2013/10/03

【シカゴマラソン2013出場選手紹介】2週間で世界記録塗り替えなるか?!(10/13)

<10/13追記>
本日21:30~シカゴマラソン2013を実況中継します
↓ ↓ ↓
結果出ました。
【速報:大会新】シカゴマラソン2013男子はデニス・キメットが大会新記録で優勝


先日ベルリンでウィルソン・キプサングによって男子フルマラソンの公認コース世界記録2:03:23が出たわけですが、10/13(日)はシカゴマラソン2013!

今回も日本人選手はもちろん、優勝候補の東アフリカ勢も含めた注目選手をまとめてみました。・・・今回もとんでもないメンバー勢ぞろいです。

非公認コース・ボストンで2:03:06の記録を持つモソップ(しかもこれ初マラソンですよ・・・)がぶっちぎりの優勝候補と言いたいところですが、他にフルマラソン公認コース歴代世界記録11位以内に入る選手が3人ハーフの歴代世界記録5位以内が3人出る予定です(笑)

そのフルの3人とは、キメット(フルPR 2:04:16、歴代6位)、アブシェロ(2:04:23、7位)、Eムタイ(2:04:40、11位)。ハーフの3人はタデッセ(ハーフPR 58:23、歴代1位)、ツェガイ(58:47、4位)、キトワラ(58:48、5位)。

ベルリンもすごかったですが、シカゴもとんでもない選手が現役で大集合していて、豪華すぎて思わず笑ってしまいました。上に挙げた選手だと誰か勝ってもおかしくないし、世界記録が出てもおかしくないと思います。白熱したレースになりそうです…。


以下、ソースは主にシカゴマラソンのプレスリリース(9/5)、エリートランナーリスト報道陣用の資料ランナーズワールド。細かい選手情報はウィキペディアページと選手のプロフィールページ(下の表からリンクしています)からも拾ってます。敬称略。

<10/11追記>
レース直前インタビュー(英語記事)の回答内容を本文中に追加しています。


男子

大会記録は2012年の2:04:38 (ツェガエ・ケベデ)。

2013年の注目選手は以下の通り。

選手国籍PR
Moses Mosop
モーゼス・モソップ
KEN2:03:06
(Boston 2011)
Dennis Kipruto Kimetto
デニス・キメット
KEN2:04:16
(Berlin 2012)
Ayele Abshero
アエレ・アブシェロ
ETH2:04:23
(Dubai 2012)
Emmanuel Mutai
エマニュエル・ムタイ
KEN2:04:40
(London 2011)
Tilahun Regassa
ティラフン・レガッサ
ETH2:05:27
(Chicago 2012)
Sammy Kitwara
サミー・キトワラ
ETH2:05:54
(Chicago 2012)
Tariku Jufar
タリク・ジュファー
ETH2:06:51
(Houston 2012)
Atsedu Tsegay
アツェデュ・ツェガイ
ETHdebut
Dathan Ritzenhein
デイゼン・リツェンハイン
USA2:07:47
(Chicago 2012)
Mike Kigen
マイク・キゲン
KEN2:08:24
(Dubai 2013)
Yoshinori Oda
尾田 賢典
JPN2:09:03
(Tokyo 2011)
Micah Kogo
ミカ・コーゴ
KEN2:10:27
(Boston 2013)
Zersenay Tadese
ゼルセナイ・タデッセ
ERI2:10:41
(Amsterdam 2011)
Matt Tegenkamp
マシュー・テゲンカンプ
USAdebut
Michael Shelley
マイケル・シェリー
AUS2:11:23
(Amsterdam 2011)
Kenji Higashino
東野 賢治
JPN2:12:13
(Beppu 2013)
Hiroaki Sano
佐野 広明
JPN2:12:14
(Nobeoka 2013)
Hirokatsu Kurosaki
黒﨑 拓克
JPN2:12:22
(Nobeoka 2013)
Yoshiki Ohtsuka
大塚 良軌
JPN2:12:51
(Beppu 2013)
Hiroki Tanaka
田中 宏樹
JPN2:13:09
(Tokyo 2013)
Norihide Fujimori
藤森 憲秀
JPN2:13:11
(Tokyo 2013)


