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2014/07/28

才能と努力の不思議な関係:短距離走vs長距離走

なんでも1万時間ほど打ち込むとエキスパートになれる、という「1万時間の法則」。最近は本当に当てはまるどうか話題になってますが、陸上競技も練習すればするほど早くなるんでしょうか?それとも生まれ持った素質が命?

そんな疑問にランナーズワールドの「Talent v. Training in Runners」という記事が答えています。

下の図は、生まれつきの素質のある人・ない人が練習でどれだけ伸びるかをわかりやすく表した仮想的なグラフ。100mと10000mでは大きく違いが出ています。

努力と才能

x=0の各点から線が2本出ているのは、人それぞれ、練習での伸び具合が違うから。これをトレーナビリティ(練習に対する適合・適応能力)と言うそうです。

短距離は、才能がない人がいくら頑張っても、才能がある人に勝つのは難しいようです(この論文などでも検証されています)。一方長距離走では、「頑張ってる素人>才能はあるけど練習してない人」となることもあるとか。

例えば、2012ロンドン五輪と2013世界陸上の5000m&10000mで2冠を果たしたモハメド・ファラー選手には双子の兄弟がいます。彼の名はハッサン。ランナーではなく、電気通信エンジニアです。なので極端な話、市民ランナーでも下手したら、DNA的に天才アスリートの素質のあるハッサン・ファラーに長距離走で勝てるのかもしれません。これがボルトの兄弟と100m対決とかなると、そう簡単な話ではないはず。

野口みずき選手の「走った距離は裏切らない」という言葉がありますが、よく考えてみると、距離云々はともかく、努力は報われるという点ではすごく本質を捉えた名言ですね!

練習すればするほど伸びるとは、長距離ランニングやっていて良かったです!
※最近ほとんど走れてないけど・・・





余談ですが、仕事ができるできないは、才能と努力どちらが大きいでしょうか?カーネギーメロン大学のビジネススクールの教授がいろいろな会社のエース級社員を調べ、その仕事ぶりや経歴を紹介している本があるのですが、その本によれば「Stars are made, not born」だそうです。MBAの教科書にもなったりしてますが、堅苦しくない普通の読み物なので、英語でビジネス系の本を読んでみたいな、という方にはおすすめの一冊です。


How to Be a Star at Work: 9 Breakthrough Strategies You Need to Succeed



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2014/05/31

なぜ運動前の静的ストレッチは逆効果なのか?

大分前に紹介した「賛否両論?ランニングにおける10の俗説」のうち、今回は次の俗説について掘り下げてみたいと思います。


2. ランニングの前にストレッチをすべし
トライアスロンのコーチ、ホリー・ケニー氏の説明によれば、筋肉が温まる前のストレッチは、故障のリスクが高まりますとのこと。

筋肉を伸ばしたまま数十秒静止するいわゆるストレッチは、厳密には静的(スタティック)ストレッチと呼ばれており、運動前に行うことの有害説が近年広まってきています。

この静的ストレッチ有害説、まだ知らなくても無理はありません。プロの方たち(理学療法士、コーチなど)にもまだ完全には広まっていないという、比較的新しい発見なのですから…。


発端

ジェフ・ゴーデットさん(コーチ・著者・フルPR2:22のランナー)の記事によると、Dr. Herbert Popeという研究者のこの論文によって、運動前に静的ストレッチをしてもしなくてもケガの発生とは全く関係ないことがわかったそうです。※すでに故障持ちの方は例外

2000年に発表されたこの研究を発端に、一気に研究が進んだようです。その後、静的ストレッチあるなしで比較をして、実は静的ストレッチをするとかえって垂直跳びや陸上タイムなどのパフォーマンスが落ちる!という研究報告が、いろんな独立した研究から出てきてしまいました。

スポーツ医学団体の見解

NYタイムズやランナーズワールドなどいろいろなところでも取り上げられ、各方面に広まってきています。

ランナーズワールドの「Should I Stretch Before or After My Runs?」(ランの前か後にストレッチをするべきですか?)という記事から紹介すると・・・
専門家によれば、静的ストレッチ(筋肉を伸ばしたまま数十秒静止するストレッチ)は練習前後どちらもすべきではないとされています。練習前は特にで、もしどうしてもやりたいなら練習後にとのこと。このテーマは近年よく論争されていますが、静的ストレッチが怪我を予防したりパフォーマスを向上させるエビデンスはなく、むしろ逆に怪我につながるとのエビデンスあり。
とのこと。

多くの新しい研究結果から、欧州スポーツ医学会のストレッチに関する公式見解では、「最大筋力を測る実験では、静的ストレッチがパフォーマンス低下につながる可能性のある固い証拠が見つかっている」と、スポーツ医学会も従来の考えを見直すに至っています。

※このブログではよく取り上げていますが、スポーツ界ではエビデンス(=根拠・証拠、特に医学生物学系では理論より実験と統計的分析によるもの)もないのに信じられている俗説が意外と多いです。

静的ストレッチあるなしでどれだけパフォーマンスに差が出る?

トップアスリートを多く抱えるナイキオレゴンプロジェクト(記事)の元コーチでスポーツ科学の専門家であるマグネス氏のブログのStretching?? Is it useless?という記事に静的ストレッチをした場合としなかった場合の研究報告が載っていました。
  • 単純運動:ニーエクステンションからベンチプレスまでいろいろなエキササイズで、1RMの6~8%の減少が見られた(※1RM=1回だけならかろうじて反復させられるぐらいの限界の重量)。
  • 垂直跳び:コンスタントに4~5%距離が落ちる報告があります。
  • ジャンプ系テスト:地面接地時間が伸びることがわかっています(ランニングではこれはマイナス)。
  • 40mダッシュ:大学陸上部(LSU)を対象にした実験だと、0.1秒遅くなりました。

これらの研究では、静的ストレッチの静止時間を15秒と30秒で比べても同じような結果で、逆に言うとたった15秒だけ伸ばしただけでマイナス効果が見られたとのこと。やり過ぎた時に悪影響とかではなく、適度に思われる静的ストレッチでも影響が出てしまうんですね。

一方2012年のサーベイ論文によると、もっと長い(60秒以上)静的ストレッチだと悪影響、と少し違う結論を出しています。

なおこの論文は静的ストレッチが筋肉の最大パフォーマンスに及ぼす影響を調べた査読付き論文4559件を調査した力作(そんなにあるのか…!)。その中で統計や実験設定がまともなのだけを選び、傾向を報告しています。グラフを1枚抜き出してみると、多くの独立した研究で同じような傾向、つまり静的ストレッチをすると瞬発力が下がっていることがわかります。

静的ストレッチの効果はマイナス

パワー系は平均して5%もパフォーマンスが下がるんですね…。

静的ストレッチがダメな理由

マグネス氏の同ブログは、ランニングにおける悪影響の原因として、弾性エネルギー(バネ)が失われることを主因としています。
(ストレッチは成績向上につながる?)いいえ、逆に害があります。短距離から長距離まで、多くの研究がパフォーマンスを下げることを裏付けています。どうしてかって?それは神経筋回りで起きる現象が主因なのですが、静的ストレッチにより筋動員低下・筋系の剛性低下が見られ、その結果ランニング中における弾性エネルギーが低下するのです。(訳注:つまり「バネ」が失われるってことですかね。)
The Science of Running - Common Misconceptions in Running


また別記事ではマグネス氏はこう説明します。
バネは固いほうがより多くのエネルギーを蓄え、また放出することができます。昔ならった物理の授業を思い出してください。フックの法則F=-kxによればバネの力Fは変位xとバネ固有の固さkに従います。わかりやすく言えば、硬いバネのほうがより「自由」なエネルギーを持ち、効率がいいということ。長距離走者が走れば走るほど体が硬くなるのには理由があるのです、つまり人間の体は順応するということ。
The Science of Running - Stretching?? Is it useless?

ストレッチして柔らかくなったほうが速くなるというのは、ほとんどのランナーが信じていることだが、実は間違っている・・・との主張です。(学術的な詳細は、こちらの関連文献をご覧ください:論文1、論文2、論文3)


静的ストレッチ有害説の信ぴょう性は高い

同ブログによると、静的ストレッチが有害という仮説は、実験がコントロールしやすいので裏付けの信ぴょう性が高いそうです。
実際の所、長距離走において、ほとんどすべてのスポーツサイエンスの研究結果は競技には役立たずだと思う。モデル上の説明変数を分離しようとするのはいいけれど、本当は変数というは独立したものではないので、全体へ及ぼす影響を無視しているからだ。

だが、ストレッチングの研究は少し違う。結果(パフォーマンス)に対して変数がコントロールしやすいという実験環境にあるからだ。なので、ストレッチをしたときとしていない時で結果がどう変わるかなどが簡単に実験できる。こういった種類の研究はアスリートにとっても役に立つものなのだ。
The Science of Running - Common Misconceptions in Running

「ほとんどすべてのスポーツサイエンスの研究結果は競技には役立たずだと思う」・・・言い切りましたね。現場も知り尽くし、運動生理学の修士まで取り、いろいろな論文を読みあさってブログ紹介しているマグネス氏が言うだけに、痛快です。

他のトピックでも多々あるように、矛盾する結果が報告されることはあるようです(例:十分ウォームアップしてからなら悪影響はなくなるとの論文と、十分ウォームアップしても悪影響があるとする論文)。

ただ、多くの独立した研究結果が「静的ストレッチ→最大筋力低下」合致しているようです。

では静的ストレッチが役に立つのはどういう時?

