2014/09/01

卒業

おひさしぶりです。全然更新してないのに、検索エンジン経由で結構読んで頂いてるようで、ありがたいです。

8月の月間走行距離は94kmでした。
それにしても、6ヶ月連続で2桁kmとは…。




たまに走ってみると、走力がずいぶん落ちている気がします。

秋~冬シーズンは、4:00/kmで閾値走を走れていました。
3月の記事を振り返ってみると、

3:57
3:55
3:58
3:57
3:51

というペースでした。

ブランクがあるとどれだけ落ちるでしょうか…?
ということで、今日はひさびさに閾値走。

4:00/km~4:04/kmぐらいのペースで走ろうとしたところ、

4:08
4:05
4:10
4:06
4:04

気温23度、湿度89%と秋/冬シーズンよりは走りにくい気候かもしれませんが、
やはり走力が落ちてるのを実感しました。
スピードが出ず、なかなか苦しかったです。

秋にはレースにいくつか出たいところですが、どれだけ戻ることやら?


ところで今までちゃんと書いてなかったですが、ご報告です。
最近忙しかったのは博士論文の仕上げのためでした。
※スポーツサイエンス専攻ではないです(笑)

8月にはPhD Thesis Defense(日本でいう公聴会?)という一番最後の
研究発表の場があったのですが、結果はなんとか合格!


というわけで、オフィスの引き払い準備も完了しました。

GHC


新しい仕事も忙しそうですが、
なんとかラン時間を確保していきたいところです!
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2014/07/28

才能と努力の不思議な関係:短距離走vs長距離走

なんでも1万時間ほど打ち込むとエキスパートになれる、という「1万時間の法則」。最近は本当に当てはまるどうか話題になってますが、陸上競技も練習すればするほど早くなるんでしょうか?それとも生まれ持った素質が命?

そんな疑問にランナーズワールドの「Talent v. Training in Runners」という記事が答えています。

下の図は、生まれつきの素質のある人・ない人が練習でどれだけ伸びるかをわかりやすく表した仮想的なグラフ。100mと10000mでは大きく違いが出ています。

努力と才能

x=0の各点から線が2本出ているのは、人それぞれ、練習での伸び具合が違うから。これをトレーナビリティ(練習に対する適合・適応能力)と言うそうです。

短距離は、才能がない人がいくら頑張っても、才能がある人に勝つのは難しいようです(この論文などでも検証されています)。一方長距離走では、「頑張ってる素人>才能はあるけど練習してない人」となることもあるとか。

例えば、2012ロンドン五輪と2013世界陸上の5000m&10000mで2冠を果たしたモハメド・ファラー選手には双子の兄弟がいます。彼の名はハッサン。ランナーではなく、電気通信エンジニアです。なので極端な話、市民ランナーでも下手したら、DNA的に天才アスリートの素質のあるハッサン・ファラーに長距離走で勝てるのかもしれません。これがボルトの兄弟と100m対決とかなると、そう簡単な話ではないはず。

野口みずき選手の「走った距離は裏切らない」という言葉がありますが、よく考えてみると、距離云々はともかく、努力は報われるという点ではすごく本質を捉えた名言ですね!

練習すればするほど伸びるとは、長距離ランニングやっていて良かったです!
※最近ほとんど走れてないけど・・・





余談ですが、仕事ができるできないは、才能と努力どちらが大きいでしょうか?カーネギーメロン大学のビジネススクールの教授がいろいろな会社のエース級社員を調べ、その仕事ぶりや経歴を紹介している本があるのですが、その本によれば「Stars are made, not born」だそうです。MBAの教科書にもなったりしてますが、堅苦しくない普通の読み物なので、英語でビジネス系の本を読んでみたいな、という方にはおすすめの一冊です。


How to Be a Star at Work: 9 Breakthrough Strategies You Need to Succeed



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2014/07/11

オレゴンプロジェクト限定版 Nike Zoom Elite+ 6 を買ってみた

Nike オレゴンプロジェクト限定版Zoom Elite+ 6
レビュー対象
NIKE Oregon Project Zoom Elite+ 6

定価: 115 USD
通常価格: 85 USD
購入価格: 75 USD

良い点
  • デザイン
  • 軽さ
  • クッション性
  • グリップ力
  • サイズのラインナップ

悪い点
  • 通気性

おひさしぶりです。忙しくてなかなかブログが書けていませんが、セールでシューズを買ってみました。

オレゴンプロジェクトのロゴ
ナイキ・オレゴンプロジェクト(ORPJT)の限定版シューズで、サブ3~サブ4ランナー向け練習用シューズ「Zoom Elite+ 6」です。このシューズ、日本からも買えるみたいですよ。

※ORPJTは、著名選手が多数所属するナイキの陸上チームです。詳しくは拙記事「モハメド・ファラー所属のオレゴンプロジェクトとは?」をご覧ください。


外見


Nike Zoom Elite+ 6 (正面)
▲正面から

Nike Zoom Elite+ 6 (背面)
▲後から。オレゴンプロジェクトのドクロのロゴがポイントです。

Nike Zoom Elite+ 6 (斜め後ろ)
▲斜め後から見るとこんな感じ。
フレッド・ペリーじゃないですよw

Nike Zoom Elite+ 6 (横)
▲真っ黒なシューズもなかなかかっこいい( ´∀`)bグッ!


カラー比較

市販されている通常版の Zoom Elite 6 とORPJT限定版の商品写真を比べてみました。

Nike Zoom Elite+ 6 カラーバリエーション比較

限定版は全然違うシューズみたいですね。
好みの問題ですが、派手派手もいいですが、こういう落ち着いた感じの配色のランニングシューズもかっこいいですね。普段履きもできちゃうかもしれませんね。(※NYにはナイキの黒いランニングスニーカーを普段履きするオシャレさんがいるらしいです)


インソール


FITSOLE2
▲黄色のインソールにはFITSOLE2と書かれてました。

インソールにはなかなかフォーカスされることの少ないですが、【FITSOLE2】というアーチサポートパーツが一体化されたものが装備されています。これによってインソール自体の耐久性が上がると同時に足裏の凹凸を感じるストレスも軽減させてくれます。
引用元:オッシュマンズブログ


