2014/06/03

誰でも受けられる!ダニエルズ氏のオンラインコーチサイト

ジャック・ダニエルズ氏作成の練習メニューを個々に合わせて提供するオンラインコーチングサービスをご存知ですか。

Run S.M.A.R.T. Project社が提供する「カスタムトレーニングプラン」です。
有料で、しかも英語での読み書きができないとダメですが、世界中どこからでも受けられるのはダニエルズさんファンには朗報かもしれません。

距離は800m~フル、練習期間は8週間~24週間です。

今(6月)からだと、秋・冬のレースに向けてちょうどいいぐらいかもしれないですね。


提供サービス(公式サイトより翻訳)

  • 伝説のコーチ Dr.ジャック・ダニエルズ(とRun SMARTコーチ陣、エリートアスリート)による練習計画
  • あなたの走歴に合わせカスタマイズしたワークアウト
  • ワークアウトごとのペース設定も個別カスタマイズ
  • 成果が出るにつれ、設定ペースを更新
  • 練習ログ管理ソフト「VDOT O2」へのアクセス

プラン/値段例

  • フルマラソン対策のスタンダードプランが24週プランで100ドル・・・Designed By Dr. Jack Daniels, personalized for you
  • 初マラソン完走プランが18週80ドル・・・Jack Daniels’ Finish Your First Marathon
  • サブ2時間30分専用のエリートプランが18週80ドル・・・Jack Daniels’ Elite Marathon

上はあくまで一例で、実際はすごく細かく分かれてます。

「伝説のコーチ」プライスとは思えないほど安いんで、想像するにたぶんプランを作ってもらうだけで、直接ダニエルズさんと話したりはできないんだと思います(当たり前かw)。

同社は他にも、もっと踏み込んだ「プライベートコーチングプラン」も提供。こっちはさらにメール相談(回数無制限)、電話でのレビュー/相談(週一まで)、などがついているそうです。

コーチはダニエルズさんではないのですが、コーチ一覧ページを見ると豪華です。元オリンピック選手や、元全米チャンピオンレベルばかりがコーチ陣に並んでいます(現在全部で10人ほど)。

こちらの値段は3ヶ月コースが月間$150、6ヶ月コースが月間$140、12ヶ月コースが月間$130。


VDOT O2 

コーチとの練習記録・練習計画の共有は、同Run SMART Project が開発した VDOT O2 というウェブアプリを使って行います。下のようなカレンダー形式の練習計画・ログ管理+SNSのようなサイトです。今はまだ開発中のβ版なので、βユーザーから招待された人と、上の有料プランの会員だけしかサインアップできません。

VDOT O2
▲VDOT O2(β版)。右上に出てるのはVDOT値です。


実はRun SMART Projectの人がこのブログのダニエルズさん記事を読んでくれたようでお誘いがあり、私も去年からβユーザーで試用しています。

もしVDOT O2を使ってみたいという方がいたら10人までご招待できるようなので、scr.desu AT gmail.com までご連絡ください。


ダニエルズ計算機

そうそう、ダニエルズ式ランニング用計算ツールの使い方の記事、いろんなサイトで紹介していただいてるようなので、ちょっと更新しました。新しい画面デザインに対応してます。

Before:

After:
ダニエルズ式ランニング計算機
落書きみたいだった説明書きも、ちゃんとした画像になりましたw

このツールですが、Run SMART社の中の人に聞いたら現在多言語対応を検討中だそうです。日本語化されたらまた更新したいと思います。


まだ使ったことが無い方は、ぜひ使ってみてはいかがでしょう?
VDOT表いらずで簡単にぱぱっとレースペース換算や練習ペース計算ができるので便利です。

活用方法は、上の記事を紹介してくださった方々の記事もぜひご参考に・・・。

※漏れがあったらすみません。他にもSNSで多数広めていただいた模様。使い方記事が少しでも参考になったなら、幸いです。


ジャック・ダニエルズ氏とは?