運動後

(決定的な証拠はないが可能性としては、)もし仮にストレッチによってIGF-1 (インスリン様成長因子)と MGF(メカノ成長因子)の濃度が上昇するなら、運動後の静的ストレッチには効果がある。これらのホルモンを放出させてあげられれば、回復は早くなる上、適応とパフォーマンス向上につながるだろう。
The Science of Running - Stretching?? Is it useless?


故障持ちの人や慢性的な筋肉の緊張がある人

静的ストレッチで可動域が広がっても、それはランニングに本来必要のない箇所の場合が多いです。ただし、ケガや慢性的な筋肉の緊張がある人の場合(例えばふくらはぎなど)、走るのに必要な可動域が普通の人とは変わってくる場合があります。アキレス腱の痛みにつながるぐらいの固いふくらはぎは、ランに必要な足首関節や足底屈の動きを制限してしまうことがあり、そういう人には練習前でも静的ストレッチで可動域を広げることが効果的になります。
The Science of Running - Common Misconceptions in Running

では具体的な症状名はというと、五輪マラソン選手団のコーチなどを務めたマリオ・フライオーリさんの記事によれば、足底筋膜炎やアキレス腱炎にはふくらはぎの静的ストレッチが効果的な模様。故障持ちの方は、主治医にご相談を。


それから、ランニング以外の競技で柔軟性が求められるものや、試合前であっても静的ストレッチによって広げられる可動域によるメリットのある運動では、したほうがいいのかもしれません。これまでの研究からは、一番悪影響が大きいのは瞬発系競技の試合前と推測できます。

練習前は動的ストレッチを

勘違いしてはいけないのは、動的(ダイナミック)ストレッチのほうはむしろ推奨されており、練習前に行うとパフォーマンスが向上することが知られています。

動的ストレッチとは、アメリカスポーツ医学会の出しているACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescriptionによると「ある姿勢から別の姿勢までゆっくり移動し、回数を重ねるごとに徐々に範囲・可動域を広げていくストレッチ法」。

※「ダイナミック」という言葉から連想される激しい動きという意味ではないので注意。

たとえばランニング・タイムズ誌の「練習とレース前はダイナミックストレッチのほうが良い」(英語記事)という記事で紹介されていたメニューは、以下のとおり。

ダイナミックストレッチの例


他にもやり方はYoutubeで探すと動画がいっぱい見つかります。アスリートがやっている動画もあります。


まとめ

「なんとなく」の習慣で運動前に静的ストレッチ(筋肉を伸ばしたまま数十秒静止するタイプのストレッチ)をしている人は多いと思います。

ここ10~15年で急速に研究が進み、運動前の静的ストレッチはパフォーマンスを下げる(特に瞬発系)というエビデンスが多数報告されています。

運動前は静的ストレッチではなく動的ストレッチを、そして静的ストレッチをするなら運動後がいいようです。

※ケガで可動域の問題があるなどの事情がある場合は別。運動種目によっても違うので、詳細は整形外科にご相談を。

おまけ:マグネス氏のThe Science of Running書籍化!

上で引用しまくったマグネス氏のランニングブログ「The Science of Running」ですが、トップアスリートを指導した経験と、最先端の論文からの理論の両方から導き出された知見が惜しげも無く披露されており、大変貴重なリソースです。(ところでマグネス氏がアシスタント・コーチとして働いていたナイキ・オレゴンプロジェクトのゲーレン・ラップ選手が、昨日、事前に予告していたとおり10000mの米国新記録26:44:36を打ち立てました→動画。すごすぎです。この記事でマグネスが語るところによれば、ラップが他の選手と違うのは驚異的な回復力だそうで遺伝、トレーニング両方によるものだろうと語っていました。)

そのマグネス氏のブログが、今年2月に書籍化されていました。The Science of Runningの名の通り、スポーツ科学バリバリの濃い内容で、22章、344ページからなる力作です。アマゾンUSのレビューは、発売3ヶ月ちょっとで40件、5段階中4.5と高評価!日本のアマゾンでもキンドル版と紙の本が買えますが、英語版のみです。


本書には、こんなことが書かれているそうです(裏表紙より)。
  • 疲労とは何か?脳を中心とした疲労についての理論を最先端の研究から紹介
  • なぜ最大酸素摂取量はラボとトラック両方で過大評価・誤解されているのか
  • 心拍「ゾーン」トレーニングは、なぜベストなトレーニングではないのか
  • 練習を個々の生理学的特性に合ったものにカスタマイズする方法
  • 練習プロセスを「刺激」と「適応」という観点からユニークに評価する方法
  • 800mからフルマラソンまでの完全な練習メニュー例
レビューによれば、単なる医学・生物学のゴタクが並べてあるのではなく、すぐランニングに役立つエビデンスベースの知識が書いてある印象。

面白そう・・・(゚A゚;)ゴクリ


マグネス氏の科学ベースのトレーニングに対する考え方はこの記事でも紹介したのですが、彼の作ったあるスライド(下図参照)に集約されていると思います。コーチはアンチサイエンスかサイエンス盲信派の両極端に分かれがちだが、それは両方とも間違っていて、強み・弱みを理解した上で、強くなるための科学知見を有効に利用しようということですね。


【著者プロフィール】
スティーブ・マグネス(Twitter: @stevemagness)
現在ヒューストン大学クロスカントリーチーム、ヘッドコーチ。現在コーチする主な選手はJackie Areson (2013世界陸上出場、4:12-1500、15:12-5k)、Sara Hall、Tommy Schmitz。ナイキ・オレゴンプロジェクトでのアシスタント・コーチ経験、オリンピック選手への指導経験もあり。1マイルでのテキサス州高校記録(4:01.02)を保持する元中長距離選手。ヒューストン大学学士(運動生理学、2008年)。ジョージ・メーソン大学修士(運動生理学、2011年)。


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2013/11/12

賛否両論?ランニングにおける10の俗説

コンペティター誌の「The 10 Biggest Myths About Running」という記事より、ランニングにおける10のMyth(俗説・神話)です。説明は抜粋・意訳ですので、全文を読みたい方は原文をぜひ。

以下、記事が俗説とするものです。

1. ランニングにはふさわしい体型というのがある

サンディエゴ・トライクラブのコーチ、スティーブン・タリー氏は説明します。「どんな体型の人でもランナーになれます」「レースではいろんな体型といろんなストライドの人を見ることができます」
【私のコメント】
体型やフォームの話は、バイオメカニクス(ランニングフォームを科学的に扱う学問領域)の専門家でも意見が割れるところのようです。「究極の理想型がある」ほうを支持する人の考えを、私が以前書いた記事から引用します。
オレゴンプロジェクトでは、スプリント練習のため2名の短距離専門コーチジョン・スミス氏とラルフ・マン氏(英語ウィキペディア)を雇っていて、後者はバイオメカニクスの博士号を持つ専門家でもあるそうです。
また、サラザール氏はインタビューでも、バイオメカニクスに基づいた理想的なフォームへの修正は必要不可欠としています(youtube)。人によって理想的なフォームがあるというのは昔の考え方とも言ってますが、指導を受けたリッツ選手はフォアフット走法への矯正で故障しているので、この考え方は個人的に賛否両論あるところだと思います。
(引用元:モハメド・ファラー所属のオレゴンプロジェクトとは?)