アウトソール

写真撮り忘れたので、商品ページより。
グリップ力あります。

アウトソール


サイズ


23.5~29.5cm
▲7インチ(Nike換算で24.5cm)ってなかなかアメリカでは手に入らないのに、余裕で在庫があり感激しました。

Elit+ 6は23.5~29.5cmまで揃ってました。男女兼用かもしれず、レディースの範囲もカバーしてるからなのかもしれません。


ネットで買う時にちょっと注意が必要なのは、メーカーによってサイズ換算が違ったりする点。

例えばアシックスの換算表だと6.5インチ=25cm、ナイキの換算表だと7.5インチ=25cmだったりと、規格が乱立してます。
サイズといえば、アメリカのシューズのサイズはすごくわかりづらいです。USサイズとcm表記の換算式は男女、子供、規格(ブランド)毎に違います。詳しい経緯はWikipedia: Shoe_sizeにありましたが、規格乱立でカオスです・・・。
はじめてのレースシューズ!【サイズ選び方編】

今まで買ったアシックスのランニングシューズ2足は25cmで、今回のナイキのは24.5cm。ところが、今回のシューズのほうがつま先の余裕があります…。サイズ選びって奥深いですね。

自分的には、大きな捨て寸のシューズから捨て寸0.5cmシューズにしたら初めて黒爪になるようになったので、このぐらいの余裕が丁度いいのだと思ってます。※黒爪は大きいシューズでなる説もあるようですが、私は自分の経験からこの説に懐疑的。


重さ

Zoom Elite重量
▲250gでした。サイズは7インチ (24.5cm)。
RWによれば平均的な重さみたいです。
その割にクッションは効いています。

(参考)
ASICSターサージールの重量
▲レース用シューズのターサージールは157g
今回のシューズはこれより+100g重いですが、ちょっと走ったぐらいだとそこまで顕著な重さは感じませんでした。


アシックス ゲル・スカウトの重量
▲トレイル用のゲル・スカウトは294g


走ってみた

履いてみた感じ、前述のインソールのおかげか、かなりのフィット感です。

さっそくロードとトラックを走ってみたところ、グリップ力満点で、ターサージールのようでした。ただし、ターサーみたいにカツカツという音は出ません。

レースシューズではないものの、ターサーのように走っていると自然とペースが上がる気がしました。実際タイムトライアルとかしたら少しは違うのかもしれませんが…。

ちょっと気になったのは、あんまり通気性が良くないこと。一応風も少し入ってくる気はしますが、ターサーほどではないです。私はあんまり汗かかないほうなんですが、汗っかきの人には夏のシーズンはちょっと暑いかもしれません。



他サイトのレビュー


ランナーズワールドのシューファインダーページでは、他のシューズと比べて重さやクッション性を相対評価しています。Elite 6がなかったので、Elite 5 のページを見てみると・・・

Zoom Elite評価

固くてフォアのクッションが多めに入っているシューズのようです。

レビューには体重が軽めのサブ3ランナーの練習用シューズに丁度いい、というようなことが書いてありました。

他サイトのレビューも見てみると・・・

Running Shoes Guru - Nike Zoom Elite +6 Review
良い点
 - ミッドフットのFlywire技術のおかげるよるフィット感
 - 前モデルであるElite+ 5よりも軽量化されている

悪い点
 - ミッドフットストライカー用ニュートラルシューズとしては少し固い

編集部評価:8/10点(2013/7/31)


クッション性・汎発性をバランスよく調整した、ストライドが大きめなランナー向けのシューズ(サブ4を目指す方にお勧め)
アッパーにはダイナミックフライワイヤーをミッドフィットに搭載し、靴ひもに連動し足を包み込むようにしっかりホールド。走行時もしっかりとしたフィットを得られる。 

とこんな感じでした。まとめると、サブ3~4向けのクッションの効いた固い練習用シューズのようです。


4種類のオレゴンプロジェクト版シューズ


ORPJTは4種類の限定版シューズを出しています。Running Shoes Guruのコメントも参考に軽く紹介すると・・・

Zoom Elite+ 6

Zoom Elite+ 6

今回紹介したシューズ。数年前に人気があったものの製造中止になり、近年ORPJT所属のファラー選手の意見も取り入れながら再開発された練習用シューズ。

Pegasus 30

Pegasus 30

ナイキが30年間出してるランニング初心者向け定番シューズ。

通常版は、ついこの間31が出ました。Pegasus 31 はアマゾンジャパンでも買えるみたいですが、輸入品しかないので割高です。こちらもファラー選手が開発に関わっているそうです。

▼31をテストするファラー選手(動画
ファラー選手

Zoom Structure 17

Zoom Structure 17

ナイキが15年間出している安定性のあるシューズ。プロネーション対策に最適。
※通常版現行モデルは18。

Zoom Victory 2 Spike

Zoom Victory 2 Spike
トラックで走るガチランナー用スパイク。


どこで買える?

今回このシューズを買ったのは、ORPJTの公式オンラインストア

オレゴンプロジェクトストア

ロゴ入りシャツやシューズがいろいろと売っています。別にガチランナー用というわけではなく、私のような普通の市民ランナーが着用しても問題ないと思います・・・たぶん(笑)

この間町で見かけた普通のランナーもここのタンクトップを着ていました。

某ロックンローラーもライブで着ていたとか…。
こんな着回しの効くランニングウェアってなかなかないと思いますw




ORPJTの商品は、現在はFedExで日本にも発送してくれるようです。

たまにキャンペーンをやっており、私は今回割引セールを狙って買いました。


ある時はゲーレン・ラップ選手のサインが貰えたり、

iPhoneケースがもらえるキャンペーンをやってることもあります。


Oregon Project iPhone 5 cases free with every OP purchase online and at the Nike tent at Hayward Field tonight! #preclassic by @oregonproject

▲ORPJT所属のMary Cain選手


まとめ

ちょっと珍しくてデザインもいけている、ORPJT限定シューズの紹介でした。
フルマラソン3時間~4時間レベルは「Zoom Elite+ 6」、ランニング初心者の方は「Pegasus 30」、偏平足気味の方は「Zoom Structure 17」が良いようです。日本からも注文可のようです。


■Nike オレゴンプロジェクト・オンラインストア
http://nikeoregonproject.com/pages/store





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2014/06/03

誰でも受けられる!ダニエルズ氏のオンラインコーチサイト

ジャック・ダニエルズ氏作成の練習メニューを個々に合わせて提供するオンラインコーチングサービスをご存知ですか。

Run S.M.A.R.T. Project社が提供する「カスタムトレーニングプラン」です。
有料で、しかも英語での読み書きができないとダメですが、世界中どこからでも受けられるのはダニエルズさんファンには朗報かもしれません。

距離は800m~フル、練習期間は8週間~24週間です。

今(6月)からだと、秋・冬のレースに向けてちょうどいいぐらいかもしれないですね。


提供サービス(公式サイトより翻訳)