モーゼス・モソップは世界最速クラスのケニア人選手で、優勝候補。1985年生まれ、身長152cmの小柄ランナー(10/13追記:ただし全然違う身長を載せている記事もあり)。スポンサーはナイキ。

「公認」コースのフルマラソン世界記録は9/29ベルリンマラソンで出たばかりのウィルソン・キプサングの2:03:23ですが、モソップはボストンマラソン2011にて、非公認コースでの初フルの世界記録2:03:06を出しています(その時はGムタイが、非公認コースの世界記録2:03:02で優勝、彼は来月のNYCに出ます)。マイナーな距離ですが、トラックの世界記録 25,000m (1:12:25) と 30,000 m (1:26:47) も2011年に記録しています。

ちょうど2年前のシカゴマラソン2011で、直前の体調不良(自己申告で仕上がり具合85%)にもかかわらず大会記録樹立の2:05:37で優勝。ただし、翌年のシカゴ2012は上位3人全員が前年のモソップ大会記録を超える、超高速レースだったそうです。ちなみに3位が後述のレガッサ。男子マラソンは本当に高速化が顕著ですね。

今回の意気込みについて、モソップは「私の大会記録は去年ケベデに破られたが、出場できなかったせいで記録が防衛できずがっかりしている。今年のレースは再びレベルの高いものになるだろう。シカゴに戻って走れることにワクワクしている。」というような発言をしています。世界記録に関する発言はまだ確認できず(ウィルソン・キプサングみたいに有言実行するのはなかなかできることじゃないですよね・・・)。

ところで去年モソップの大会記録を塗り替える形でシカゴ優勝を飾り、今年のロンドンも優勝したケベデは、ベルリン、シカゴ、NYCの秋の3レースに登録せず。情報がないですが、怪我でもしてるんでしょうか?

モソップは、実は2012年4月のロッテルダムで2:05:03の3位になってからは大人しいです。2012年の五輪ケニア代表に選ばれるも故障で辞退。NYCマラソン2012に照準を合わせるもハリケーンで中止。2013年1月のドバイをNYCの予備にしていたものの未出走で、2013年はどこもレースに出ていません。コーチはイタリア人のレナト・カノーヴァ。同じコーチに指導を受け、先月ベルリンで女子優勝を飾ったフローレンス・キプラガトは元妻で、2012年に離婚。

<10/11追記>
春にふくらはぎの故障をしたと告白。ただ、2011年のシカゴより仕上がりはいいそうです。

デニス・キメット(別名デニス・キプルト・コエチ)はケニア出身。去年のベルリンにて公認コースでの初フルの世界記録2:04:16を達成。その数ヶ月前に、調整レースとして25Kの大会に出たところ、世界記録を32秒上回る新記録1:11:18で優勝(笑) 2012年には、RAKハーフマラソンにて先日世界新を出したWキプサングと直接対決をしたことがあります。結果はキメットが21秒差をつけ、1:00:40で優勝。

今年は東京マラソンで大会記録2:06:50を出し優勝しています。1984年生まれで去年フルデビューとは、遅咲きの選手ですが、大ブレイクしたばかりでまだまだ可能性を感じますね!意外とサクッと大会新で優勝したりすることも十分考えられます。スポンサーはアディダス。

<10/11追記>
練習パートナーである上述のGムタイとキメット自身、どちらが速いかと聞かれ、自分だと答えています。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル...この自信が本物なら世界新出るかもしれませんね。