2. ランニングの前にストレッチをすべし

トライアスロンのコーチ、ホリー・ケニー氏の説明によれば、筋肉が温まる前のストレッチは、故障のリスクが高まりますとのこと。

追記:この記事で掘り下げました「なぜ運動前の静的ストレッチは逆効果なのか?」

3. ランナーは筋トレをしなくて良い

「フルを走るには、そして回復をするには、強い筋肉が必要です」「週5日走ればマラソン完走はできるでしょう。でも自己ベストやボストン参加資格を目指すなら、筋トレは必要です」とアイアンマン世界選手権のアシスタントヘッドドクター、ジョン・マルチネス氏は言います。

【私のコメント】
またまたオレゴンプロジェクトの話ですが、「ストライドの効率とパワーの改善のため」そして何より「怪我防止のため」に高負荷・低反復の補強・筋トレを重視しており、専属のスタッフがメニューを開発しています。

一方、負荷を低く回数をこなす補強をする選手もいます。たとえば高橋尚子さんはナンバー誌での瀬古さんとの対談で、「補強練習はどうしてました? 私は毎日2000回腹筋してました。」と語っています。

どちらが正しいのか正解はあるのでしょうか。それとも「人によって違う」が正解なのでしょうか。Qちゃんは女子フルマラソンの元世界記録保持者なわけで、この補強タイプの補強が間違っていたとも思えません。仮に高負荷・低回数だったらもっと記録が伸びていたのかどうか・・・?どうなんでしょうね。

4. ベアフットランニングは怪我を減らす

前出マルチネス氏いわく、「私のところに、ミニマリストシューズで5マイル走ってみたんだけどなんで疲労骨折が起きたのか、と来る人がいます。」「トライアスリートやランナーは、速くなるものを聞きつけたら、すぐさま値段を聞いて、クレジットカードを取り出します。」その前に、十分自分自身でリサーチをしてからミニマリストやベアフットに移行してください。

【私のコメント】
追記:裸足感覚の5本指ランニングシューズ、ビブラムファイブフィンガーズ(VFF)が科学的根拠のない効果を謳ってシューズを販売したとして集団訴訟を起こされました。その結果、該当期間にアメリカでVFFを購入した人に1足最大94ドルの返金となりました。詳しくはこちらに書きました:「米ビブラムが1足最大$94の返金手続き開始」

5. 毎日走らないと速くならない

前出タリー氏いわく、「ランダムなスケジュールで走るのはダメだけど、週2、3日走ってもそれより多く走る人とほとんど変わらないぐらいのトレーニング効果がある」「その分長い距離を走ると良い」と語っています。
【私のコメント】
市民ランナーの場合はそうかもしれませんね。(関連記事:週3ポイント練メソッド最強説(?))

エリートレベルの人は恐らく話が別ですね。アスリートの練習メニューを見ると週6、7日で午前午後の2部練で走っている人が多いような。

例えば先日NYCマラソンに出た選手だと、優勝のジョフリー・ムタイが週6日(メニュー)、13位のライアン・ベイルは週7日オフ日なし(メニュー)で走っています。ベイルのほうはマラソン前13週間の全練習メニューをブログで公開しており、貴重なデータです。アスリートの方には参考になるかもしれません。

6. ランニングはヒザ/健康に悪い

ランニングコーチ、カール・リーバー氏は「ランナーでない人の中には、ランニングは健康に良くないとか健康を害すると思っている人がいます」「ランニングは健康に最も良いアクティビティーの一つで、関節のダメージとランニングを関連づける研究はありません」

【私のコメント】
まあ走りすぎでヒザを壊す人もよくいますし、マラソン後は免疫力も落ちて風邪をひいてしまったりということはあると思います。(関連記事:マラソン後のダメージと回復時間)

でも、適度だと健康にいいという意見のほうが目にします。

健康にいい説
健康に悪い説

7. 給水エイドには全て立ち寄ること

スポーツ医のルイス・マハラム先生によれば、「ノドが乾いてると感じた時には、すでに脱水状態で手遅れであるというのは俗説」「ノドが乾いたら飲めばいい、そうすれば過剰なハイドレーションを防げるし、お腹のトラブルが起きる可能性を減らせる」
追記:この記事で掘り下げました「新常識?水分補給は「渇く前」でなく「渇いたら飲む」という作戦」

8. カリウムは痙攣防止になる

前出マルチネス氏は、最近の研究ではカリウム摂取と痙攣の相関関係は見られていないとしています。 「ティム・ノックス氏は痙攣は筋肉の疲労からくるものとしています」「痙攣とより関係あるのは、練習不足または脱水なのです」
追記:この記事で掘り下げました「レースで痙攣する仕組みと対処方法」

9. ランニングは過酷であるべきである

ランニングは辛い時もあるけど、そうである必要はない。「ランニング初心者は毎日のように全力で練習しようとしてしまいます。でもゆっくり走ればもっと長い距離が走れるようになりますし、楽しいですよ!」
【私のコメント】
以前も書きましたが、著名な運動生理学者、ジャック・ダニエルズ博士もこう言っています。
Your training should bring you a certain degree of enjoyment and satisfaction.
訳:トレーニングはある程度楽しく、満足感のあるものでなければならない
(Jack T. Daniels. Daniels' Running Formula. 2nd ed. P.97より)
関連記事:ダニエルズの「コーチング」フォーミュラ

これに相対するのは精神論的な練習方法ですかね。日本の体育会系だと多いと思うのですが、どちらが正しいかというのはよくわかりません。ちなみに私は圧倒的に前者タイプですが…w

ただ、後者に関連した研究もあって、体が壊れる前に発動する脳(≒精神)のリミッターにより、パフォーマンスが左右されるという仮説、それがセントラル・ガバナー理論です。ただし、過酷なほうがリミッターが上がりそうな気はするものの、私は詳しく知りません。セントラル・ガバナー理論についてはこの記事でも触れました「科学的トレーニングについて知っておきたいこと<中編>」。

10. クッションのあるシューズは怪我を防ぐ

クッションのありすぎるシューズは逆に故障を招きます、とタリー氏は語ります。もしプロネーションがある人がハーフインチ(1.3cm)のジェルの入ったシューズを履いた場合、最初の2週間は心地良いでしょうが、プロネーションの度合いは悪化し、故障リスクが高まるでしょう。
【私のコメント】
う~ん、これはどうなんでしょう。裏付ける論文は探したんですが見つかりませんでした。

関連した話で、柔らかい路面vsアスファルト、足にいいのはどっち?というテーマもありますね。

以前「走るのに最適なサーフェスって存在するの?」(Is There One Best Running Surface?)という気になる記事がコンペティター誌にありました。記事からまとめると、
  • テキサス大のタナカ・ヒロフミ博士が手術を受けるぐらいのヒザ(PCL)を故障をしてしまった。
  • 術後回復中は固い舗装路は避け、トレイルのようなやわらかいところで走るようよう主治医に言われた。
  • なので柔らかい不整地で走っていたところ、今度は足首を捻ってしまった。
  • 本当に柔らかい地面のほうが足にいいのだろうか。
  • その話がニューヨーク・タイムズの記事になり、やわらかい地面で走ることの価値について、論争になった(この記事かな?)。
ということです。自身も運動生理学者であるタナカ博士は、
Is there one best surface?
訳:(ランナーにとってケガのリスクが少ない)究極のサーフェスは存在しますか?
との質問に、
That’s the million dollar question
訳:それは超難問ですね
と答えています。地面の種類とケガの関係は、まだ科学的に解明されていないんですね。

こういう研究は被験者集めも大変(だから運動生理学の実験の被験者は学生や軍人が多い)ですし、研究費もつきにくそうで、大変ですね。

追記:違うタイプのシューズを履き回したほうが怪我のリスクが減るかもしれない、という論文(英語)が発表されました。詳しくはこちらの拙記事もご参考に:裸足系vsクッションたっぷりシューズ、フォームに違いは出るか?




以上です。

※繰り返しますが、数字が振ってある見出しの部分は記事にて俗説とされるものです。


元記事の説明不足のせいなどで一部う~ん、と思うようなのもあったんですが、みなさんはいかがでしょうか。賛否両論なのもありますね。

もし気になる項目があれば、掘り下げて調べますので教えてください♪


<追記>
掘り下げる前に、こちらの記事書きましたので、あわせてどうぞ。

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2013/10/03

海外ニュース:日本人夫婦がカナダのマラソン大会で男女ペア優勝

カナダのマラソン大会で、日本人のTatsuya Hatachiさん(46)とRika Hatachiさん(45)夫妻が男女それぞれの部門で優勝した、とランナーズワールドと地元紙が報じています。

大会は今週日曜に開催された、カナダ・バンクーバー近郊のSurrey International World Music Marathon。タイムはそれぞれ 2:47:18 と 2:59:41。

RikaさんのJogNoteには、「フルマラソン14戦目でようやくサブスリー達成!」とあり、
長い時間をかけてたんたんと自己ベストを更新されてきたことが伺えます。

40代半ばの市民ランナーによる優勝、すごいですね。
しかもご夫婦で。

Hatachiさん、おめでとうございます!!

以下、大会公式ツイートより。







ソース

関連


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2013/09/26

マラソンレース後のダメージと回復時間

エリーマラソンのダメージから脚がようやく回復してきました! 
ε=\_○ノ イヤッホーゥ!

