィンガーズが有名ですね。

VovoBarefoot - Evo

裸足系・ミニマリスト系シューズ(※両者は厳密にはちょっと違います)はソールが薄いので、こういう風にぐにゃっと曲がるのが特徴。

裸足系・ミニマリスト系シューズ
(写真:VovoBarefoot - Evo)

Evoの重さを調べてみると、230g(サイズ不明)。ターサージールがサイズによって150~180gぐらいなので、意外と軽くはないんですね。

この手のシューズはソールの厚さや、踵・つま先の高低差で種類がいろいろあり、踵が低く、高低差が少ないものほど裸足感覚に近いそうです。(いきなり履いて走ると怪我するリスクがあるので、試す方はよく調べてからにしてください…)

ちなみに踵・つま先の高低差はHeel-to-Toe Drop(HTドロップ)と呼ばれています。
踵・つま先の高低差(Heel-to-Toe Drop)
(写真:Running WarehouseによるYoutube動画のキャプチャ)

ランブロガーさんの別の記事による解説によれば・・・
HTドロップの数値は、低ければ低いほどランニング中にミッドフット~フォアフットで着地しやすくなる、と信じられている。この結果を裏付ける研究があるかどうかわからないが、私自身の異なるHTドロップのシューズを履いた経験と、私のラボでのHTドロップとフットストライクと関連を調べた非公式の実験によれば、これは正しい可能性が高い。
(引用元:RunBlogger - Heel-Toe Drop or Offset: What Does it Mean in a Running Shoe?

なるほど、シューズのHTドロップによって着地しやすい位置が変わるかもしれないのですね。


実験

上の3足を順番に履いて走った様子を、ハイスピードカメラで撮影したというのが、こちらの動画。




比較してみると、おお、ほとんど同じフォームですね・・・!
(Youtubeのページで再生速度を0.25倍にするともっとわかりやすいです)


ランブロガーの著者のラーソン氏の分析によると、地面接地時の膝の曲げ具合とオーバーストライドではないフォーム(スネの垂直具合でわかるそうです)のおかげでシューズによる違いが出にくかったのだろう、とのこと。

なお個人差があり、シューズによって違いが出る人もいるだろうとのことです。むしろこっちのほうがよくあるパターンっぽいニュアンスで書かれていました。

私が思ったのは、今回は走ったのは一瞬でしたが、実際に長時間走るとなるとどうなることやら・・・?Evoで長距離の踵着地だと、痛くならないんでしょうか。あと、自然にフォアフットになるよう、靴底に出っ張りがついてるニュートンのシューズなんかだと違い出るのか、気になります。

フォームについて

動画のフォームなんですが、ラーソン氏いわく、とても良いフォーム。姿勢が良く、前傾具合も良いそうです。

私はコンパクトな腕振り、肩の前後のブレなささが勉強になりました。

別動画を見るとちょっと内股っぽくなっているのがわかりますが、解説によると、人によって体の動き方は違うので、これでいいそうです。う~ん、深い。プロの視点ですね。

※ラン・ブロガーの著者ラーソン氏は、フォーム分析の研究を10年やってきた元大学教授。現在もクリニックでフォーム分析の仕事をする傍ら、人気ブログを書いています。


ちなみに動画の中で走っている人は、 トライアスロンコーチのコーリン・クック氏。アイアンマン北アメリカ地区選手権の30-34才エイジグループで優勝してたりする、速い人のようです。今まで大した怪我はしたことはないそうです。レースではホカオネオネを履いているとか。

違うシューズを履いて練習する利点

シューズはクック氏が持参したそうなのですが、なぜ3足持っていたかというと、種類の違うシューズはそれぞれ違った負担を体にかけることができるからだとか。ラーソン氏もこの考え方を実践しているそうです。

確かに、同じ走り方、同じサーフェス、同じ勾配ばかりで練習すると、体の同じ部分が鍛えられ、鍛えにくい部分はそのままになってしまいそうです。一理ありそうですね。

<12/7追記>
違うタイプのシューズを履き回したほうが怪我のリスクが減るかもしれない、という論文(英語)が発表されました。同じシューズで体の同じ箇所に負担をかけるより、分散させることでリスクが減るようです。実際にどういう種類のシューズだといいかというと、ランブロガーさんのこの記事では、クッション系、レース用、トレイル用、ウルトラミニマル、ミニマルを一例としてあげています。


身近なハイスピードカメラ

フォーム分析をやってみたい方に朗報。普通のビデオカメラは約30fps(=1秒あたり30枚の静止画をつなげて動画にしている)ですが、iPhone 5sは120fpsで動画が撮れるそうです!

youtubeで探したら、iphone 5sで撮った動画が見つかりましたが、かなりのクオリティですね。これは使えそうです!


感想

まあ一例にすぎないのですが、今回のようにシューズの影響が少ない人もいれば、モロに出る人もいるんですね。

私の体験だと、SALTYさんにお借りしたニュートンを履いた時、NBミニマスを履いた時、ターサーを履いた時、全部違う感触がありました。思い込みかもしれませんが、自分の感覚としては走りが変わっていた気がします。

記事内にあるように、いろんなタイプのシューズを履いてトレーニングするのはいい作戦かもしれないですね。ホカオネオネは高すぎる(170ドル、日本のアマゾンでは2万円ぐらい)ので気軽には買えないですが、一度履いてみたいです♪



おまけ:ケニア人のシューズは?

以前にもちらっと書いたのですが、ケニア人選手のシューズとフォーム(フットストライク)の関係について、こんな考察があります。
ケニアのランナーは低サポートのシューズでレースを走るが、練習のときは大きくて、がっちりして、クッション性のあるスニーカーで練習している。おかしなことに、これらのシューズで走ったからといって、Saxby Leeの理論に反して、踵着地になるわけではない。いわゆるベアフットスタイルで走っているのだ。シューズはあまり関係ないのだろう。
引用元:Adharanand Finn著「Running With the Kenyans」(ケニア人と走る)



おまけ2:これからマキシマリストシューズが流行る!?

2009年に創業したばかりですが、いろいろと話題で勢いに乗っているホカ。

今後ウルトラやトレイル以外でも存在感を出してくるでしょう。最近は800mの Michael Rutt 選手のスポンサーになったそうです(英語記事)。

なお、クッションふかふかのマキシマリスト系シューズは、ホカだけではないようです!

Altra Olympus、Brooks Transcend、New Balance Fresh Foam 980、Vasque ShapeShifter Ultraなど、各メーカーが出してきているようです。それとホカも、オネオネシリーズで他にもいろいろな分厚いシューズを出しています。


マキシマリスト系は今後のランニング業界の流行になっていくかもしれません!・・・と、海外ランニングメディアでは噂されています。今後が楽しみですね。

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