<10/13追記>
キメットの追加エピソードを速報記事に載せました。

Eムタイは1984年ケニア生まれ。2011年にロンドンマラソンで大会記録2:04:40で優勝。フルを好んで走るそうで、2007年から13回大会に出場し、4分台1回、6分台6回、順位1桁台が12回。この距離に関しては経験豊富のベテラン。アムステルダム優勝、世陸で1回、ロンドンとNYCで2回ずつ2位になった経験があり、実力安定の有力選手。WMM2010-11優勝者。スポサーはアディダス。

アブシェロは1990年生まれの若干22歳。ケベデと同じくエチオピア出身で、レース史上2人目のエチオピア人チャンピオンが誕生するか見ものです。2012年のドバイマラソンが初フルマラソン2:04:23のコース新記録で優勝(キメットのデビュー世界新とわずか7秒差で、こっちのほうが大分若い!)。サブ2:05達成の最も若いアスリート(当時21歳)に。今後も大注目の選手です!2020東京五輪にも出てくるかもしれないですね。コーチはValentijn Trouw、スポンサーはナイキ。

<10/11追記>
ハムを4ヶ月前に痛めて前哨戦はできなかったそうですが、シカゴに向け調整を重ねてきたそうで、準備はバッチリだそうです。2:06:57で3位になったロンドンより、調子はいいそう。

レガッサは9月上旬のプレスリリース時には名前があったのに、登録コンファメーションで名前が出ないので、今回出場しないことになったのかもしれません。一応調べたのでプロフィールを。

昨年のシカゴで初マラソン2:05:27の好成績で3位に入った、1990年生まれのエチオピア人。ハーフの自己ベストは59:19。エチオピアは他の東アフリカの国よりは恵まれた家庭出身のランナーが多いそうなのですが、彼の人生は壮絶です。

両親が3才で離婚。男手一つで育てられるも15才で父親と死別。その後は、採石場で働きつつも空腹時に食べ物を恵んでもらう路上生活が3年続きます。そんな中、2006年にエチオピアの10Kレースで28:34.77で4位。5年間もまともに競技生活をしていなかったにも関わらず、大会での活躍が目に止まったのか、路上から見出されたのが2008年のこと。住む場所、食べ物、練習環境を与えられ、文字通りのハングリー精神でチャンスをものにしようと頑張ります。同年、フランス・リールのハーフマラソン大会でデビューし、59:36で優勝。これは、現在でもジュニア世界歴代2位の記録です。(参考:ジュニア日本記録は大迫傑の1:01:47、2010年。日本記録は佐藤敦之の1:00:25、2007年)

キトワラは1986年生まれのエチオピア人。10K~ハーフでは輝かしい戦績を作ってきており、今後フルでの活躍が期待される選手。公務員ランナー(警察官)として、2009年のロッテルダムハーフマラソンで、58:58の大会記録。ペースメーカー経験のあるロッテルダムでマラソンデビューするも、30Kでリタイア。昨年のシカゴでフルに再挑戦し、2:05:54の好成績で4位。今年のロッテルダムは2:07:22で3位。コーチはモーゼス・キプタヌイ、スポンサーはアディダス。

ジュファーは84年生まれのエチオピア人。自己ベストは2012年1月のヒューストン優勝時の2:06:50。2013年3月びわ湖にて、ラスト100mで逆転されての2位(2:08:37)。2013年5月にはオタワで2:08:05の優勝。コーチはHaji Adilo。

ツェガイは1991年生まれのエチオピア人。2012年にプラハ・ハーフマラソンで58:47の大会記録で優勝。今回が初マラソンですが、若いのでこれからどれだけ成長することやら…。スポンサーはナイキ。

リツェンハイン、通称「リッツ」選手は、アメリカ人のフルマラソン歴代記録3位の2:07:47を保持。82年生まれ。オレゴンプロジェクトの記事でも少し触れましたが、ファラー、ラップと同じくアルベルト・サラザール監督のもとで練習しています。今年はフルより短い距離でいい成績を収めるものの、フルの優先度は高いそうです。高校時にフットロッカー・クロスカントリー選手権で2度優勝。ツイッター@djritzenhein。