ちょうどコンペティター誌に回復についての記事(英語記事)を見つけたので、要点をかいつまんでみます。著者はPR2:22の元マラソンランナーでもある、ジェフ・ゴーデットさんというコーチ。最新の研究成果も含めたテクニカルな記事をたくさん書いている常連ライターさんでもあります。

Motivational Poster #11
(photo: Motivational Poster #11 from Remy's World, Runner's World)

マラソン大会後のダメージからの回復

筋肉
研究(abstract)によると、筋肉が元の筋力と持久力を完全に取り戻すには、マラソン後14日ほどかかる。
細胞
マラソンにより細胞が傷つき、血中のクレアチニンキナーゼ(abstract)と、しばしば血尿にもつながるミオグロビン(abstract)が上昇。それぞれ元の水準に戻るには7日と、3~4日かかる。その他のダメージも考えると、細胞レベルではマラソン後の完全回復には最低7~10日の休養が必要。
免疫系
マラソン後は免疫力が大幅に落ち、風邪にかかりやすくなる。研究(abstract)によると、免疫力が回復するまで2~3日かかるので、オーバートレーニング症候群にならないよう、栄養に気をつけてできるだけ休養するのが大切。その間はクロストレーニングもしないほうがいい。
一応、次のレースまでの間隔は6週間ほど開けたほうが無難だそうです。
(同じ著者による、3週間でフル2本が入った場合の練習プランがこちらの記事にありました)

上の「休養」(rest)というのは、ランニングなどの運動をしないという意味だと思います。なので普通の生活(学校・仕事)はOK。ただ、人によっては脚が筋肉痛だらけで、翌日は歩くのが辛いと思います。私の初マラソンの時がそうでした。

良く聞く「内臓疲労」については詳細をいろいろ探したんですが、科学的な記事は見当たらず…。


効率良く回復するために

同じ記事に回復プランが載っていたのでご紹介します。

当日
走った直後はバナナ、エナジーバー、スポーツドリンク、フルーツ、ベーグルなどを食べ、グリコーゲン再補充を。ホテルについたら、水+氷風呂に15分脚をつけてアイシングを。水の温度は18度以下。最適なのは約13度。その後は昼寝をしたり、外を歩いてリラックスすること。
1~3日後
ランニング/クロストレーニングはなし。お湯に10~15分浸かり、その後ストレッチ。フルーツ、炭水化物、タンパク質をたくさん摂ること。マッサージするなら軽いもの(エフルラージュ、ローラーコロコロ系)のみ。
4~7日後
ランニングは3~6kmをとてもゆっくり。クロストレーニングは2 x 30~40分ほどしても良い。目的はトレーニングではなく、脚への血流を増やすことなので無理しないように。もし気になる箇所があるなら強めのマッサージを受けても良い。回復を速めるには、暖かい風呂と水風呂に5分ごとに入ることを2~3回繰り返し、水風呂で終える。エプソン塩の入浴剤もおすすめ。
7~14日後
ランニングは6~10kmのとてもゆっくりなものを3~4回。30~45分のクロストレーニングも3回ほど行っても良い(1 x 低負荷、2 x 中負荷)。
14~21日後
元のトレーニングに徐々に戻していく。おすすめは4~5回の6~12kmランに流しを入れる。40~50分のクロストレーニングも行う(1 x 低負荷、1 x 中負荷、1 x 高負荷)。

ゆるい練習でも走力はほとんど落ちないそうなので、ご安心を。ちなみに以前、関連記事を書きました。詳細は「【保存版】テーパリング情報総まとめ☆」内「○○日間走らないと走力はどれだけ落ちるか」をご覧ください。

上に出てくるエプソン塩はよく知りませんが基本的に硫酸マグネシウムのことのようで、海外では怪我をしたサッカー選手なども使っているそう。でも、日本なら硫酸マグネシウム以外のミネラルもいろいろ入ったアレがありますね。そう、温泉の素です!

関連記事:Runner's Connect - Are Epsom Salt Baths an Effective Treatment for Running Injuries?


▼プロアスリートのアイシングの様子



プロテイン

上にもある通り、レース1~3日後は、傷んだ筋肉の修復にプロテイン(+炭水化物)を。

右の商品はリカバリー用プロテインとありますが、実はタンパク質の絶対量が一番重要なので、どの製品でも対して回復効果は変わらないはず。他製品より糖質が多めとありますが、糖質ぐらいパンでもごはんでも、食事からいくらでも摂れます。

ちなみにレース/練習「直後」のプロテイン摂取も回復に効果があることが研究でわかっています。

参考リンク:じてトレ - 練習直後のプロテイン摂取が回復を早めることを示す研究事例

また、年を取るほど、回復に必要なプロテインの量は増えることが研究により示唆されているので、ご年配の方は多めにどうぞ。
  • Thompson LV. 2002. Skeletal muscle adaptations with age in activity and therapeutic exercise. J Orthop Sports Phys Ther, 32(2):44-57.
  • Dorrens J, Rennie MJ. 2003. Effects of ageing and human whole body and muscle protein turnover. Scand J Med Sci Sports, 13(1):26-33.

吸収時間はプロテインの種類によっては、ホエイよりソイのほうが長いなどあるので、どれかベストとかあるんでしょうか。ちょっと探しても説得力のある記事が見つからなかったので、見つかったら追記します。

コンプレッションウェア

コンプレッションウェアについては研究がいくつかされており、メーカーの主張するようなランニング中のパフォーマンス向上効果や痙攣防止効果は見られなかったとする研究論文がある中、回復促進効果は唯一認められているとのこと。

コンプレッションウェアを着用すると足がリフレッシュするというのは、アスリートや空の旅をする人の間で知られた「逸話」ですが、これを裏付ける研究がいくつかあります。英エクセター大学の研究によれば、筋肉痛が起きるようなエキササイズをした後、24時間コンプレッションウェアを着用した被験者には筋トレ効果の向上と痛みの軽減が見られたそうです。 
(引用元:Competitor - How Compression Apparel Works)

意味もなく締め付けてるだけじゃなくて、圧力表示(単位:mmHg, hPa)がしてあって、ちゃんと段階着圧(graduated compression)になっているような製品を選ぶと( ´∀`)bグッ!

参考リンク:国民生活センター - 加圧を利用したスパッツの使い方に注意!(PDF)


プロのアスリートは、ダイナミック・コンプレッション・ブーツというものを試している人もいるようです。安いので20万円ぐらいするみたいですが…。


▲NormaTec社の医師兼バイオエンジニア(MD, PhD)Laura F. Jacobs氏が発明した、ポンプで空気を送ってダイナミックに空圧を変えるブーツ型(?)の回復装置。写真はオレゴンプロジェクトのラップ選手が試しているところ。

私の回復状況

さて、私はフルマラソン後2週間なのに、今週日曜にピッツバーグ・グレート・レースという10Kの大会に出る予定なんですが大丈夫なんでしょうか…(;・∀・)

しかも、実はまだほんのすこ~し痛みが少し残ってます。

筋肉痛のほうは、レース翌日は歩くのも大変で、階段は手すりを使いながらなんとか昇り降り。。。攣ったふくらはぎより太もものほうがひどかったんですが、筋肉痛は5~6日でほぼ消えたので問題なし(`・∀・´)エッヘン!

問題は左足のアーチ付近の痛み。足底筋膜炎ではなさそうですが、気になるのでレース以降の練習はまだエアロバイクとランが1回ずつのみ。11日経った今日もまだちょっと気になりますが、ようやく片足でカーフレイズしても痛くないぐらいまで治ってきたので、なんとか10Kなら走れそうな感じです(∩´∀`)∩

まあ本命レースは終わったので、多少無茶してもいいかな(・ω<) テヘッ

(・・・なんて調子に乗ってるとほんとに故障しそうなので、LondonSparrowさんの故障したときのまとめ記事を読んで気を引き締めておく。)

あと、右足の人差指が黒爪(爪下血腫)になってしまいました…。今まで4000キロぐらい走ってきてはじめてです。ショップで右足のほうがちょっと大きいと言われたんですが、それで捨て寸小さめ(5mmくらい?)のシューズにしたせいですかね。まあ痛くもなんともないんでいいですけど。

黒爪(爪下血腫)
▲レース後の私の足。爪が黒い…(クリックで拡大)

ゴーデット氏の別記事、「本当は怪我ではない『怪我』への対処法」によれば、黒爪は放っといていいそうなで、絶賛放置しておきます(`・v´・ )ノ

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2013/09/12

お腹の脂肪を落とす7つの驚異的なエキササイズ(ランナーズワールド記事紹介)



(写真:Runner's World - Motivational Posters)

レース3日前です!!!!

今日からカーボローディングスタートの予定なので、体重がドカッと増える前に、体重&体脂肪率チェック。

(ここにあったコンテンツの一部を別記事「体脂肪率FAQ」に移しました)

というわけで、今までちゃんとした方法で量れていたかわかりませんが、年初が20%以上、7月末が13.1~13.9%、8月中旬が12.6~12.8%。

昨日の夜に量ってみたところ、体脂肪率は11.9%(夕食2時間後)。

下がってる~* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b +.:*・゜゚・*:. *

体重は52.2kg(夕食直前)、53.6kg(夕食2時間後)でした。


7~8月は計750kmは走っていたので、とにかく回復重視で満腹になるまでめいっぱい食べていました(タイムリーなことにルミオカンさんのブログにもスポーツしながらの糖質制限ダイエットについての記事が!)が、最近はだんだん普通の食事量にするように心がけたのが効いたんでしょうかね。


ところで、ランナー用にレース向けの特別なダイエット/減量方法があるのかな、と思いランナーズワールドを見てみることに。

すると、こんな意外な記事が・・・!

カーヴィーダンスでマラソン自己ベスト更新!

