ブログ村のランナーブログを見ていると、いろんな人が参考にしている名著そうな本がいくつかありますね。「リディアードのランニング・バイブル」「アドバンスト・マラソントレーニング」「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」、最近の和書だと「eA式 マラソン走力UPトレーニング」などですかね・・・?
今回は私が唯一持っているランニング関係の本、「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」について、そしてその前に著者のダニエルズ氏について、おまけにVDOT理論についても書きたいと思います。
ジャック・ダニエルズ氏
まず、ジャック・ダニエルズさんがどんな人かというと・・・- 米サンフランシスコ出身、80歳
- 大学時代は水泳選手。軍隊に入り、ランニング、トライアスロンへと興味を広げる。
- 近代五種競技(射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニング)という種目でオリンピックに出場、銀・銅メダルを獲得
- スウェーデンでスポーツ医学の父、Per-Olof Åstrand氏に従事
- ウィスコンシン大学マディソン校で運動生理学の博士号取得
- 水泳コーチを経て、陸上中長距離走コーチになり、科学的トレーニングでオリンピッククラスの数多くの名選手を育てる
- ランナーズワールド誌から「世界のベストコーチ」に選出された他、多数の受賞歴
- 中長距離練習の名著「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」の著者
・・・。元オリンピック選手でコーチで学者。マルチタレントすぎる(笑)
Youtubeでも動画をいくつか見ましたが、ダニエルズ氏の書き方・話し方は理論立っていてすごく研究者っぽいです。
そしてQ&Aでの返しや頭の回転も速く、面白いです。著書も学術書みたいな書かれ方をしています。
Youtubeでも動画をいくつか見ましたが、ダニエルズ氏の書き方・話し方は理論立っていてすごく研究者っぽいです。
そしてQ&Aでの返しや頭の回転も速く、面白いです。著書も学術書みたいな書かれ方をしています。
ダニエルズのランニングフォーミュラ
冒頭のとおり、私が持ってるランニング関係の本はランニング・フォーミュラのみ( ー`дー´)キリッ
単に他の本をまだ入手してないだけですが・・・(笑)
※英語版を検討してる方は、第2版から8年ぶりに第3版が出るので、今年の12月末まで待ってもいいかもしれません。私は知らずに第2版買っちゃいました…(涙)
▲日本語版第2版 | ▲英語版第3版 |
ダニエルズ本がすごいのは、長距離走のパフォーマンスを様々な要素(前エントリーのLT、ランニングエコノミーなど)に分解し、それぞれにあった練習方法を具体的に提案しているところ。つまり、この本があればコーチがいなくても一人で練習できます。
そしてさらに、ある距離のベストタイムがわかると、VDOTという最大酸素摂取量をベースにしたモデルを使って、別の距離のタイムと練習ペースをはじき出せる表を作り出したのも画期的です。
追記:例えば下の画像のように、5Kレースの自己ベストが19:03だったとき、持久力を高めるには閾値走を4:05で、最大酸素摂取量を増やすにはインターバルを3:45でやれば効果が最適になる、というようなことがわかります。
詳しくは別記事「ダニエルズ式ランニング用計算ツールの紹介」をご覧ください。
ランニング・フォーミュラの注意点は、レベルの高いアスリート向けな気がするので、全部まるごと練習メニューを導入するのは大変だと思います(一応対象は初心者からオリンピック選手までということになっています)。講演動画見て思いましたが、かなりの効率主義者の方のようなので、LSDのような練習も入っていません。また活字が苦手な方は、ボリュームもあって読むのが大変かもしれません。
ただ、トレーニング理論だけでなく、ダニエルズさんの競技に対する哲学的な部分を知ると、この人がなぜ素晴らしいコーチだと認められているか理解でき、それだけでも本を買う価値があると思います。追記:ダニエルズの「コーチング」フォーミュラという記事を書きました。
陸上部レベルのアスリートはもちろん、まだランニング本を持っていないような方にもお勧めの一冊です。特に、科学的エビデンスに裏付けされた、「各練習の意味」を考えながら練習したい人に最適。
ロンドンオリンピックの陸上競技長距離種目で金メダル2個のモハメド・ファラーや10000m銀メダルのゲーレン・ラップはこの理論に基づいてトレーニングを行っているそうです。アフリカ勢が長く上位を独占してきた長距離種目ですが、この理論が浸透してから、アメリカでは長距離選手が次々と誕生し、成果を上げています。日本でも高岡寿成さん(マラソン日本記録保持者)が紹介し、一気に広まりました。個々のトレーニング内容の解説が具体的で、メニューを多く例示しているので、多くの中長距離選手、市民ランナーのバイブルになるのではないでしょうか。(※上記のファラーは世界陸上2013で5000mと10000mの2冠に輝きました。詳しくは別記事「モハメド・ファラーが世界陸上2冠!練習?シューズ?強さの秘密とは・・・?」にまとめています。)
理系のため(?)のVDOT理論講座
ダニエルズ氏の有名な表などは、VDOT理論に基づいています。VDOTとは最大酸素摂取量をベースにした走力のインデックス値。
講演動画や本やこのブログ(英語)によると、元NASAの物理学者ジミー・ギルバート氏との共同研究によって生まれたデータドリブンな理論だそうです。ギルバート氏は、プロフィールによればアポロ計画でスペースシャトル搭載コンピュータの開発に携わったすごい人。NASAのロケットサイエンティストがVDOT表に関わっていたとは知りませんでした。
2人の研究成果は1979年に「Oxygen Power: Performance Tables for Distance Runners」という題名で出版されたそうで、このブログ(英語)に一部が載っています。
大勢のランナーからの走力データを回帰分析して求めた式のようで、精度が高いと言われているのもうなずけます。
具体的な式は上のだと見にくいので、下にもうちょっと見やすく打ち直しました。
(…嘘ですw VDOT調べは、表かツールを使ったほうが早いです)
【解説】
VDOTは、自己ベストを出したときの距離とタイムの関数です。
距離 d はメートル、タイム t は分で表します。最初の式でレースでの平均スピード(分速)が求まります。
2番目の式でVO2を推定し、
3番目の式でVO2とVO2maxの割合を計算します(e は自然対数の底)。
最後に、2番めと3番目の式よりVDOTを算出します。
(※厳密に表記するとVの上にドットがついてV̇のようになります。時間あたりの摂取量なので、微分のニュートン記法によりこうなります。VDOTの名前の由来もここから。)
例えば、例えば5000mが20分なら、
というような結果になります。
この走力モデルを使うことで、VDOTが同じになるような別の距離とタイムがわかり、タイム予測ができます。
もっと詳しい解説は、ダニエルズさん直々の講演動画(Youtube)をどうぞ。
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今朝はGさんと20km走。Gさんはずっと前にこのブログに登場しましたが、地元ランニングクラブの練習会に誘っていただいた方です。長旅から帰って来られたので、今後何度かマラソン練習をご一緒できそうです!Gさん、練習ご協力ありがとうございました。
さて、陸上部出身のGさんに現役時代の練習方法など聞いてみましたが、陸上部の練習はやっぱり激しいですね(-_-;)
【走行距離】本日19.47km、月間74.7km
【エリーマラソンまで】38日
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