キゲンは1986年にケニアに生まれる。専門は元々5,000m(PR 12:58)と10,000m(PR 27:03)。今年のドバイで初マラソン、2:08:24(8位)。スポンサーはナイキ。

コーゴは86年生まれのケニア人。今年のボストンでマラソンデビューを飾り、2:10:27で2位。10,000mで世界歴代6位の26:35という記録を保持。とりあえず自己ベストを更新したいと語っています。

タデッセはエリトリア(エチオピアから独立した国)出身の1982年生まれ。ハーフの現世界記録(58:23)を保持。十代はサイクリングの選手で、ローカル大会では活躍したものの、ヨーロッパでプロとして活躍するのは断念。その後ランニングに転向しています。ハーフに滅法強く、世界ハーフマラソン選手権大会で5回優勝。今年はプラハ・ハーフと岐阜清流ハーフでも優勝しています。2009年のロンドンマラソンが初フルですが、35Kでリタイア。翌年のロンドンでは完走できたものの、 2:12:03で7位とハーフ世界記録保持者のわりに遅いという評価に。フルの自己ベストは2012年のロンドンで、2:10:41(14位)。さて、今後フルで花が咲くでしょうか。スポンサーはナイキ。

<10/11追記>
過去3回のフルより準備ができている、とプレスインタビューで本気さを伺わせています。

テゲンカンプは今回初マラソンのアメリカ人。大学時代のコーチ、ジェリー・シューマッハの移籍についていく形でオレゴンプロジェクト入り。2マイルのアメリカ国内記録8:07.07(2007)を保持。2007年世界陸上5000m4位。2008年五輪5000mで13位、2012年五輪10,000mで19位と振るわなかったことから、トラックからロードへの転向を図ったのでは、とRW。ツイッターは@MattTegenkamp。全米代表のクロスカントリー&トラック選手のミッシェル夫人との間に2人の子供がいる。

シェリーは1983年生まれのオーストラリア人。初フルはロッテルダムマラソン2010で、2:13:05。ロンドン2011では2:11:38、アムステルダム2011で2:11:23、ロンドン五輪2012では2:14:10。コーチはディック・テルフォード。


さて、お待たせしました、日本人選手紹介です。日本からは尾田東野佐野黒崎大塚田中藤森と多数のエリートランナーが!!自己ベストは尾田が2時間9台、他の選手は12~13分台です。

尾田(トヨタ)は80年熊本県生まれ。この記事によれば、学生時代・実業団でも目立つ選手ではなく(たぶん謙遜ですが・・・)、30を過ぎての遅いマラソンデビュー。しかし東京マラソン2011にて2:09:03の好タイムでフルマラソンデビューを飾り4位入賞(初マラソン日本歴代3位)!その秘訣を同記事から引用します。
佐藤敏信監督(前コニカミノルタ・ヘッドコーチ)の就任とともに練習を見直した。尾田は特に、ポイント練習とポイント練習の間のつなぎの日の練習を工夫するようになった。

マラソンではフォームを変えています。トラックではバネを使っていますが、ロードを走るときはある程度、抑える意識で走っているんです。最近ではそれほど跳ばなくなってきたと、自分では思っています。
その後、2011年の世界陸上に出場するも、足に故障を抱え 2:18:05(29位)。2012年はロンドン五輪を目指すが、疲労骨折に苦しむ。2012年福岡国際マラソン2:23:20(33位)、2013年東京マラソン2:17:24(34位)。