(Runner's World - 'Curvy Dance' Your Way to a Marathon PR)

カーヴィーダンスでマラソンPRw

こんなところで紹介されてるとは、意外すぎでした。嫁さんが数年前にハマっており、毎晩後ろでこのDVDが流れていたので、樫木さんのインストラクションがまだ頭に残ってますw

カーヴィーダンスは、紹介するまでもないぐらい有名なのかもしれませんが、上の本の表紙になってる樫木裕実さんが監修した有酸素エキササイズで、表紙はご本人。現在50歳なので、写真は40代後半でしょうね(全然見えない・・・)。フォトショ?と思うかもしれないですが、DVDの動画でも細いです。

上の記事は、ロイターの「Curvy dancing prepares Fujiwara for marathon」という記事を引用しています。それによれば、2012年の東京マラソンで藤原新選手が2時間07分48秒のPRでロンドンオリンピック選考を勝ち取ったのは、カーヴィダンスのおかげでもあるとのこと。以前から樫木さんのジムに通っていたそうで、東京マラソン前日の調整もそこで行ったとか。

でも、樫木さんのジムに通ってた=カーヴィーダンスをしていたわけではないですよね(笑)ほんとに藤原選手があんな風に器用に腰を動かすダンスをしていたんでしょうかw
(参考に、カーヴィーを見たことない方はYoutubeの紹介動画をどうぞ)



さて、やっと本題!

ランナーズワールドをさらに探ると、もっと強烈なインパクトのダイエット記事が・・・!

バナナ?サバ缶?・・・いいえ違います。

これで痩せなかったらおかしい、というような効果的な方法です。

上の記事と同じ著者であるレミー氏が先月書いた「7 Amazing Tricks to Lose Belly Fat!」という記事なんですが、今回は完全翻訳版でご紹介します!


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お腹の脂肪を落とす7つの驚異的なエキササイズ


お腹の脂肪を落とす7つの驚異的なエキササイズ

1.走る










2.走る










3.走る










4.走る










5.ちょっと休憩。燃え尽きたり怪我してもいけないですしね。










6.走る










7.走る

以上です。


・・・い、いや、ちょっとブラウザを閉じるのは待ってください!



記事を書いてるレミーさんはジョーク記事が多いんですが、この記事もそうかと思いきや、実はすごく本質的なことを言っていると思うんですよね。つまり、ランニングというか有酸素運動は、痩身効果のあるエキササイズであると。

世の中には楽をして痩せたい(+そういう欲望をエサにビジネスをしたい)人ばかりなので、「○○するだけで○○キロ痩せた!」みたいなダイエットが溢れています。でも、根拠なしまたは科学的根拠の拡大解釈などが多すぎる気がするんですよね。レミーさんの記事は、そういう安易な方法への皮肉にもなっていると思うんです。(考えすぎ・・・?w)

個人的にも、リバウンドしていないダイエット成功者や、体作りのエキスパートであるボディビルダーの減量を見ていると、ダイエットの王道はやはり有酸素運動(+カロリーや脂質を基準にした食事コントロール)だと思っています。

(体重がある方はいきなり走るとヒザなど故障するので、食事で痩せたあとにウォーキングなどからスタートするといいと思います^^)


関連記事(ブログ内)

関連記事(外部サイト)


* * * * * * 


P.S.
昨日の地元紙にこんなニュースが載っていると、某F先生に教えてもらいました。
Daisuke Araki, an orthopedic surgeon at Kobe University in Japan who's in his final year as an international research associate in Pitt's department of orthopaedics, has been named to the medical committee of the Japanese Olympic Committee, which will host the 2020 Olympics in Tokyo.
Pittsburgh Post-Gazette - Researcher at Pitt named to Olympic committee

ピッツバーグ大学に研究留学中の整形外科医のA先生(伏せ字の意味ないw)が、日本オリンピック委員会(JOC)のメディカルコミッティーに任命されたそうです。ランナーでもあるA先生ですが、担当は女子バレー。36歳での任命、すごいことですね。A先生、おめでとうございます!


あらすじ5/5のマラソンにて自己ベスト80分更新の3:34で完走した私SCR。ひょんなことから9/15のエリー湖マラソンでサブ3:05を目指す流れに。一日置きポイント練でレース前の課題は無事達成。今まで運動靴で走っていたが、レース用シューズGETで自己ベスト連発。今週日曜が本番。目標達成なるか…?!
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2013/09/10

マラソン大会前1週間の過ごし方

レース1週間前なので、自分用の備忘録も兼ねて過ごし方をまとめてみました。

これが唯一のベスト、ってことではないですし、漏れもいっぱいあると思います。細かいことでもアドバイスあればよろしくお願いしますm(__)m

テーパリング


テーパリングについては以下の記事に詳しくまとめました。

ブログ内関連記事:「テーパリング情報総まとめ」

7000字以上あるので読むのが大変かもしれませんが、要するに、レース前の練習はできれば2週間前後かけて負荷はそのままで距離を減らすというのが鉄則みたいです。

テーパリング中の落とし穴(オーバーテーパリング、無理なロング走、慣れないことをする、体重増加を心配しすぎるなど)にもお気をつけください。

栄養に気をつける

炭水化物

レース3日前~12時間前までの間、カーボローディングをする。

ブログ内関連記事:「マラソン前のグリコーゲンローディングについて」・・・走力・タイムごとの必要カーボ量を計算するツールや、推奨メニューなど。

プロテイン

スポーツ栄養学の専門家によると、レース前は筋肉のダメージ回復を促進するため、体重1kgあたり1.3~1.7gのタンパク質(=プロテイン)を摂るのがいいそう(RC, Housefield; RC, Brown)。

水分

上の2記事では、体に水分を蓄えておくのも重要だと、指摘しています。基準は2~4時間に一度トイレに行くぐらいの量だとか。また医師のマハラム氏によると、アルコールは脱水作用があるので、レース前は最小限にするか、飲まないのがいいそうです(Competitor, Fraioli)。前日~直前に飲んだ分だけでは体は潤わないんですね(´・ω・`)

カフェイン

カフェイン断ちをするとレース1時間前~レース中のカフェインによる効果が出やすいと聞いたことがありますが、ちゃんとしたソースがすぐ出てこなかったので、何かわかったら追記します。

ブログ内関連記事:「カフェインによるマラソンなど持久系スポーツへの効果と、研究による裏付け」

カフェインの錠剤など、サプリを飲む方は現地入りする前に地元やネットで買い揃えておきたいですね。

爪を切る

Womens Runningによると、レースの2、3日前に足の爪を切るのがいいそう。もし深爪をした場合に、伸びる時間があったほうがいいからだそうです。

GPSウォッチの設定を再確認

リセット

ガーミンなどのGPSウォッチが不安定な方は、もしものときのためにデータをPCに落としてからハードリセットする人もいるようです。(LondonSparrowさま、情報提供ありがとうございますm(__)m)

ブログ内関連記事:「ガーミンの機種別リセット方法一覧」

設定

オートラップ(1km?5km?)、オートポーズ(オフ)の設定もレース用に見直したいところですね。

画面カスタマイズ

さらに、レース仕様にするための画面のカスタマイズ。現在のペース、現ラップの平均ペース、前ラップの平均ペース、レース全体の平均ペース、タイム、距離、人によっては心拍数も見られると便利かもしれないですね。ガーミンForerunner 305だと、カスタマイズ画面2つに、画面あたり4種類の情報が出せるので、これぐらいなら余裕そうです。

ガーミン305 画面カスタマイズ

カスタム画面に慣れるために、一度走っておいたほうがいいでしょうね。

あと電波状況や突然の故障に備えてペース表もあると良いのかも?スタート地点に障害物が多かったりすると、その後しばらくペースが表示されず、オーバーペースで入ることも…(また記事にしますが、先週出た5Kレースでの経験です)。

大会サイトをチェック

パケットピックアップの方法(時間、場所、引き換えハガキなどはいるか、など)、ギアチェックの方法(どこでどの大きさの荷物を預けられるか、引き換えに何か渡すか)など当日混乱しないように調べておきたいところですね、特に大きな大会は。

ピッツバーグマラソンの時は、ツイート・FB・メールでランナーの位置情報をチェックポイントごとに教えてくれるサービスが、直前になってサイト上で公開されていました。応援の人にはそういうサービスは便利だと思います。

あとはエイド設備のチェック。何がどこで出るのか、など。ジェルはたまに切れていたり、エイド内で見つけられないこともあったので、私は予備に何個か持っていきます。

エイドではワセリンを配っていることもあります。そういう情報も事前にわかってると万が一のときに嬉しいですね。ちなみにピッツバーグマラソンではアイスの棒みたいなのにつけて配っていたので、水飴と間違えて食べた方も・・・。要注意です。

あとエイドに足が痛い時用のコールドスプレーがある大会もあるそうです。前にもどこかで書きましたが、酸素スプレーと間違えて口にシュッとやらないようお気をつけくださいw(→やった人の日記)。


ドレス・リハーサル

「アドバンスト・マラソントレーニング」の著者のピート・フィッツィンジャー氏は、自身のサイトで、レース週の水曜日あたりにドレス・リハーサル(通し稽古)をすることを薦めています。

