2013/06/13

ウルトラマラソンの痛み止め普及率が高すぎる件

フルマラソン42.195kmより長距離のウルトラマラソン。100kmはざらで、さらにいろいろな距離の大会があるようです。私はまだフルでもいっぱいいっぱいなので出ることすら考えたことはないですが、ウルトラマラソン関係のブログを読むのは好きです。

ブログ村のマラソンカテゴリーでも50kmとか60kmの練習会をやっているそうです(オカンさんのブログより)。練習でそれだけ走るってすごいですなぁ・・・。私は1回の練習では30kmちょっとしか走ったことないです。いつかはウルトラデビューする日が来るんでしょうか?!


ウルトラマラソンといえば、読売新聞のこの記事が面白かったです。
24時間でそんなにも走れちゃうものなんですね。耐久レースでのトイレの話なども生々しく、様子が伝わって来ました。岩本さんの数字でランの他の記事も面白いです。


それから、今年4月に14日間かけて1100km(!)を走破する、第1回台湾一周 国際ウルトラマラソン「ツール・ド・台湾」というのがあったそうですが、そこでなんと日本人の井上真悟選手が109時間25分21秒で優勝したそうです。ここ数日、井上選手のブログにレースのレポートが上がってきており、興味深く読んでます。

大陸を走って横断する僕の話。


また、ちょうどタイミングよく、ウルトラマラソンランナーと鎮痛剤・サプリに関するこんな記事がRunner's Worldに上がっていました。

記事中で紹介されている論文によると、スペインで行われたアル=アンダルス・アルティメット・トレイル・レース(5ステージ、計230km)に出場した32人のウルトラマラソンランナー(男26人、女6人、平均39.5±7.9才、ウルトラ歴7.7±9年)へのアンケートの結果、44%の人がレースまたは練習中に鎮痛剤・痛み止めを使ったことがあり、3%の人が常用してるとのこと。230kmのレースに出ようと思うかなりの熟練ウルトラランナーでもやっぱり痛みが出てしまうって、本当に限界を超えた過酷な距離なんですね・・・。

使用した鎮痛剤はNSAID/非ステロイド性抗炎症薬(60%)、アセトアミノフェン(40%)。使用目的は筋骨格痛 (筋肉痛、関節痛、骨痛)を抑えるため(65%)、疲労対策(24%)。医師に処方してもらった人はたった6%。使用のきっかけは友人のすすめ(56%)、自分で調べて(22%)、コーチから(6%)。入手経路はお店(47%)、薬剤師・薬局(47%)、インターネット(6%)。副作用があることについては3分の2の人が知っており、認知度は腎不全(27%)、胃腸障害(18%)、肝不全(9%)。

サプリメント・補給の使用率については、スポーツドリンク・電解液(67+%)、炭水化物飲料・ビタミン(50+%)、ハーブサプリ(38%)、ミネラル(38%)、マグネシウム(28%)、アミノ酸(25%)、カフェイン(22%)。論文のアブストラクトしか一般公開されていないため詳細はわかりませんが、逆にこっちはスポーツドリンクやアミノ酸の使用率が意外と低い気がしました。(あとマグネシウムがミネラルに入ってないのがちょっと謎。)

論文では、ウルトラマラソンでこんなに痛み止めが普及しているのも関わらず、3分の1の人が重い副作用について知らないということに警鐘を鳴らしています。脱水と鎮痛剤の組み合わせは腎不全のリスクが高くなり、もしそうなったら透析の可能性も…。

マラソン・ウルトラマラソンで痛み止め(上の井上選手のレポにも出てくるロキソニンなど)を飲んでいる方へ。効果てきめんなのでついつい飲んでしまいがちです。私も飲んだことがありますが、魔法のように効いてびっくりしました。ただ、飲まざるを得ない時は持病に注意し、脱水には要注意です。もし可能なら医師に相談しましょう。

ちなみにピッツバーグマラソンに出た時に、整形外科と内科の先生と一緒に行動していてそういう話になったときに聞いたのですが、整形外科と内科では痛み止めの使用に関する認識が少し違うこともあるようです(内科のほうが慎重)。なおその内科の先生は、お守りとしてしっかりロキソニンを携帯してらっしゃいました(笑)



サイト内関連記事


外部サイト関連記事
  • 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎不全(PDF
    • NSAIDs、ACEI、ARB による腎前性急性腎不全は有効循環血液量の減少が大きな危険因子である。有効循環血液量の減少の最も多い原因が脱水である。」
  • ウィキペディア:NSAIDs
    • NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)系鎮痛剤は具体的にはロキソニンイブプロフェンなど。
  • 2013/4/20 マラソン前の鎮痛薬の予防的使用は臓器にダメージを与える
    • 薬剤師さん執筆の専門的な記事。BMJの上と似たような論文や日本内科学会雑誌掲載の運動後急性腎不全についての論文など、関連文献へのポインター多数あり。曰く「急性腎不全の発症には脱水が重要な因子となるので、マラソンなんかは一番危険かも。」
  • iRunFar.com - Ibuprofen and Its Effects During Ultramarathons
    • イブプロフェン摂取とウルトラマラソンへの効果を調べた論文を3本紹介している英語記事。コメント欄も白熱。

関連論文
  •  Küster et al. 2013. "Consumption of analgesics before a marathon and the incidence of cardiovascular, gastrointestinal and renal problems: a cohort study". BMJ Open 2013; vol 3 issue 4. (abstract)
  • Wharam et al. 2006. "NSAID use increases the risk of developing hyponatremia during an Ironman triathlon", Medicine and Science in Sports and Exercise. 38(4): 618-622. (abstract)
    • 「アイアンマン・トライアスロン中のNSAIDの使用は低ナトリウム血症のリスクを高める」
  • Gorski et al. 2011. "Use of NSAIDs in triathletes: prevalence, level of awareness and reasons for use". Br J Sports Med 2011;45:85-90. (abstract)
    • 「トライアスリートにおけるNSAIDの使用実態およびリスク認識調査」
  • Davis et al. 2001. "Exercise-associated hyponatremia in marathon runners: a two-year experience".  The Journal of Emergency Medicine, vol 21, issue 1, pages 47–57.
    • 「マラソンランナーと低ナトリウム血症:2年間の経験から」。マラソン大会で低ナトリウム血症になった患者を調べたところ、NSAIDの使用傾向があった。
▼記事がお役にたったら、いいね!お願いします♪




0 件のコメント:

コメントを投稿