東野(旭化成)は1986年兵庫県出身。今年の戦績は、2月の別府大分が2:12:13、3月の全日本実業団山口ハーフが1:03:32で両方自己ベスト。コーチは宗猛と西政幸。父親のブログからは競技生活で苦労してきたことが伺えます。
息子は、明治大学4回生の時、全日本大学駅伝前に足を故障し、駅伝部主将として最も出場したかった箱根駅伝に出場できませんでした。旭化成入社後も、故障が完全に治りきらず、なかなか自分の走りが出来ず伸び悩んでいました。そして、年々有望な後輩たちが入社してくる中で、焦りもあったと思います。
東野としひろ活動NEWS

また、学生時代の東野についてこんな指摘もあります。
「なぜかみんな東野のために頑張るって言うんだよね」(山本コーチ)。「チワワみたいな瞳じゃないですか。応援したくなっちゃうんですよ」(松本(昂))。強いリーダーシップがあるわけではない。実直な人柄と競技への姿勢は、駅伝主将としてチームをまとめ、再び一つの方向へ走らせる力がある。
明大スポーツ新聞

佐野(ホンダ)は1988年生まれ。浜北西高校を経て麗澤大学へ。2013年2月の延岡西日本マラソンで初マラソンにも関わらず2:12:14で優勝。5月には仙台ハーフで1:03:24(8位)。

黒崎(コニカミノルタ)は栃木県に1985年に生まれる。今年の延岡西日本マラソンにてフルデビュー、前述佐野に8秒差の2:12:22で惜敗。その後、長野で2:17:28の3位。陸上を始めたのは、高校入学時。2013年の目標はマラソンで2時間10分を切ること。将来の夢は世界大会で金メダルをとること。コーチは磯松大輔。

大塚(愛知製鋼)は86年生まれ。熊本県出身。今年の戦績は、2月別府大分2:12:51(4位)、5月岐阜清流ハーフ1:04:37(9位)。小学生の頃から走ることが好きで、毎年地域のマラソン大会に出場していたそうで、本格的に陸上競技を始めたのは、中学1年生の時。趣味・特技はネットショッピング、好きな食べ物は王将の餃子。

田中(中国電力)は83年生まれ。倉敷高校を経て駒澤大学へ。2007年にボストンでマラソンデビューし、2:20:10で14位。それから17分台、14分台と着々と力をつけ、今年の東京マラソンでは2:13:09の自己ベストで19位。5月の岐阜清流ハーフは1:05:47で27位でした。コーチは坂口泰。

藤森(中国電力)は長野の佐久長聖高校(佐藤悠基、大迫傑など陸上選手を多数排出)出身。元早大競走部駅伝主将。85年生まれ。コーチは坂口泰。


女子

大会記録は2:17:18 (ポーラ・ラドクリフ、2002)。

2013年の注目選手は以下の通り。

選手国籍PR
Atsede Baysa
アツェデ・バイサ
ETH2:22:03
(Chicago 2012)
Rita Jeptoo
リタ・ジェプトゥー
KEN2:22:04
(Chicago 2012)
Merima Mohammed
メリマ・モハメド
ETH2:23:04
(Tronto 2010)
Jemima Sumgong
ジェミマ・ジェラガト・スムゴング
KEN2:23:27
(Rotterdam 2013)
Ehitu Kiros Reda
エヒツ・キロス
ETH2:23:39
(Dubai 2013)
Maria Konovalova
マリア・コノワロワ
RUS2:23:50
(Chicago 2010)
Abebech Afework
アベベチ・アフェワーク
ETH2:23:59
(Rotterdam 2013)
Yukiko Akaba
赤羽 有紀子
JPN2:24:09
(London 2011)
Aliaksandra Duliba
アリアクサンドラ・ドゥリバ
BLR2:26:08
(LA 2013)
Yue Chao
岳 超
CHN2:29:50
(Dalian 2011)
Zhang Jingxia
張 景霞
CHN2:32:37
(Chongqing 2012)

昨年のシカゴ1位2位を1秒差で争ったバイサ、ジェプトゥーが再び対決します。去年のゴールシーンの動画がありますが、ほぼ同着(Youtube)!またあんなデッドヒートが見られると思うと、わくわくします。