著書「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」が有名で、アマゾンページの「最も参考になったカスタマーレビュー」(by 植田さん)から引用すると・・・
ロンドンオリンピックの陸上競技長距離種目で金メダル2個のモハメド・ファラーや10000m銀メダルのゲーレン・ラップはこの理論に基づいてトレーニングを行っているそうです。アフリカ勢が長く上位を独占してきた長距離種目ですが、この理論が浸透してから、アメリカでは長距離選手が次々と誕生し、成果を上げています。日本でも高岡寿成さん(マラソン日本記録保持者)が紹介し、一気に広まりました。個々のトレーニング内容の解説が具体的で、メニューを多く例示しているので、多くの中長距離選手、市民ランナーのバイブルになるのではないでしょうか。
元オリンピック選手で、運動生理学の博士号を持つ研究者でもあり、ランナーズワールド誌から「世界のベストコーチ」に選出されたコーチでもあります。



▲写真:現役時代のダニエルズさん

ダニエルズ氏出没情報

今年8月までは以下のレースに出没するそうなので、行く予定のある方は生ダニエルズさんが見られるかも?!




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2014/06/02

ACSM2014から最新ランニング研究15本

というわけで、先週の米国スポーツ医学会の年次会議で発表されたてほやほやの研究から、ランニング関連の気になるものを探してみました。




3500件(!)もある発表から検索ツールでランニングに関係してそうなのを絞り込んでアブストラクトをざっと流し読みしただけなので、間違っていたりしたらごめんなさい。アブストラクト全文がプログラムから読めるので、発表番号を手がかりに探してください。あと、他にも面白そうなのがあれば教えて下さい。


※RE=ランニングエコノミー(走りの経済性、つまり燃費のようなもの)。


ブログ内関連記事:
・ 「スニーカー走歴5年のランナーが初めてターサーで走った結果」
・ はじめてのレースシューズ!【番外編:試着して驚いたシューズ】・・・日本で製造中止になり、アメリカで独自の進化を遂げたエリクサー7が登場

なるほど、そうするとトランジションで起きる変化は、ミニマリスト以外では使わないような鍛えにくい筋肉が鍛えられることになるのかな?

ブログ内関連記事:
米ビブラムが1足最大$94の返金手続き開始
裸足系vsクッションたっぷりシューズ、フォームに違いは出るか?


そういえば昨年のACSM2013と比べるとベアフット・ミニマリズム系の発表件数は明らかに減ってます。

REは1kmを走るのに必要な酸素の量 [ml/kg/km]を表します。ケニア人エリートランナーで190あたりだそうですが、中には150ぐらいの人もいるそうで、個人差大きいですね。VO2max [ml/kg/min]はここまでばらつかないはず。

東アフリカ勢が突出して強い理由を探った記事、良い資料があるので書きたいと思いつつ、下書きのまま半年放置中です…。








音楽テンポとジャンルが影響するっていう研究を取り上げた記事が書きかけになったまま半年放置されてるんですが(笑)、そこで私が個人的に感じてるランに合う音楽の条件としても、テンポ(の倍数)とケイデンスが合っている曲というのがあります。Jamiroquai - Virtual Insanity、Aerosmith - Love in an Elevator、Metallica - That Was Just Your Lifeなど。



※あくまで一指標の数値に影響するかです。
ブログ内関連記事:怪我予防のために知っておくべき3つの陥りがちな罠

ブログ内関連記事:データで見る体脂肪率と(ウルトラ)マラソンのタイムの関係

これは自分的にちょっと意外。

ブログ内関連記事:トレッドミルのよくある疑問と答え【ランナーズワールドより】

ブログ内関連記事:50歳以上のすごいランナー



追記:追加で気になったもの


プロテイン

  • 383 - Effects Of Whey, Casein, Or Milk Protein Ingestion On Muscle Protein Synthesis After Endurance Exercise
    • 結論: "It is concluded that milk protein is a ideal protein source that combines the characteristic effects of whey and casein on muscle protein synthesis after endurance exercise."
    • コメント:長距離とプロテインの研究は探してもなかなか見つからないので、これは超貴重!ただしプロテイン商品を作っている明治の研究者の発表という点は差し引いて考える必要あり。
  • 380 - Anti-fatigue Effects Of Long-term Supplementation With Soy Protein Bar In College Sports Teams
    • 結論: "soy protein bar may have potential as an anti-fatigue supplements."
  • 172 - Cycling Performance is Not Enhanced by Either Whey Protein or L-Alanine Intake During Prolonged Exercise
    • 結論: "the ingestion of PRO or ALA alone did not enhance performance during prolonged cycling."
    • 前か後でなく、競技中にプロテインが役立つかの話
  • 378 - Effect of Whey Protein in Carbohydrate-Electrolyte Solutions On Post-Exercise Rehydration
    • 結論: "During a 4 hour recovery after the 60 min run, the CE solution with medium or high whey protein was more effective for rehydration when compared to the CE or CE with low whey protein."
    • 練習後のプロテインとハイドレーション。
ブログ内関連記事:マラソンレース後のダメージと回復時間