  • 伝説のコーチ Dr.ジャック・ダニエルズ(とRun SMARTコーチ陣、エリートアスリート)による練習計画
  • あなたの走歴に合わせカスタマイズしたワークアウト
  • ワークアウトごとのペース設定も個別カスタマイズ
  • 成果が出るにつれ、設定ペースを更新
  • 練習ログ管理ソフト「VDOT O2」へのアクセス

プラン/値段例

  • フルマラソン対策のスタンダードプランが24週プランで100ドル・・・Designed By Dr. Jack Daniels, personalized for you
  • 初マラソン完走プランが18週80ドル・・・Jack Daniels’ Finish Your First Marathon
  • サブ2時間30分専用のエリートプランが18週80ドル・・・Jack Daniels’ Elite Marathon

上はあくまで一例で、実際はすごく細かく分かれてます。

「伝説のコーチ」プライスとは思えないほど安いんで、想像するにたぶんプランを作ってもらうだけで、直接ダニエルズさんと話したりはできないんだと思います(当たり前かw)。

同社は他にも、もっと踏み込んだ「プライベートコーチングプラン」も提供。こっちはさらにメール相談(回数無制限)、電話でのレビュー/相談(週一まで)、などがついているそうです。

コーチはダニエルズさんではないのですが、コーチ一覧ページを見ると豪華です。元オリンピック選手や、元全米チャンピオンレベルばかりがコーチ陣に並んでいます(現在全部で10人ほど)。

こちらの値段は3ヶ月コースが月間$150、6ヶ月コースが月間$140、12ヶ月コースが月間$130。


VDOT O2 

コーチとの練習記録・練習計画の共有は、同Run SMART Project が開発した VDOT O2 というウェブアプリを使って行います。下のようなカレンダー形式の練習計画・ログ管理+SNSのようなサイトです。今はまだ開発中のβ版なので、βユーザーから招待された人と、上の有料プランの会員だけしかサインアップできません。

VDOT O2
▲VDOT O2(β版)。右上に出てるのはVDOT値です。


実はRun SMART Projectの人がこのブログのダニエルズさん記事を読んでくれたようでお誘いがあり、私も去年からβユーザーで試用しています。

もしVDOT O2を使ってみたいという方がいたら10人までご招待できるようなので、scr.desu AT gmail.com までご連絡ください。


ダニエルズ計算機

そうそう、ダニエルズ式ランニング用計算ツールの使い方の記事、いろんなサイトで紹介していただいてるようなので、ちょっと更新しました。新しい画面デザインに対応してます。

Before:

After:
ダニエルズ式ランニング計算機
落書きみたいだった説明書きも、ちゃんとした画像になりましたw

このツールですが、Run SMART社の中の人に聞いたら現在多言語対応を検討中だそうです。日本語化されたらまた更新したいと思います。


まだ使ったことが無い方は、ぜひ使ってみてはいかがでしょう?
VDOT表いらずで簡単にぱぱっとレースペース換算や練習ペース計算ができるので便利です。

活用方法は、上の記事を紹介してくださった方々の記事もぜひご参考に・・・。

※漏れがあったらすみません。他にもSNSで多数広めていただいた模様。使い方記事が少しでも参考になったなら、幸いです。


ジャック・ダニエルズ氏とは?

著書「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」が有名で、アマゾンページの「最も参考になったカスタマーレビュー」(by 植田さん)から引用すると・・・
ロンドンオリンピックの陸上競技長距離種目で金メダル2個のモハメド・ファラーや10000m銀メダルのゲーレン・ラップはこの理論に基づいてトレーニングを行っているそうです。アフリカ勢が長く上位を独占してきた長距離種目ですが、この理論が浸透してから、アメリカでは長距離選手が次々と誕生し、成果を上げています。日本でも高岡寿成さん(マラソン日本記録保持者)が紹介し、一気に広まりました。個々のトレーニング内容の解説が具体的で、メニューを多く例示しているので、多くの中長距離選手、市民ランナーのバイブルになるのではないでしょうか。
元オリンピック選手で、運動生理学の博士号を持つ研究者でもあり、ランナーズワールド誌から「世界のベストコーチ」に選出されたコーチでもあります。



▲写真:現役時代のダニエルズさん

ダニエルズ氏出没情報

今年8月までは以下のレースに出没するそうなので、行く予定のある方は生ダニエルズさんが見られるかも?!




関連記事(ブログ内)


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2014/06/02

ACSM2014から最新ランニング研究15本

というわけで、先週の米国スポーツ医学会の年次会議で発表されたてほやほやの研究から、ランニング関連の気になるものを探してみました。




3500件(!)もある発表から検索ツールでランニングに関係してそうなのを絞り込んでアブストラクトをざっと流し読みしただけなので、間違っていたりしたらごめんなさい。アブストラクト全文がプログラムから読めるので、発表番号を手がかりに探してください。あと、他にも面白そうなのがあれば教えて下さい。


※RE=ランニングエコノミー(走りの経済性、つまり燃費のようなもの)。


ブログ内関連記事:
・ 「スニーカー走歴5年のランナーが初めてターサーで走った結果」
・ はじめてのレースシューズ!【番外編:試着して驚いたシューズ】・・・日本で製造中止になり、アメリカで独自の進化を遂げたエリクサー7が登場

なるほど、そうするとトランジションで起きる変化は、ミニマリスト以外では使わないような鍛えにくい筋肉が鍛えられることになるのかな?

ブログ内関連記事:
米ビブラムが1足最大$94の返金手続き開始
裸足系vsクッションたっぷりシューズ、フォームに違いは出るか?


そういえば昨年のACSM2013と比べるとベアフット・ミニマリズム系の発表件数は明らかに減ってます。

REは1kmを走るのに必要な酸素の量 [ml/kg/km]を表します。ケニア人エリートランナーで190あたりだそうですが、中には150ぐらいの人もいるそうで、個人差大きいですね。VO2max [ml/kg/min]はここまでばらつかないはず。

東アフリカ勢が突出して強い理由を探った記事、良い資料があるので書きたいと思いつつ、下書きのまま半年放置中です…。








音楽テンポとジャンルが影響するっていう研究を取り上げた記事が書きかけになったまま半年放置されてるんですが(笑)、そこで私が個人的に感じてるランに合う音楽の条件としても、テンポ(の倍数)とケイデンスが合っている曲というのがあります。Jamiroquai - Virtual Insanity、Aerosmith - Love in an Elevator、Metallica - That Was Just Your Lifeなど。