アツェデ・バイサは1987年エチオピア生まれ(WMMのサイトでは84年生まれになってますが、IAAF、大会サイトなどは87年)。アツセデやバイッサなどの表記もあり。昨年のシカゴ優勝時に自己ベストの2:22:03を記録。国際ランナーとしての活躍は、2006年の長野マラソン5位(2:39:31)、今はなき東京国際女子マラソン8位(2:37:48)あたりから始まります。フルマラソンで6回の優勝経験。フル完走の20回中18回が10位以内と安定した実力。コーチはGetaneh Tessema、スポンサーはナイキ。

R.ジェプトゥーは81年ケニア生まれ。学生時代、年間28,000ケニアシリング(3~4万円)程度の学費が払えずに退学となり、食べていくためにランナーに。クロスカントリー出身。コーチはGabriele Rosaですが、中距離選手の夫Noah Busieneiもコーチの一人で、一緒に練習をしているそうです。パリ、ロンドン、ボストンで優勝経験のあるベテランで、去年1秒差で優勝を逃した(でも自己ベスト2:22:04は達成)リベンジに燃えているとか。過去1年の戦績は、シカゴ2位、RAKハーフ3位(1:06:27)、ボストン1位。今年のボストン優勝は、2006年のボストン優勝から7年ぶり2度目。ボストンでの実績がある分、バイサよりジェプトゥーに勝機があるか?

モハメドは92年生まれの若いエチオピア人。2010年のトロントでは十代にして2:23:04の好記録。去年のシカゴにてDNF。その一方、2、3ヶ月後のヒューストンマラソンでコースコンディションが悪い中、大会記録に迫る2:23:37で優勝。4月のパリでは2:23:14で2位。まだ21才なのにすでにフルで4回の優勝経験があります。ハーフの自己ベスト、1:08:36は女子ハーフ18才の世界記録。コーチはHaji Adilo。

ケニアのスムゴングは1984年生まれ。2006年のラスベガスにて2:35:22の初マラソン初優勝。フルPR2:14の夫Noah Talamとの娘を2011年に出産したものの、現役復帰し2:28:32台を記録。そこから2年で、今年4月のロッテルダムを2:23:27の自己ベストで制しています。

キロスは88年生まれのエチオピア人選手。今年1月のドバイマラソンで自己ベスト10分短縮の2:23:39で2位。その後プラハハーフで1:09:38の5位、プラハフルマラソンにて2:30:02の3位。

コノワロワは1974年生まれのロシア人。 179 cmと長身のトラック&クロスカントリー出身選手。2010年、ロンドンで初マラソン16位。同年のシカゴで自己ベストとなる2:23:50で3位。シカゴは今回4回目だそうです。コーチは夫のYuriy。彼女は甲状腺癌で2000年と2002年に手術をし、生き延びることができましたが、声帯に障害が残ったそうです。

アフェワークは1990年生まれの若いエチオピア人。ハーフ出身で、PR1:10:30。今年のドバイで初マラソン2:27:08。その後、ロッテルダムで2:23:59の大幅自己ベスト更新で2位。

ドゥリバは86年生まれのベラルーシ人。今年のLAマラソンの初マラソンにて、ベラルーシ国内新記録の2:26:08で優勝。

岳、張は1991年生まれの中国人。は2011年に7位だったシカゴマラソンに再び帰ってきます。22才にして今回11回目のフルマラソンになりますが、2年前のシカゴ以外は全て中国かモンゴルのレースだそうです。は2011年の初マラソン2:48:17から16分もタイムを縮め、急成長中。今回6回目のフルマラソンで、海外デビューとなるそうです。


さて、大トリはお待ちかねの日本人選手です。

赤羽有紀子(ホクレン)は、1979年生まれ。PRは5000m 15:11 (2005)、10000m 31:15 (2008)、ハーフ 1:08:11 (2008)、フル 2:24:09 (2011)。このハーフの記録は、日本&アジア女子歴代3位。