有酸素運動

  • 613 - Aerobic Exercise Improves Cardiovascular Disease Risk, According to Aerobic Center Longitudinal Study Cardiorespiratory Fitness Values
    • 結論: " Improvements in CRF consequent to participation in relatively short-term exercise aerobic substantially reduces CVD risk according to ACLS CRF values."
    • 短期間の有酸素運動でも心肺体力を上げると心血管疾患のリスクが激減する
  • 805 - Aerobic Fitness Enhances Working Memory in Older Adults
    • 結論: "Independent of age, PA and body composition, older adults with higher AF had better working memory performances, in terms of reaction times, compared to those with lower AF"
    • 70歳前後の人は有酸素運動によってワーキングメモリが向上

カフェイン

  • 2746 - Creatine And Caffeine Associated Improve Performance In Runners Without Increase In Total Body Weight.
    • 結論: "creatine supplementation works sinergistically with acute ingestion of caffeine improving running performance."
  • 423 - Does Caffeine Consumption Induce Higher Physical Activity In Sedentary People Undergoing An Exercise Intervention?
    • 結論: "Subjects drinking the equivalent of 2 cups of coffee per day or more (i.e. caffeine intake>1.5 g/wk) were able to increase twice more their level of MVPA for a 1-year period compared to subjects having lower caffeine consumption."
    • 40-65歳の人のカフェイン摂取と運動。N=247、一年がかりの大規模実験。
  • 2748 - The Effect Of Caffeine Supplementation On Olympic Distance Triathletes And Triathlon Performance in South Africa
    • 結論: "Caffeine enhanced triathlon performance, but the field effect was not as pronounced as seen in previous laboratory trials."
    • オリンピック選手(トライスロン)へのカフェイン効果


ハイドレーション

  • 1787 - Deep Ocean Minerals Supplementation Enhances Body Rehydration Status Following Exercise-induced Dehydration
    • 結論: "Our results demonstrated that provision of deep ocean minerals can increase recovery status following intense exercise, suggesting that deep ocean minerals supplementation is effective to promote rehydration status."
    • 海洋深層水とプラセボ(水)の給水効果比較。普通のミネラルウォーターとも比べてない理由がよくわからない。N=8。
  • 1809 - Thirst Perception Tracks Progressive Dehydration During Exercise In The Heat
    • 結論: "When our subjects were not allowed to drink, progressive dehydration had a strong association with thirst perception."
ブログ内関連記事:
新常識?水分補給は「渇く前」でなく「渇いてから」という理論
夏に涼しく走る8つのコツ【RW記事より】

プライオメトリックトレーニング

  • 951 - Effects Of Plyometric and Endurance Training On Aerobic and Anaerobic Power.
    • 結論: Plyometric training is an effective means by which to enhance indices of aerobic and anaerobic fitness.
  • 2705 - Improved Economy and Acceleration Profiles Among High School Runners Following Eight Weeks of Plyometric Training
    • 結論:"8 weeks of plyometric training resulted in improved running economy"
オレゴンプロジェクトも、REとスピード強化のためプライオメトリックトレーニングを採用してるそうです。


ブログ内関連記事:モハメド・ファラー所属のオレゴンプロジェクトとは?


高地トレーニング

  • 3395 - The Influence Of Altitude On Aerobic Performance In Peruvian Children And Adolescents
    • 結論: "The advantage of living at high altitude in Peru appears to benefit children’s endurance performance both before and even after controlling for differences in body size, age and maturation."

遺伝

  • 690 - Association Between Actn3 R577x Genotype And Elite Japanese Truck And Field Athlete Status
    • 結論: "ACTN3 R577X genotype was associated with elite Japanese power/sprint athlete status in Asian cohort."
ブログ内関連記事:スポーツと遺伝(スタンフォード大学ゲノム学資料より)



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    「長距離走において、ほとんどすべてのスポーツサイエンスの研究結果は競技には役立たずだと思う。」あるサイエンスばりばりのコーチのこの一言、含蓄深いです。本記事に興味があるタイプの人は、この記事で紹介したこのコーチの本も好きなはずです。


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