リハーサルで何をするのかというと、レース当日の格好でレースペースで3~5キロぐらい走って調子をみたり、テンションを上げるそう。10~15分のウォームアップ・クールダウンも忘れずに、とのこと。

ちなみに初マラソン前の試走のとき、スパイベルトにジェル4つ位入れてすごく揺れて、揺れない位置を探すのに一苦労したような記憶があります(それでポケットに分散したんだっけな・・・?)。なるべく本番に近い装備で走るといいんでしょうね。

もしリハーサルで体が軽く感じなかったら、レースまではまだ時間があるので、マッサージや完全休養をして調整するといいそうです。

携帯からブログを更新してみる

ブログを持っていて携帯から更新したことがない人(→私)は、レース後の速報記事を書けるよう携帯から更新する練習をしたほうがいいかもw


フルはピッツバーグマラソンしか出たことがないので、いろいろ見落としているかも・・・。他にも気づいた点があれば教えてくださいm(__)m



-----------以下、追記です-----------


持ち物リストをつくる・買い物を済ませる

前泊・当日・後泊などで足りないものは、早めに買い物を済ませておきたいですね。

天気予報次第でも持ち物は変わってくるかもしれません。

普段慣れないもの(レース前の食べ物、新しい味のジェル、ウェアなど)を新しく試すのは良くないとされていますので、慎重に・・・!

■持ち物例(一部)

▲エナジージェル

▲カフェイン錠剤

▲電解質・塩飴系

▲テーピング

▲擦れ防止

▲乳首擦れ対策

▲マメ防止靴下

▲マタズレ防止パンツ

▲ゼッケン留め

▲ティッシュ

▲当日食

▲カスタムソール

▲ミニポーチ

▲レインコート

▲使い捨て防寒着

▲緊急連絡先カード

▲電子マネーホルダー

▲GPSウォッチ

▲仮装ラン用衣装


※全部揃える必要はありません


ブログ内関連記事:「走る前に、貼る」「おもしろ仮装ランナー」


ペース配分を決める

ペース配分(ポジティブスプリット、イーブン、ネガティブスプリット)や、目標/二次目標などに応じてレースプランを練っておきたいですね。

気温、風、坂、体調などでも微調整が必要かもしれません。

スタート混雑、トイレ、エイド、GPS精度誤差・捕捉ミスなど、ロスも数分見積もると確実かも?!


ブログ内関連記事


最後の1週間の練習内容例

ランディ・アシュレイコーチ(フル自己ベスト2時間19分)の勧めるフルマラソン1週間前の練習です。
  • 日: 19~21km イージー
  • 月: 8km イージー + 6 x 100m ストライド走
  • 火: 3km ウォームアップ、5~8km レースペース、1.5kmクールダウン
  • 水: 6km イージー
  • 木: 3km イージー、5-6 x 1:00@10K レースペース w/ 1:00 jog、3kmクールダウン
  • 金: オフまたは5km イージー
  • 土: 3~5km イージー(※朝食前)
  • 日: レース
Running Times - Race-Week Workouts to Leave you Primed for a PR


一方、マリオ・フライオリコーチの勧める1週間前調整メニューはこちら。
  • 日: 16~19km イージー
  • 月: 6~10km イージー + 6 x 20秒ストライド走
  • 火: 2km ウォームアップ、5~6km レースペース、2km イージー、5 x 30秒ピックアップ走@5Kレースペース w/ 1:00レスト、2km クールダウン
  • 水: 6~10km イージー
  • 木: 3km ウォームアップ、5 x 2:00ピックアップ走@10Kレースペース w/1-2:00 レスト 、3kmクールダウン
  • 金: 5~8km イージーまたはオフ
  • 土: 5~6km イージー、6 x 20秒ストライド走
  • 日: レース
Competitor - Workout Of The Week: Race Week Workouts

※ストライド走とは、スピードワークやレース前によく行われる60~100メートルの速いペースのランのこと(英語記事)

※ピックアップ走とは、普通のランの合間にちょっとだけ速いペースのランを入れる練習(英語記事)


その他参考になる1週間前の調整例


メディカル系最終チェック

体調が悪いときは、勇気を持ってDNS(do not start; 未出走)も手だと思います。

大会によっては、途中棄権しようと思ってもスタート/ゴール地点に戻るのが大変だったりしますし…。

あと、薬の禁忌事項なんかも調べたほうが良さそうですね。マラソンは体に負担がかかった状態なので。


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外部サイト関連記事

サウナに入る(夏マラソン)

私は今回やらないですが、バッドウォーターの公式サイトに灼熱レース対策としてサウナ使用が書いてありました。

バッドウォーター・ウルトラマラソンとは、摂氏50度前後の中アメリカ・デスバレーの砂漠・山を217kmを走る超過酷なレース。8回完走のオーサー・ウェッブ氏が書いている対策方法が、サウナによるアクリマタイゼーション(暑熱馴化・暑熱順化)です。

英語記事になりますが、「Heat Training in the Sauna」に具体的なメニューがあります。温度は180度とかなっていますが、華氏ですw 摂氏だと、乾式サウナで70~80度、湿式で40度ぐらいの温度を組み合わせるようです。


当日のウォームアップ

いわゆるストレッチ(静的/スタティックストレッチ)は運動前だとかえって有害だという研究結果がここ15年ほどでたくさん出てきています。詳しくは「なぜ運動前の静的ストレッチは逆効果なのか?」をご覧ください。効果のあるとされる動的(ダイナミック)ストレッチの方法もイラスト付きで載っています。

エリートランナーの方向けのおすすめのウォームアップ例は、英語記事ですが、「How to Warm-up for a Race: An In-depth Look at the Routine of an Elite Runner」(Runner's Connect)に載っていました。ウォームアップ前の朝一「シェークアウト」ジョグや、アンクリングなど、事細かに載っています。

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2013/09/04

【保存版】テーパリング情報総まとめ☆

9/15のマラソンまであと僅かになってきたので、最近はテーパリング中です。
(´・ェノ|柱|。。。テンパリ中じゃないよ(←使い古されたネタだったらすみませんw)

せっかくテーパリングについて調べたので、まとめてみました。

<目次>
テーパリングとは?
 ピーキング、ピリオダイゼーションとの関係

テーパリングの方法
 スタンダードな方法
 いろいろなバリエーション
 マラソン以外のテーパリング
 レストオンリー vs 低負荷 vs 高負荷テーパリング
 トップアスリートの方法
 
休養・回復と走力の関係
 テーパリングで何が起きるか
 病み上がりなのに大会優勝、PB更新の事例
 ○○日間走らないと走力はどれだけ落ちるか

テーパリング中の落とし穴
 オーバーテーパリング
 テーパーレス
 無理なロング走
 慣れないことをする
 体重増加を心配しすぎる

まとめ
 テーパリング本


追加情報が見つかったら随時加筆していく予定です。

テーパリングとは?


ta・per [téipə(r)]
━━ vi., vt. 次第に細くなる〔する〕(off),次第に減じる(off).
三省堂 Web Dictionary

スポーツにおけるテーパリングとは、持久系競技(マラソン、水泳)「大会前に練習を減らすこと。パフォーマンスを最大限に発揮するために必要不可欠と信じられており、1週間から2~3週間かけて行う。」(RW)。後述しますが、量は減らしても強度はそのままか、少し上げる人もいます。

テーパリングとは、10人のコーチや研究者に最適な方法を聞いたら、10通りの違う答えが返ってくるようなものだそうです(Competitor, Gaudette)。研究でも回復スピードの個人差は大きいことがわかっているそうです(PubMed)。なので、どの記事も書いてあることが少しずつ違っていてまとめるのが大変でした(笑)。

この記事では、なるべくバランス良くいろいろなテーパリングを紹介できたら、と思います。他の練習理論などと同様に、誰にでも当てはまる「唯一の正解」はないはずなので、自分にあったものを探してみてください。主にマラソンにおけるテーパリングについてですが、5K・ウルトラなど他の距離にも少し触れています。

ピーキング、ピリオダイゼーションとの関係


似た用語で「ピーキング」とは試合時に体力レベルが最大(ピーク)になるよう持っていく調整のこと。オレゴンプロジェクトの元アシスタントコーチ、スティーブ・マグネス氏の著書(後述)では、テーパリングはピーキングの一手法と位置づけています。

もっと大きな枠組で、「期分け(ピリオダイゼーション)」とは1年間をレース中心にいくつかの期間に区切って練習計画を立てること。例えばアメリカの陸上部では、クロスカントリー、インドア、アウトドアトラックのシーズン毎に年3回の期に分けるのが基本だそうです(RT, Taylor)。その期分けという視点で見ると、ピーキング・テーパリングの関係がわかりやすいかもしれません。あるトライアスロン用の期分け法では、レースに体力ピークが来るよう(=ピーキング)、量は徐々に減らしつつ強度は上げており(=テーパリング)、図でみると一目瞭然です。
ピリオダイゼーション:練習量、練習強度、体力の関係
ジョー・フリール氏の著書(後述)の原著2nd Ed, p.29, Fig 3.5. これはトライアスロンの場合で、ランニングだと足へのダメージがあるので強度に関しては少し注意。