※あくまで一指標の数値に影響するかです。
ブログ内関連記事:怪我予防のために知っておくべき3つの陥りがちな罠

ブログ内関連記事:データで見る体脂肪率と(ウルトラ)マラソンのタイムの関係

これは自分的にちょっと意外。

ブログ内関連記事:トレッドミルのよくある疑問と答え【ランナーズワールドより】

ブログ内関連記事:50歳以上のすごいランナー



追記:追加で気になったもの


プロテイン

  • 383 - Effects Of Whey, Casein, Or Milk Protein Ingestion On Muscle Protein Synthesis After Endurance Exercise
    • 結論: "It is concluded that milk protein is a ideal protein source that combines the characteristic effects of whey and casein on muscle protein synthesis after endurance exercise."
    • コメント:長距離とプロテインの研究は探してもなかなか見つからないので、これは超貴重!ただしプロテイン商品を作っている明治の研究者の発表という点は差し引いて考える必要あり。
  • 380 - Anti-fatigue Effects Of Long-term Supplementation With Soy Protein Bar In College Sports Teams
    • 結論: "soy protein bar may have potential as an anti-fatigue supplements."
  • 172 - Cycling Performance is Not Enhanced by Either Whey Protein or L-Alanine Intake During Prolonged Exercise
    • 結論: "the ingestion of PRO or ALA alone did not enhance performance during prolonged cycling."
    • 前か後でなく、競技中にプロテインが役立つかの話
  • 378 - Effect of Whey Protein in Carbohydrate-Electrolyte Solutions On Post-Exercise Rehydration
    • 結論: "During a 4 hour recovery after the 60 min run, the CE solution with medium or high whey protein was more effective for rehydration when compared to the CE or CE with low whey protein."
    • 練習後のプロテインとハイドレーション。
ブログ内関連記事:マラソンレース後のダメージと回復時間

有酸素運動

  • 613 - Aerobic Exercise Improves Cardiovascular Disease Risk, According to Aerobic Center Longitudinal Study Cardiorespiratory Fitness Values
    • 結論: " Improvements in CRF consequent to participation in relatively short-term exercise aerobic substantially reduces CVD risk according to ACLS CRF values."
    • 短期間の有酸素運動でも心肺体力を上げると心血管疾患のリスクが激減する
  • 805 - Aerobic Fitness Enhances Working Memory in Older Adults
    • 結論: "Independent of age, PA and body composition, older adults with higher AF had better working memory performances, in terms of reaction times, compared to those with lower AF"
    • 70歳前後の人は有酸素運動によってワーキングメモリが向上

カフェイン

  • 2746 - Creatine And Caffeine Associated Improve Performance In Runners Without Increase In Total Body Weight.
    • 結論: "creatine supplementation works sinergistically with acute ingestion of caffeine improving running performance."
  • 423 - Does Caffeine Consumption Induce Higher Physical Activity In Sedentary People Undergoing An Exercise Intervention?
    • 結論: "Subjects drinking the equivalent of 2 cups of coffee per day or more (i.e. caffeine intake>1.5 g/wk) were able to increase twice more their level of MVPA for a 1-year period compared to subjects having lower caffeine consumption."
    • 40-65歳の人のカフェイン摂取と運動。N=247、一年がかりの大規模実験。
  • 2748 - The Effect Of Caffeine Supplementation On Olympic Distance Triathletes And Triathlon Performance in South Africa
    • 結論: "Caffeine enhanced triathlon performance, but the field effect was not as pronounced as seen in previous laboratory trials."
    • オリンピック選手(トライスロン)へのカフェイン効果


ハイドレーション

  • 1787 - Deep Ocean Minerals Supplementation Enhances Body Rehydration Status Following Exercise-induced Dehydration
    • 結論: "Our results demonstrated that provision of deep ocean minerals can increase recovery status following intense exercise, suggesting that deep ocean minerals supplementation is effective to promote rehydration status."
    • 海洋深層水とプラセボ(水)の給水効果比較。普通のミネラルウォーターとも比べてない理由がよくわからない。N=8。
  • 1809 - Thirst Perception Tracks Progressive Dehydration During Exercise In The Heat
    • 結論: "When our subjects were not allowed to drink, progressive dehydration had a strong association with thirst perception."
ブログ内関連記事:
新常識?水分補給は「渇く前」でなく「渇いてから」という理論
夏に涼しく走る8つのコツ【RW記事より】

プライオメトリックトレーニング

  • 951 - Effects Of Plyometric and Endurance Training On Aerobic and Anaerobic Power.
    • 結論: Plyometric training is an effective means by which to enhance indices of aerobic and anaerobic fitness.
  • 2705 - Improved Economy and Acceleration Profiles Among High School Runners Following Eight Weeks of Plyometric Training
    • 結論:"8 weeks of plyometric training resulted in improved running economy"
オレゴンプロジェクトも、REとスピード強化のためプライオメトリックトレーニングを採用してるそうです。


ブログ内関連記事:モハメド・ファラー所属のオレゴンプロジェクトとは?


高地トレーニング

  • 3395 - The Influence Of Altitude On Aerobic Performance In Peruvian Children And Adolescents
    • 結論: "The advantage of living at high altitude in Peru appears to benefit children’s endurance performance both before and even after controlling for differences in body size, age and maturation."

遺伝

  • 690 - Association Between Actn3 R577x Genotype And Elite Japanese Truck And Field Athlete Status
    • 結論: "ACTN3 R577X genotype was associated with elite Japanese power/sprint athlete status in Asian cohort."
ブログ内関連記事:スポーツと遺伝(スタンフォード大学ゲノム学資料より)



関連記事(ブログ内)

  • 科学的トレーニングで知っておきたいこと 前編中編後編
    研究成果は鵜呑みにしないように注意!
  • なぜ運動前の静的ストレッチは逆効果なのか?
    「長距離走において、ほとんどすべてのスポーツサイエンスの研究結果は競技には役立たずだと思う。」あるサイエンスばりばりのコーチのこの一言、含蓄深いです。本記事に興味があるタイプの人は、この記事で紹介したこのコーチの本も好きなはずです。


関連記事(外部サイト)


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2014/05/31

なぜ運動前の静的ストレッチは逆効果なのか?