フルマラソン記録全11回のうち8回が2時間30分切りと安定した実力を持つ。

大学時代の同級生の元陸上選手、浅利周平が夫かつ専任コーチ。2006年8月に女の子を出産。ママさんランナーで世界陸上代表とマラソン代表になるのは、日本陸上界初。

2013年の戦績は、2月丸亀ハーフ 1:11:31(14位)、3月全日本実業団ハーフ 1:08:59(1位)、4月ロンドン 2:24:43(3位)、7月ゴールドコースト 2:27:17(1位)、8月北海道 2:32:10(2位)、9月リールハーフ 1:10:24(2位)。ゴールドコーストの記録は浅井えり子の大会記録を塗り替えての大会新。Letsrun.comは、女性版川内優輝とも思えるような頻度でレースしているね、とコメントしています。

ブログによれば、1ヶ月ほど前から、コロラド州ボルダーにて浅利コーチ、トレーナー、栄養士とともに高地トレーニング合宿中。

先日の大水害で予定していたトレーニングコースが使えないとの、ちょっと心配な書き込みもあれば、
今回の2013シカゴマラソン(2013Chicago Marathon) に向けては、過去に経験してきたマラソンとは、大分違った流れでレースを迎える予定です。
これまでの経験してきたことを今一度じっくり検証して、このトレーニング方法、この調整方法であれば、もう一段階上を目指せるのではないか、という結論に至り、今回は新しい流れでレースを迎えようとしています。
この取り組みが正解だったかどうかは、レース結果をもって確認する以外にありません。
とわくわくするような記述も!

シカゴでの走りがとても楽しみです。赤羽選手、健闘を祈っています!!!


シカゴは記録が出やすいか?


シカゴでの世界記録は、男子1984年・1999年、女子2001年・2002年の4回出たことがあるそうです。

大会ごとに歴代記録トップ10を平均した統計がランナーズワールドに載っています(英語記事)。シカゴの平均タイムは、男子が2:05:34で5位(1位はベルリン)、女子が2:19:59で2位(1位はロンドン)とのこと。

現在の男子フル日本記録の2:06:16は、シカゴマラソンにおける記録。2002年に高岡寿成が達成。

シカゴで唯一優勝した日本人は瀬古利彦(1986年)。タイムは2:08:27(当時日本歴代4位、世界歴代10位)。

また、あるスポーツ科学者のブログ(英語記事)では、世界記録が出るであろう完璧なコースはドバイ、ベルリン、ロンドン(ただし風あり)、シカゴ、フランクフルトなど、としています。

シカゴの問題は、暑すぎる年と寒すぎる年が極端なこと。過去5年の最高気温の推移は29→7→29→26→11。

シカゴマラソンとは?

アメリカ屈指の大規模マラソン大会。2012年は100以上の国から45,000人が登録、37,455人が完走、ボランティア1万2千人が参加。

今年も同規模の完走者を見込む。海外からのエントリーはなんと10,264人で、そのうち日本からのエントリーは302人。優勝賞金は1位10万ドル、大会新記録ボーナスが7万5千ドル。バナナも7万5千本が消費される予定。

2013年のウエーブスタート1は10/13 7:30 (シカゴ時間) = 21:30 (日本時間)。
男子優勝者のゴールは日本時間23:30過ぎ頃になるはずです。

当日、次のページでストリーミング生中継が見られるはずです。


<10/11追記>
weather.comの天気予報によれば、最低7度・最高19度、Mostly Sunny、降水確率10%となっています。良い記録がでそうですね。


関連記事


そのうち11月のNYCマラソン特集も書く予定です(Gムタイ、スティーブン・キプロティチ、川内優輝、今井正人、重友梨佐などこちらも目玉選手いっぱい)。
→書きました: NYCマラソン2013の注目選手
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