テーパリングの方法


スタンダードな方法

まずは一番スタンダードと思われる方法から。ランナーズワールドに数多くテーパリング記事はありますが、その中でも代表的に扱われていたのが、以下の3週間スケジュール(RW)。

3週間前・・・週間走行距離を20~25%落とすことにより、ハードな練習から体を回復させる(具体的にはグリコーゲンの再補充、細胞組織の修復)。ランはほとんどイージーペースで。

2週間前・・・週間走行距離をさらに20~25%落とす。ランはほぼすべてイージーペースで。

レースの週・・・1日8時間は睡眠を取り、週に4日だけ走る。初心者は1回あたり最大5~6km、上級者は週前半に10kmを2回ほど入れても良い。上級者は週前半にレースペースで1.5~6km(+アップ・ダウン)ほど走っても良い。

いろいろなバリエーション

いろいろなコーチの勧めるいろいろなテーパリング方法です。
  • 若い人は2~3週間、若くない人は3~4週間(RW, Hadfield)
  • 10~14日間。最初の週は練習を普段より10~20分、レース週は20~30分短くする。ロング走の距離も落とす。(RT, McMillan)
  • 3週間。1週目は80~90%、2週目は60~70%、最終週は50%。距離は減らしても負荷は減らさない。(RW, Hutchinson & Mujika)
  • 3週間。最初の週は80%、次の週は60%、最後は40%の距離。(RT, Pfitzinger)
  • 典型的には2~3週間だが、ニコル・ハントのように3週間を基本としてコーチする人もいる(Competitor, Larkin)
  • 短い人は3日。長い人は3週間かそれ以上かけて段階的に練習量を減らしていく(Friel)
  • シーズン後期のレースのほうが、前期のよりテーパリングによる恩恵が大きい(Friel)
  • 2週間。1週目が70%、2週目は30%の距離にする(RW, Eyestone)
  • 最初は2週間で始めてその後微調整する。1週目が80%、2週目は60%の距離(RC, Gaudette)
  • 7日前:16~19Kで最後10分はレースペース。3日前:2 x 5分@マラソンレースペース + 3 x 1分 @ 10Kペース。前日:4-5 x 30秒の流し @ ハーフマラソンペース~5K-10Kレースペースのビルドアップ(RW, Magness)

ほんと十人十色ですが、マラソンでは2~3週間が多いようですね。年齢やシーズン前後半も加味して微調整する人もいるようです。

わりと共通した意見が、「距離は減らしても負荷は減らさない」ということ。テーパリングについての著書(英語)もある生理学者&コーチのIñigo Mujikaさん(RW, Hutchinson & Mujika)や、日本でも有名な「アドバンスト・マラソントレーニング」の著者として知られる元ランナー&生理学者のピート・フィッツィンジャー氏も同じ意見(RT, Pfitzinger)ですし、他にもちらほら同じことを言っている人がいました。最初に走行距離を落とし、次に負荷を落とすというオプションもありだそうです(RW, Hadfield)。

中長距離のトップ選手にコーチするスティーブ・マグネス氏は、負荷を増やす立場。ピーキングの手法としてテーパリングとシャープニングを次のように定義しています。テーパリング:距離を大幅に減らし、負荷を少しだけ上げる。シャープニング:距離はそのままか少し減らし、負荷も少し減らす。現役アスリートの方は、彼の著書(後述)をご参照ください。

そうそう、それから1週間前以降の仕上げ・調整にインターバル走を勧める人はいても、ロング走(30K~)を勧める人は見当たらなかったです。プロ競技者の方のログを見ると数日前にロング走している方もいますが、市民ランナーはやめておいたほうがいいと思われます。

マラソン以外のテーパリング

各距離ごとのテーパリングをまとめてみます。

5K
  • 1週間。30%の距離に減らす(RW, Eyestone)
  • 2週間。最初の週は80%、次の週は50%の距離(RT, Pfitzinger)
  • 1週間。1週間前に6 x 400m@1マイルレースペース(r=同時間)、3日前に8 x 200m@5Kレースペース(r=200m jog)、前日に6 x 100mの流し @レースペースかそれ以上(RW, Magness)
10K
ハーフ
  • 1.5週間。50%の距離(RW, Eyestone)
  • 2週間。最初の週は70%、次の週は50%の距離(RT, Pfitzinger)
  • 2週間。1週目は日曜に16~22Kのロング走、平日は30分、週末に45分。2週目は火木に30分、金に1.5~3K走っても良い。(RW, Galloway)
ウルトラマラソン
  • ウルトラランナー&レースディレクター、アンディ・ヒューワット氏:「ウルトラではレースに向けて徐々に練習量を増やしていく"reverse taper"(逆テーパリング)を採用する人も多い」「熟練者は量を減らし強度を上げていくが、初心者は量を減らすだけが良い」(ULTRA168)
  • 100Kウルトラマラソン世界記録保持者、砂田貴裕さんのテーパリングアドバイスが、ちゃららさんの記事に!

ウィキペディアにも、「レース距離に比例してより長いテーパリング期間が必要だが、ウルトラマラソンと複数日にまたがるようなレースは例外」(Wikipedia: Tapering)というような記述がありましたが(ソースは不明)。逆テーパリングは斬新でしたが、ウルトラの練習はスピードを出さない分、ダメージ回復をそこまで考えなくていいのでしょうかね。

テーパリングは陸上競技以外にも、水泳、自転車、トライアスロン、ボート、スキーなど幅広い競技で導入されているそうです。「自転車では、ランニングよりテーパリング期間が短い。ランニングのほうが脚へのダメージがあり、回復させる必要があるからだ」(Friel)とのことで、他の種目も同様のことが言えそうです。

レストオンリー vs 低負荷 vs 高負荷テーパリング

カナダ・マックマスター大学の1992年のテーパリング研究がいろいろな記事で引用されていたので、紹介します。彼らは週80K走る大学生クロスカントリー選手を使って、次の3種類のテーパリングを比較した実験を行っています。
  • レストオンリーテーパリング(ROT):完全休養、練習距離0%
  • 低負荷テーパリング(LIT):低負荷(30Kイージー)、練習距離38%
  • 高負荷テーパリング(HIT):高負荷(500mインターバルで10K)、練習距離14%
さて、完全休養は理想のテーパリングなのでしょうか・・・?それともある程度運動したほうがいいのでしょうか?

実験では被験者に週6で8週間練習してもらっています。その後ランダムに3つのグループに分け、それぞれ違う種類のテーパリングを1週間して、その前後の走力テストで違いが出るかチェック。そして4週間練習し、別のテーパリングを試した後、走力テスト。最後にまた4週間練習し、まだ試していないテーパリングを試した後、走力テストをもう一度。というように、各自が全種類のテーパリングを行うよう実験しています。その結果・・・

テーパリングの効果比較
  • レストオンリーテーパリング(ROT):走力3%減少
  • 低負荷中量テーパリング(LIT):走力6%増加
  • 高負荷低量テーパリング(HIT):走力22%増加

上は、テーパリング前後での「走力」の違いです。ここでの走力とは各自の1500mのレースペースでトレッドミルを何秒間走れたか。HITにはテーパー前後の走力に統計的有意差(p<0.05)がみられたとのこと。

他にも、クエン酸シンターゼ(酵素)の量はHITで増加、ROTで減少。筋グリコーゲン貯蔵量はROTとHITで増加、血流はHITで増加、ROTで減少、筋力はすべてで増加が見られたそうです。

この論文、被験者数が少なかったり(n=9)、テーパリング期間が1週間だったり、マラソン走力に直結した走力評価か、など突っ込みどころはいろいろある気がします。ただ引用数も多く、その後のテーパリング研究に影響を与えたようです。

カーボローディング中はロング走をするとグリコーゲンを使ってしまうのでだめと聞きますが、それとも合った結果になっていますね。

「距離は落として負荷は落とさない」の原則も影響を受けているのか、この研究の結論と合致してます。オレゴンプロジェクトもインターバルなどで高負荷のテーパリングを採用していて、この研究結果と同じ方向性を感じました(前述Magnessや後述MSTS参照)。レース前のいわゆる「刺激走」というのも、HITと同じような効果を狙ったものなのかもしれないですね。


参考文献:
Shepley, B., J. D. MacDougall, N. Cipriano, J. R. Sutton, M. A. Tarnopolsky & G. Coates. 1992. "Physiological effects of tapering in highly trained athletes". Journal of Applied Physiology. 1992 Feb;72(2):706-11. (PubMed)

トップアスリートの方法

やはり人によって違いますね。

5,000m~10,000m
  • モハメド・ファラー&ゲーレン・ラップ(ロンドン五輪10,000mの1位、2位):マラソン選手ではないですが、オレゴンプロジェクトで練習する両者のテーパリングは、高負荷のスプリント走(ラップはレース前日に100m11秒!)や硬いサーフェスで追い込むのが特徴で、ランナーズワールド記事内ではこのテーパリング手法をMagness-Salazar Taper System (MSTS)と呼んでいます(RW, Burfoot)。鍵は「マッスル・テンション」(RW, Magness)。テーパリングというより、もっと範疇の広いピーキング?