大分前に紹介した「賛否両論?ランニングにおける10の俗説」のうち、今回は次の俗説について掘り下げてみたいと思います。


2. ランニングの前にストレッチをすべし
トライアスロンのコーチ、ホリー・ケニー氏の説明によれば、筋肉が温まる前のストレッチは、故障のリスクが高まりますとのこと。

筋肉を伸ばしたまま数十秒静止するいわゆるストレッチは、厳密には静的(スタティック)ストレッチと呼ばれており、運動前に行うことの有害説が近年広まってきています。

この静的ストレッチ有害説、まだ知らなくても無理はありません。プロの方たち(理学療法士、コーチなど)にもまだ完全には広まっていないという、比較的新しい発見なのですから…。


発端

ジェフ・ゴーデットさん(コーチ・著者・フルPR2:22のランナー)の記事によると、Dr. Herbert Popeという研究者のこの論文によって、運動前に静的ストレッチをしてもしなくてもケガの発生とは全く関係ないことがわかったそうです。※すでに故障持ちの方は例外

2000年に発表されたこの研究を発端に、一気に研究が進んだようです。その後、静的ストレッチあるなしで比較をして、実は静的ストレッチをするとかえって垂直跳びや陸上タイムなどのパフォーマンスが落ちる!という研究報告が、いろんな独立した研究から出てきてしまいました。

スポーツ医学団体の見解

NYタイムズやランナーズワールドなどいろいろなところでも取り上げられ、各方面に広まってきています。

ランナーズワールドの「Should I Stretch Before or After My Runs?」(ランの前か後にストレッチをするべきですか?)という記事から紹介すると・・・
専門家によれば、静的ストレッチ(筋肉を伸ばしたまま数十秒静止するストレッチ)は練習前後どちらもすべきではないとされています。練習前は特にで、もしどうしてもやりたいなら練習後にとのこと。このテーマは近年よく論争されていますが、静的ストレッチが怪我を予防したりパフォーマスを向上させるエビデンスはなく、むしろ逆に怪我につながるとのエビデンスあり。
とのこと。

多くの新しい研究結果から、欧州スポーツ医学会のストレッチに関する公式見解では、「最大筋力を測る実験では、静的ストレッチがパフォーマンス低下につながる可能性のある固い証拠が見つかっている」と、スポーツ医学会も従来の考えを見直すに至っています。

※このブログではよく取り上げていますが、スポーツ界ではエビデンス(=根拠・証拠、特に医学生物学系では理論より実験と統計的分析によるもの)もないのに信じられている俗説が意外と多いです。

静的ストレッチあるなしでどれだけパフォーマンスに差が出る?

トップアスリートを多く抱えるナイキオレゴンプロジェクト(記事)の元コーチでスポーツ科学の専門家であるマグネス氏のブログのStretching?? Is it useless?という記事に静的ストレッチをした場合としなかった場合の研究報告が載っていました。
  • 単純運動:ニーエクステンションからベンチプレスまでいろいろなエキササイズで、1RMの6~8%の減少が見られた(※1RM=1回だけならかろうじて反復させられるぐらいの限界の重量)。
  • 垂直跳び:コンスタントに4~5%距離が落ちる報告があります。
  • ジャンプ系テスト:地面接地時間が伸びることがわかっています(ランニングではこれはマイナス)。
  • 40mダッシュ:大学陸上部(LSU)を対象にした実験だと、0.1秒遅くなりました。

これらの研究では、静的ストレッチの静止時間を15秒と30秒で比べても同じような結果で、逆に言うとたった15秒だけ伸ばしただけでマイナス効果が見られたとのこと。やり過ぎた時に悪影響とかではなく、適度に思われる静的ストレッチでも影響が出てしまうんですね。

一方2012年のサーベイ論文によると、もっと長い(60秒以上)静的ストレッチだと悪影響、と少し違う結論を出しています。

なおこの論文は静的ストレッチが筋肉の最大パフォーマンスに及ぼす影響を調べた査読付き論文4559件を調査した力作(そんなにあるのか…!)。その中で統計や実験設定がまともなのだけを選び、傾向を報告しています。グラフを1枚抜き出してみると、多くの独立した研究で同じような傾向、つまり静的ストレッチをすると瞬発力が下がっていることがわかります。

静的ストレッチの効果はマイナス

パワー系は平均して5%もパフォーマンスが下がるんですね…。

静的ストレッチがダメな理由

マグネス氏の同ブログは、ランニングにおける悪影響の原因として、弾性エネルギー(バネ)が失われることを主因としています。
(ストレッチは成績向上につながる?)いいえ、逆に害があります。短距離から長距離まで、多くの研究がパフォーマンスを下げることを裏付けています。どうしてかって?それは神経筋回りで起きる現象が主因なのですが、静的ストレッチにより筋動員低下・筋系の剛性低下が見られ、その結果ランニング中における弾性エネルギーが低下するのです。(訳注:つまり「バネ」が失われるってことですかね。)
The Science of Running - Common Misconceptions in Running


また別記事ではマグネス氏はこう説明します。
バネは固いほうがより多くのエネルギーを蓄え、また放出することができます。昔ならった物理の授業を思い出してください。フックの法則F=-kxによればバネの力Fは変位xとバネ固有の固さkに従います。わかりやすく言えば、硬いバネのほうがより「自由」なエネルギーを持ち、効率がいいということ。長距離走者が走れば走るほど体が硬くなるのには理由があるのです、つまり人間の体は順応するということ。
The Science of Running - Stretching?? Is it useless?

ストレッチして柔らかくなったほうが速くなるというのは、ほとんどのランナーが信じていることだが、実は間違っている・・・との主張です。(学術的な詳細は、こちらの関連文献をご覧ください:論文1論文2論文3


静的ストレッチ有害説の信ぴょう性は高い

同ブログによると、静的ストレッチが有害という仮説は、実験がコントロールしやすいので裏付けの信ぴょう性が高いそうです。
実際の所、長距離走において、ほとんどすべてのスポーツサイエンスの研究結果は競技には役立たずだと思う。モデル上の説明変数を分離しようとするのはいいけれど、本当は変数というは独立したものではないので、全体へ及ぼす影響を無視しているからだ。

だが、ストレッチングの研究は少し違う。結果(パフォーマンス)に対して変数がコントロールしやすいという実験環境にあるからだ。なので、ストレッチをしたときとしていない時で結果がどう変わるかなどが簡単に実験できる。こういった種類の研究はアスリートにとっても役に立つものなのだ。
The Science of Running - Common Misconceptions in Running

「ほとんどすべてのスポーツサイエンスの研究結果は競技には役立たずだと思う」・・・言い切りましたね。現場も知り尽くし、運動生理学の修士まで取り、いろいろな論文を読みあさってブログ紹介しているマグネス氏が言うだけに、痛快です。

他のトピックでも多々あるように、矛盾する結果が報告されることはあるようです(例:十分ウォームアップしてからなら悪影響はなくなるとの論文と、十分ウォームアップしても悪影響があるとする論文)。

ただ、多くの独立した研究結果が「静的ストレッチ→最大筋力低下」合致しているようです。

では静的ストレッチが役に立つのはどういう時?

