2013/06/12

最近流行のサーキットトレーニングHICTをやってみた

HICT(High-Intensity Circuit Training=高強度サーキットトレーニング)というのをテニス仲間のMさんから教えてもらいました。
HICTはアメリカで(日本でも?)最近流行ってるエキササイズのようで、調べてみると先月からいろいろな健康系のニュースサイトに「1日7分で痩せられる科学的トレーニング」などと取り上げられていました。

陸上競技では、時間効率の良いトレーニングであるインターバルトレーニングというのが昔から知られていますが、近年それをさらに短い時間間隔・高強度に進化させたHIIT(High-Intensity Interval Training=高強度インターバルトレーニング)というトレーニング方法が注目されています。※科学的裏付けについては、グーグルスカラーで検索すると近年の論文が山ほどでてきます。

このHIITをさらに筋トレに応用させたのがHICT。(ただしHIITとHICTを同じものとしている記事も。)

HICTは30秒ごとに順番に筋肉に負荷をかけつつ、別の筋肉をレスト(休憩)させていくインターンバルです。全く新しい種類のトレーニングというわけではないそうですが、短時間で最大限の効果を引き出せるので人気が高まりつつあるそうです。

5月上旬に具体的なHICTのメニューを紹介した論文が発表され、それをニューヨーク・タイムズ・マガジンのこの記事(英語)が取り上げ、そこからいろいろなメディアに飛び火したようで、日本語版ライフハッカーの記事も1000以上のはてブがついてます。

特徴

  • 誰でもどこでもできる
    • 自重のみ
    • 壁とイスまたは段差があればどこでも
  • 短時間で効率よくできる
    • 1セット7~8分 (理想は複数セットで20分以上)
    • インターバルトレーニングの応用=時間効率がいい
  • メニューが計算しつくされている
    • 全身の大きな筋肉に順番に負荷をかける
      • 1セット=「全身→下半身→上半身→体幹」×3=12ステップ
    • 順番に筋肉を使うので、その間は別の筋肉をレストさせられる
  • 有酸素運動と、筋トレ両方の効果がある
    • 筋肉増量
    • 体脂肪減少
    • 最大酸素摂取量(VO2max)増加
    • インスリン抵抗性を改善 (糖尿病予防)

やり方

1セット12ステップです。
12ステップからなるHICT(HIIT)メニュー


各ステップ30秒で、ステップ間のレストが10秒のインターバルトレーニングになっています。
(1セット約7分とありますが、12*30+11*10=470秒で実はほぼ8分?!)

実際にやるときは、このAndroidアプリiPhoneアプリを使うと便利です。
PC派の人は、このYoutube動画でどうぞ。

いろんな種類のサーキットトレーニングをしている方は、タニタなどが出しているインターバル用タイマーも便利かもしれません。

▼TANITA タイマーバーシリーズ ダブルタイマー 200分計
TANITA タイマーバーシリーズ ダブルタイマー 200分計 ダークブルー TD-404-DB

やってみた感想

Androidアプリに合わせて12ステップ×3セットやってみました。気温が28度と暑かったのもあって、1セット目でじわじわ汗をかいてきて、2セット目には汗が垂れるほどでした。3セット目の最後のほうはもう上半身の筋肉が限界気味でした。

家の中でこんなに運動ができるとは思わなかったです。1種類の練習だと、数分間続けるのは大変ですが、30秒毎にローテしていくのでなんとかできた感じです。

腕立てだけカウントしてたんですが、1セット目32回、2セット目28回、3セット目26回と段々弱っていきました…。

1~4と9が結構きました。7のディップスも普段全く鍛えてない筋肉を使ったので、辛かったです。二の腕がパンパンになりました。

各セット終了後に手で心拍数を測ったら、115~120~125あたりでした(30秒間の2掛け)。体感では160ぐらいいってる感じでしたが、意外と低かったのが不思議です。普段走ってる人は心拍数が戻るのが早いので、心拍数を測るのに30秒もかけてしまうと、実際より多少低く出るんでしょうね。ステップ11、12が比較的負荷軽めだったのも関係してるかも。

このHICT、確かに時間あたりの効率は良さそうです。ジョギングより全然つらいですし。
隙間時間に手っ取り早くトレーニングする方法として、使えそうな気がしました。

注意点

巷のHICT紹介記事はいいところばかり取り上げていますが、少し注意点があります。

まず、禁忌事項。
  • 高負荷のため、オーバーウェイトの人、普段トレーニングしてない人、怪我をしたことがある人、併存疾患のある人は注意が必要です。
  • 高血圧または心臓に疾患を抱えた人には、アイソメトリックなステップ(2番、8番、12番)は避けましょう。注:アイソメトリックは関節を動かさないでじっとしたまま姿勢を保つタイプの筋トレです。
  • 全般を通して、特にアイソメトリックなステップではバルサルバ効果(息を止めて力を入れる)を使わないでください。
以上は論文からですが、NYTマガジン含め、どの記事にも書いてなくて残念です。記事スペースの制約などがあるのはわかりますが、健康リスクを書かないで美味しそうな部分しか書かないのは無責任なような・・・。

それから、本当に効果はあると思うんですが、7分だけで痩せる!みたいな書き方は気になりました。実際は7分の1セットだけじゃ足りません。

効果を出すにはかなりハードにやらないといけないようで、具体的には運動強度で100% VO2max を超えないといけないようです。心拍数でいったら最大心拍数レベル。実際やるとわかりますが、この運動でそこまで負荷かけるのは難しいです。

その点は論文の筆者も認めていて、ほとんどの人はその強度でできないので、最低20分間(=12ステップ×3セットほど)はHICTをやるべきと書いています。7分じゃなくて最低で20分です。というわけで、この記事では3セットやってみました。

(世の中の健康系の記事っていかに簡単に痩せれるかみたいな煽りが多くてうんざりですが、そんなにうまい話しはないですよね。ランナーの方には釈迦に説法ですが、ボクサーの減量みたいに水分も含めて減らすならともかく、皮下脂肪・内臓脂肪を落とすのは一筋縄ではいかないです。1000キロ以上走っても4kgしか落ちなかったりするケースもありますし…。)

あとは注意書きとして、瞬発力や持久力を高めるのが目標なら、伝統的な練習のほうが効果が高いかもしれないとも書いてありました。HICTのポイントは、あくまで時間効率がいいのと、いろいろな効果がまとめて出る点かと。

まとめ

長くなりましたが、HICTは自宅での隙間時間に効率良くトレーニングするのに役立つと思います。Mさん、紹介ありがとうございました。


そして著者の二人、いいメニューを考えてくれてありがとうございます!

参考文献

Brett Klika and Chris Jordan. 2013. "High-Intensity Circuit Training Using Body Weight: Maximum Results With Minimal Investment". ACSM'S Health & Fitness Journal: May/June 2013 - Volume 17 - Issue 3 - p 8–13 (PDF)



【2013年12月追記】
HIIT/HICTの流行は来年も続きそうですね。
2014年のフィットネス予測を調査するため、米国スポーツ医学会(ACSM)は世界各地のフィットネス業界関係者を対象にEメールによるアンケート調査を実施し、その結果(回答3815名)がACSM’s Health & Fitness Journalに掲載されました。
驚いたことに高強度インターバルトレーニングがいきなり第一位に躍り出ました。
(引用元: Nice Body Make・・・よもやま話 - 世界のフィットネス・トレンド 2014年、強調は私による)
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