運動後

(決定的な証拠はないが可能性としては、)もし仮にストレッチによってIGF-1 (インスリン様成長因子)と MGF(メカノ成長因子)の濃度が上昇するなら、運動後の静的ストレッチには効果がある。これらのホルモンを放出させてあげられれば、回復は早くなる上、適応とパフォーマンス向上につながるだろう。
The Science of Running - Stretching?? Is it useless?


故障持ちの人や慢性的な筋肉の緊張がある人

静的ストレッチで可動域が広がっても、それはランニングに本来必要のない箇所の場合が多いです。ただし、ケガや慢性的な筋肉の緊張がある人の場合(例えばふくらはぎなど)、走るのに必要な可動域が普通の人とは変わってくる場合があります。アキレス腱の痛みにつながるぐらいの固いふくらはぎは、ランに必要な足首関節や足底屈の動きを制限してしまうことがあり、そういう人には練習前でも静的ストレッチで可動域を広げることが効果的になります。
The Science of Running - Common Misconceptions in Running

では具体的な症状名はというと、五輪マラソン選手団のコーチなどを務めたマリオ・フライオーリさんの記事によれば、足底筋膜炎やアキレス腱炎にはふくらはぎの静的ストレッチが効果的な模様。故障持ちの方は、主治医にご相談を。


それから、ランニング以外の競技で柔軟性が求められるものや、試合前であっても静的ストレッチによって広げられる可動域によるメリットのある運動では、したほうがいいのかもしれません。これまでの研究からは、一番悪影響が大きいのは瞬発系競技の試合前と推測できます。

練習前は動的ストレッチを

勘違いしてはいけないのは、動的(ダイナミック)ストレッチのほうはむしろ推奨されており、練習前に行うとパフォーマンスが向上することが知られています。

動的ストレッチとは、アメリカスポーツ医学会の出しているACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescriptionによると「ある姿勢から別の姿勢までゆっくり移動し、回数を重ねるごとに徐々に範囲・可動域を広げていくストレッチ法」。

※「ダイナミック」という言葉から連想される激しい動きという意味ではないので注意。

たとえばランニング・タイムズ誌の「練習とレース前はダイナミックストレッチのほうが良い」(英語記事)という記事で紹介されていたメニューは、以下のとおり。

ダイナミックストレッチの例


他にもやり方はYoutubeで探すと動画がいっぱい見つかります。アスリートがやっている動画もあります。


まとめ

「なんとなく」の習慣で運動前に静的ストレッチ(筋肉を伸ばしたまま数十秒静止するタイプのストレッチ)をしている人は多いと思います。

ここ10~15年で急速に研究が進み、運動前の静的ストレッチはパフォーマンスを下げる(特に瞬発系)というエビデンスが多数報告されています。

運動前は静的ストレッチではなく動的ストレッチを、そして静的ストレッチをするなら運動後がいいようです。

※ケガで可動域の問題があるなどの事情がある場合は別。運動種目によっても違うので、詳細は整形外科にご相談を。

おまけ:マグネス氏のThe Science of Running書籍化!

上で引用しまくったマグネス氏のランニングブログ「The Science of Running」ですが、トップアスリートを指導した経験と、最先端の論文からの理論の両方から導き出された知見が惜しげも無く披露されており、大変貴重なリソースです。(ところでマグネス氏がアシスタント・コーチとして働いていたナイキ・オレゴンプロジェクトのゲーレン・ラップ選手が、昨日、事前に予告していたとおり10000mの米国新記録26:44:36を打ち立てました→動画。すごすぎです。この記事でマグネスが語るところによれば、ラップが他の選手と違うのは驚異的な回復力だそうで遺伝、トレーニング両方によるものだろうと語っていました。)

そのマグネス氏のブログが、今年2月に書籍化されていました。The Science of Runningの名の通り、スポーツ科学バリバリの濃い内容で、22章、344ページからなる力作です。アマゾンUSのレビューは、発売3ヶ月ちょっとで40件、5段階中4.5と高評価!日本のアマゾンでもキンドル版と紙の本が買えますが、英語版のみです。


本書には、こんなことが書かれているそうです(裏表紙より)。
  • 疲労とは何か?脳を中心とした疲労についての理論を最先端の研究から紹介
  • なぜ最大酸素摂取量はラボとトラック両方で過大評価・誤解されているのか
  • 心拍「ゾーン」トレーニングは、なぜベストなトレーニングではないのか
  • 練習を個々の生理学的特性に合ったものにカスタマイズする方法
  • 練習プロセスを「刺激」と「適応」という観点からユニークに評価する方法
  • 800mからフルマラソンまでの完全な練習メニュー例
レビューによれば、単なる医学・生物学のゴタクが並べてあるのではなく、すぐランニングに役立つエビデンスベースの知識が書いてある印象。

面白そう・・・(゚A゚;)ゴクリ


マグネス氏の科学ベースのトレーニングに対する考え方はこの記事でも紹介したのですが、彼の作ったあるスライド(下図参照)に集約されていると思います。コーチはアンチサイエンスかサイエンス盲信派の両極端に分かれがちだが、それは両方とも間違っていて、強み・弱みを理解した上で、強くなるための科学知見を有効に利用しようということですね。


【著者プロフィール】
スティーブ・マグネス(Twitter: @stevemagness
現在ヒューストン大学クロスカントリーチーム、ヘッドコーチ。現在コーチする主な選手はJackie Areson (2013世界陸上出場、4:12-1500、15:12-5k)、Sara Hall、Tommy Schmitz。ナイキ・オレゴンプロジェクトでのアシスタント・コーチ経験、オリンピック選手への指導経験もあり。1マイルでのテキサス州高校記録(4:01.02)を保持する元中長距離選手。ヒューストン大学学士(運動生理学、2008年)。ジョージ・メーソン大学修士(運動生理学、2011年)。


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2014/05/30

米ビブラムが1足最大$94の返金手続き開始~5本指シューズの健康効果誇張による集団訴訟を受け

今月初め、ビブラムUSAが集団訴訟を受け和解案を出していましたが、ついに返金申し立てのサイトがオープンした、とランナーズワールドが報じています。
対象商品
ビブラムファイブフィンガー(VFF)シリーズ35種類
対象者
米国で2009年3月21日~2014年5月27日に対象商品を買った人全員
(※以前はレシート不要と報じられていましたが、要レシートになった模様)
返金額
1足あたり最大$94(同様の和解事例に習うと$20~$50になりそうとのこと)、1人2足まで
申し立て締め切り
2014年9月24日
申し立て用URL
https://www.fivefingerssettlement.com/claim/

ビブラムファイブフィンガーシリーズの典型的な5本指シューズ
▲VFF (Vibram FiveFingers) 5本指シューズ BIKILA LS



集団訴訟の背景


この訴訟は2012年から続くものだそうです。ようやく辿り着いた今回の和解については日本のニュースメディアはほとんど取り上げていないようです。
 手袋のように5本の足の指をそれぞれ分けて履くランニングシューズを製造・販売しているビブラムUSA(株式非公開)が、5本指シューズの健康効果を誇張していたとして提訴されていた件で和解に向けて動き始めた。

 ビブラムは自社製品の購入者に総額375万ドル(約3億8100万円)を支払うと提案したほか、今後は広告の中で健康効果をうたうことをやめると明言した。

 集団訴訟の原告団はマサチューセッツ州の地方裁判所に訴状を提出、その中で、5本指シューズを履けば筋肉が鍛えられてけがを予防できる、という根拠のない宣伝文句のおかげで、ビブラムは1足100ドル近い価格でランニングシューズを販売することができたと主張している。
(2014/5/9) ウォールストリートジャーナル日本版:靴メーカーのビブラムUSA、健康効果訴訟で和解案


なお、日本は対象外・・・?
ビブラムファイブフィンガーズを日本に輸入しているBarefootinc Japanに日本での対応を聞いてみると「日本法人としては米国の訴訟で問題になったような誇張表現についてはもとから取っていないので、特に返金対応などは予定しておりません。今後も、正しい使い方の周知を徹底させていきたいと思います」とのことだった。
(2014/5/13)日刊SPA! - 「ベアフットラン」用靴で米靴メーカー、集団訴訟で返金に



ビブラムのマーケティング


私はVFFを持っていないので感想は書けませんが、売り文句が誇張されすぎてるな~と思うことはあります。

裁判資料(英語PDF)によれば、ビブラム社が科学的根拠に基づかずに広告やウェブサイトで主張していたというVFFの効果は以下のとおり。
(1) 足と下腿の筋肉を強化する
(2) 足首、足、つま先の可動域を広げる
(3) バランスと敏しょう性に重要な神経系を刺激する
(4) 背骨の歪みを取り、姿勢を改善する
(5) 足とカラダが自然に動けるようになる

ビブラムUSAの元CEOはマーケティング戦略がうまい人だったみたいです。
ビブラム社は元々は保守的で、宣伝なども殆どしない会社。いい物は宣伝しなくても売れる。そんな会社なのですが、Vibram USAの代表のTony Postは超マーケティングが出来る人で、戦略をしっかりと立て、BORN TO RUNという世の中のランナーに超強烈な衝撃を与える本とリバーマン博士の裸足で走った方が衝撃が激減するというデータとBIKILAの発売を合わせたのです。
(引用元:吉野剛の裸足ランニング - ビブラムファイブフィンガーズ開発秘話

↑ブログ村でも有名人、裸足ラン第一人者吉野さんという方のブログ。貴重なビブラム社についての歴史についての日本語記事で、興味深いです。

ちなみに米ビブラム元代表のTony Postですが、独立してシューズ会社を作り、自身の名前を縮めた「Topo」というシューズを作りました。「生まれながら本来持っているバイオメカニクスを増幅する」という謳い文句の、なんと2本指シューズです(笑)。以前書いた記事で触れましたので、ご参考まで:「はじめてのレースシューズ!【日米流行比較編】


トランジションは必須


ベアフット・ミニマリスト系シューズでケガをしにくい鍵は、「トランジション」(移行)の仕方だと言われています。距離や練習強度を徐々に増やしていったり、間にクッションやヒールトゥドロップが中間レベルのシューズを挟んで慣らすことですね。

コーチ・著者のジェイソン・フィッツジェラルド氏は、VFFへのトランジションは2~3年はかかることもあると言っています(ソース)。でも、聞くところによると、慣らしもせず普通のシューズから一気に切り替えてケガをするパターンは多いようですね。


履き回しの効果


ところで昨年、違うタイプのシューズを履き回したほうが怪我のリスクが減るかもしれない、という論文(英語)が発表されました。種類の違うシューズを履き回したほうが、それぞれ違う種類の筋肉に負荷を分散でき、ケガのリスクが減るようです。

海外の人気ブログ「ラン・ブロガー」の著者でフォーム分析が専門の元大学教授、ラーソン氏もこの考えを以前から持っており、例えばこの記事では、クッション系、レース用、トレイル用、ウルトラミニマル、ミニマルなどを履き回しレパートリーとしてあげています。

もしビブラムが効果的だとしたら、それは違うタイプのシューローテーションの恩恵によるものも大きいのかもしれませんね。私もそういう意味でミニマリスト系に興味あります。

ともかく、履くだけで痩せると謳ったシューズも訴訟になりましたが、履くとけが予防とか、短絡的な売り方はよくないですね!

※今回は短絡的な誇張マーケティングのせいで問題になりましたが、ビブラムが好きな方は何もやめる必要はないと思います。合っている人には合っているんでしょうし、これから長期的な効果が発見されていくかもしれませんし、裸足の感覚で走っていて楽しい・気持ちいい、というならそれをやめる必要はないですからね・・・!


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2014/05/22

「アンティークの首都」アダムスタウンへの旅で25軒のショップを巡ってきた話

2ヶ月前に「アンティークの首都」と呼ばれる、アダムスタウンに友人家族と1泊旅行で行ってきました。遅ればせながら、写真の整理ついでにレポしたいと思います。



アダムスタウンペンシルベニア州ランカスター郡にあり、うち(ピッツバーグ)から車で東に4時間。上の地図上の青で囲った所がそうです。


地図の右端に見えるのがニューヨーク・マンハッタン島ですが、そこから日本人向けのアダムスタウンへの買い出しツアーが出てるぐらい、アンティーク好きの人には有名な町のようです。

以前オハイオにアンティーク旅行に行った時は、巨大アンティークモールがどどーんとありました(参考:「全米最大のアンティークモールへの旅」)。今回はお店が各地に点在していましたが、一番密集していたのはアダムスタウン内でした。

アダムスタウンは小さい町で、片道1車線の272号線沿いにほとんどのお店があります。

ちょっとややこしいのですが、ファイヤーキングを作っていたアンカーホッキング社の本社のあるランカスターはオハイオ州。今回行ったランカスター郡はペンシルベニア州です。こっちのランカスターは、今でも電気などに頼らず馬車に乗って生活しているアーミッシュが住んでいることで有名です。


ではさっそく、写真とともにアンティークの旅をご紹介していきたいと思います。

まずは食器類充実のパインヒルズ(Pine Hills Antique Mall)から。
※写真はクリックで拡大

ファイヤーキング・ジェダイの棚
▲ファイヤーキングシリーズのジェダイ(緑のやつ)が人気だとか

どの店か忘れましたが、店員さんが友人家族を見るなり「ジェダイピープルが来た」と言ったそうです。

日本人はそれだけピンポイントに狙って買い漁って行くんでしょうね…。

私を含め、アンティークに詳しくない普通の人にとっては「ジェダイ」と言ったら、ライトセーバーを持ったフォースを操る選ばれし人たちのはず・・・。そう思うと、ジェダイピープルはなんだかカッコイイ響きですねw

※ファイヤーキングのジェダイはjadeite(ヒスイ)であって、jediではありません。



アンティークモールのブース
▲出店者(ディーラー)はブースまたはショーケースを借り、お店に販売を任しています。出品者がたまにいることもありますが、大抵いないので値切ったりはできません(例外あり)。

ここにもジェダイが…。
日本では1個数千円~数万円で取引されているとか。


Pine Hills Antique Mall
▲種類ごとにまとまってたりはしないので、全部のブースを回ることになります。


アンティークグラスの山!
▲うちの奥さんは感動してましたが、私にはよくわからず(^_^;)


ファイヤーキングのブース
▲同ブース。ここは有名なようで、いろんなアンティーク好きの方のブログでこのブースの写真を見かけました。


ファイヤーキングのマグカップ
▲大量のファイヤーキングマグカップ


サワークリーム・グラス
▲サワークリーム・グラス。中にサワークリームが入って売られていたとか。
うちの奥さんは、普段あまり見たことないと目を輝かせて言っていました。


アンカーホッキング社
▲アンカーホッキング社のかな?


パイレックス キャセロール
▲コーニング社(オールド)パイレックス キャセロール


パイレックス
▲パイレックス、床にまで溢れてます。



▲赤の縦縞のコップ(ヘーゼルアトラス)、目立ってました。


ピンクスワール、ターコイズブルー、アズライト(ファイヤーキング)
▲ジェダイの他、ピンクスワール、ターコイズブルー、アズライトも。
同じピンクでもローザイトはもっとレアなので、見かけなかったそうです(嫁談)

レアなジェダイ
▲レアなジェダイ?


食器系以外だと、レニンガー(Renninger's Antiques/Collectibles Market)という店も見応えありました。

Renninger's Antiques/Collectibles Market
▲広くてゴミゴミしててガラクタ率も高く、なかなか面白い場所です。
ただ、中はホコリっぽいです。

モーフィー(Morphy Auctions)という店では、運が良ければオークションが見られます。
一応アンティークも売っていますが、他の店とはちょっと趣向が違いました。


▲ゴールドディスク


▲ビールサーバー


他にも、他店で気になったのを紹介します。

ダック・デコイ
▲ダック・デコイ。鴨狩り用のオトリのダックです。
集めてる人いるんですね?


Hemingrayインシュレーター
▲Hemingrayインシュレーター。
100年前は電柱の上にこれが乗っていたらしい。
こんなの集めてる人いるんですね(^_^;)



▲感謝状
なぜかこんなのが売られていました。
こんなの集めてる人いるんですかね(*_*;



▲和物もちらほらありました。



▲ガラクタ?
こんなの集めてる人…(略)


アメリカ駐在妻の3種の神器「ロンガーバーガー」
▲ロンガーバーガー

ファイヤーキングとロンガーバーガーには意外な共通点が!

アメリカ駐在妻の3種の神器と言えば、Fire King、ルクルーゼ、ロンガーバーガー
(引用元:アメリカごはん2)なんだそうです( ・∀・)つ〃∩ヘェーヘェーヘェー

※ちなみにこの駐妻3種の神器、検索するとソース多数です。ルクルーゼのかわりにウッドクラフトだったりとバリエーションもあるみたいです。


ハーシータウン
▲今回ハーシータウンの近くの店にも寄りました。
ハーシーは、あのハーシーチョコレートの町です。
写真はキスチョコの電灯@チョコレート通りとココア通りの交差点








というわけで、今回の旅行は全部で25軒ほどまわりました。

アダムスタウン周辺アンティークショップ一覧
▲10~21がアダムスタウン内のショップです。

今回写真をたくさん取り上げた16番パインヒルズは、テーブルウェアがたくさんあり、日本人に特に人気が高いようです。

Pine Hills Antique Mall
3 Adams Dr, Reinholds, PA 17569
717-484-6313
http://pinehillsantiquemall.com/
営業日:木曜~月曜(10時~17時)
定休日:火曜・水曜

13番スタウトブラックアンガス、14番レニンガーも大きいモールなので、見応えがあると思います。公式サイトによれば、それぞれ屋内ディーラー数は300と375。レニンガーは冬以外の日曜には早朝から屋外マーケットも開き、さらに300のディーラーが出店するとか。

※普通のお店は50~150ディーラーぐらい、全米最大のハートオブオハイオで650。

アダムスタウンは業者や目の肥えた人も多く、安くていいものはすぐ売れてしまうんでしょうね。商品の流動性が高い(=適正価格近くで売られる)ので、全体的に強気価格のものが多かったそうです。それでも日本で買うより全然安いようですが・・・。

レアなグラスもいっぱいあって、奥さん的に大満足だったようです!


アンティーク旅行の収穫
▲今回のアンティーク旅行の収穫。
1個3~5ドルで済みました。
ジェダイとか集めてなくてよかった( ´Д`)=3


旅のおかげで、うちの奥さんのアメリカンアンティーク食器コレクションがまたまた増えました。

アンティークコレクション1
▲コレクション1


アンティークコレクション2
▲コレクション2



P.S. 最近買ってきたという皿を見てみると・・・


▲左からオールドパイレックス、ポーランド食器、ファイヤーキング。

・・・!?

(つд⊂)ゴシゴシ

( ゚д゚)ハッ!

どこかで見た緑のブツが・・・!

ついにジェダイに手を出し始めたようですw
近所の掘り出し物で2ドルだったそうなので・・・まあ、いいかな?


※アメリカでは「アンティーク」というと厳密には製造後100年以上のものを指し、それより若いものはヴィンテージと呼ぶ習慣があるそうです。これは1966年に税法の便宜上作られた区別が発祥とか(ソース)。両方総称してコレクティブル。この区別を曖昧に使うショップもありますし、会話ではアンティークが総称みたいになっていることもあり、このエントリーでも全部ごっちゃにしてアンティークと呼んでいます。

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