追記:ラップが2014/5/30に地元オレゴンPrefontaine Classicにて10000mの北米新記録(26:44.36)を出しました。2週間前の5/15にはUSATF Oxy High Performance Distance Classicにて5000mを13:19で走ったのが、5/30の今大会では「後半5000m」をたった13:18で走っています。

信じられないぐらいの違いですが、インタビュー(LetsRun)よれば地元オレゴンに帰ってきて、テーパリング期間をより取れたことが差を生んだ秘訣だったそうです。余談ですがインタビューアーの印象では、さらにメンタル面も違いを及ぼしたかもしれないとのこと。奥さんが双子を身ごもっていることの報道もあり、地元で安心して走れたのが良かったんでしょうね。


マラソン


ウルトラマラソン
  • 世界各地のウルトラレースで複数の優勝経験を持つランナー、マーティン・フライヤー氏「24時間以内に終わる距離のウルトラ前は、3週間徐々に減らし、最後に急に減らすテーパリングを採用。その代わり強度・スピードは徐々に上げる。」(ULTRA168)
  • オーストラリア100マイル記録保持者、マイク・ルルー氏「7~10日間。最終ロング走のあと急に練習量を落とす。」(ULTRA168)
え、24時間以内にって、それ以上かかるウルトラあるんですね((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


持久系スキー競技(クロスカントリー・バイアスロン)

11人のオリンピック・世界王者レベルの選手のテーパリング実態を調べた最近の研究(論文)によると、これらの選手はそれほど練習ボリュームを減らしていなかったことがわかったそうです。下図を見ると、理論上適切なテーパー量(点線)との乖離が見られます。



休養・回復と走力の関係

テーパリングで何が起きるか

50ものテーパリング関連の論文をサーベイしたという論文によると、テーパリングの効果は次の通り。「練習で失われた筋肉中のグリコーゲン貯蔵量、酵素、抗酸化物質、ホルモンが適切な範囲まで回復する。筋肉へのダメージも回復。免疫力と筋力も向上し、レース前の風邪や怪我を防げる。テーパリングによるパフォーマンス向上は平均3%。これはマラソンでは5~10分のタイム短縮に相当する。」(RW, Cooper)

病み上がりなのに大会優勝、PB更新の事例

以下、長距離自転車の有名なコーチ、ジョー・フリール氏のブログ記事「歴史の教訓~ザトペック効果」(英語)に載っていたエミール・ザトペックという選手の話です。

インターバルトレーニングの創始者で、ものすごい練習量で知られていた選手だったそうですが、大会前に風邪を引き、何日も入院をせざるを得なかったことがあったそうです。大会2日前に退院できたものの、当然ドクターストップ。でも走っちゃいました。その結果、5000mと10000mで優勝。世界記録に次ぐタイムだったそうです。

他にもいろいろなスポーツで、大会直前に怪我をしたり病気になって数日~数週間に練習できなかったにも関わらず大会で自己ベストを出す例を多く見てきた、とフリール氏は語っています。

レース前の回復が重要、というのは経験的になんとなく知られていたことなんですね。

○○日間走らないと走力はどれだけ落ちるか

ジャック・ダニエルズ氏のレストについての講演動画(Youtube, Daniels)を見ていたら、練習を突然止めたらどのぐらいで体力が落ちるか、について語っているシーンを見つけました。

デトレーニングの体力低下について
(写真:Youtubeよりキャプチャ)

ダニエルズ氏曰く、「5日間何もしなくてもフィットネスレベル(体力)は全く落ちない」そうです。

写真のホワイトボードの曲線は、体力レベル。トレーニングにより山の一番上のレベルに達した状態から練習をやめてもなかなか落ちないそうで、10~20日全く練習しないと少しだけ落ちる、と山のちょっと下がった所を指さしています。もちろん彼の見ている現役アスリートの話でしょうし、誰にでも当てはまるかはわかりません。ただ思っていたより落ちないようで、参考になる話でした。

また彼は「休養はサボりではなく練習の一部である」、と強調しています。

ダニエルズ氏は運動生理学者なので、適当に言っているのではなく、ちゃんとデータから裏付けを取っています。もうちょっと長いスパンで調べたダニエルズ氏の研究では、マラソンランナーたちに1年間、週160kmの練習を積ませ、そこから突然87日間練習をストップさせたそうです。筋生検(筋肉の一部を切り取り、顕微鏡などで筋組織の状態を検査する手法)で調べると、練習前と比べ筋力は5~10%しか落ちていなかったそうです。呼吸系はもっと速く落ちても、またすぐ戻ってくるとも言っています。

ちなみに別の研究では、VO2max(最大酸素摂取量)は1~7日のディトレーニング(練習中止)ではほぼ落ちず、10~14日で6%、14~30日で12%、30~63日で19%減少というデータなっています(RC, Gaudette)。

ちょっとテーパリングの範囲からは離れますが、では、怪我や環境の変化などで数年単位で練習をストップして筋肉は一度落ちたら場合は、戻りにくいのでしょうか?答えは、一度鍛えた筋肉はすぐ戻ることが経験的に知られているそうです。例えば3年かけて鍛え、競技から離れて元の体型に戻っても、半年ぐらいで鍛えていた水準に戻せる、というような感じ。これは、マッスルメモリー(筋肉の記憶)と呼ばれる現象で、近年理論的背景が明らかになってきているとのこと(じてトレ)。

もっと知りたい方は、「トレーニング中断するとどうなる? -”衰え”とその対抗策を科学する-」(PDF)という名古屋大の講義スライド(?)が詳しいです。スピード・持久力に分けてディトレーニングのメカニズムがわかりやすく説明してあります。


テーパリング中の落とし穴

テーパリングで陥りがちなミスを集めてみました。

オーバーテーパリング

オーバーテーパリング、つまり、テーパーインということで急に休みすぎてしまうのは、良くないそうです。自己ベスト2:22の元マラソンランナーでもあるコーチジェフ・ゴーデット氏がテーパリングのミスを取り上げた記事2つでは、両者ともありがちなミスとしてあげられていました(RC, Gaudette; Competitor, Gaudette)。また、他の記事でも触れられていました(RT, McMillan)。

テーパーレス

つまり、テーパリングしないことですね。ハドフィールドコーチはそれでいける人もいることはいないが、ほぼベストじゃない状態で走るハメになる、というようなことを言っています(RW, Hadfield)。

無理なロング走

レースが近づくと、最終仕上げとしてロング走を入れたくなりますよね。ハドフィールドコーチによれば、26kmだったのを32kmにするといったように、距離を伸ばし過ぎないほうがいいそうです(RW, Hadfield)。

怪我や疲労のリスクもあるので、1~2回のロング走より、ベストなコンディションでスタートラインに立つことを優先したほうがいいとのことです。

同コーチは、不安から1~2週前にロング走を詰め込むのもダメ、とも言っています。疲労リスクとともに、心理的にも逆に不安になったりしてマイナス効果のようです。

レース前にどうしても不安になってしまう人には、こんな解決法もあります(RW, Kuehls)。
  1. 練習日誌を振り返って自信をつける
  2. ジョギングの間に3~5kmレースペースで走ってみる
  3. 目標タイムの他にダメだった時の第二目標タイムを設定する

慣れないことをする

ゴーデットコーチは、自信をつけるためのスピード練習やタイム予測のためYasso 800sをするのは良くないとしています(RC, Gaudette)。ちなみにYasso 800sの記事に書きましたが、私は前回のマラソン前にやってしまっています(∀`*ゞ)テヘッ

ハドフィールドコーチは、新しいシューズはもちろん、新しい辛い料理、家のペンキを塗り替えるなど、新しいことをあまりしないように薦めています(RW, Hadfield)。辛い料理はたしかに危ないですね~。

テーパリング中はメンタル面で特に不安定になる傾向があるそうなので、新しいことをするとイライラして良くないのかもしれないですね。ちなみにテーパリング中にイライラしたり不安になる現象は、"temper tantrum"(かんしゃく)にかけて、"taper tantrums"と呼ばれているそうですw(Today's Parent)。


すでに慣れないことをしてしまっている人は、落とし穴と言われてますます不安になってもしょうがないので、気休め程度に思うのがいいでしょうね。私なんて、新しいシューズ、ソックス、ウェアといろいろ買ってますし。(・ω<)  テヘッ (・・・でも、事前に十分慣らしはする予定です。)

体重増加を心配しすぎる

※マラソン以上の距離を走る人の場合です。

ゴーデットコーチによると、レース1週間前は下手に減量するより、カーボローディング(=グリコーゲンローディング)で体重が増えたほうがましだそうです(RC, Gaudette)。

重くなるのは当然で、グリコーゲン1対水3の割合で体重が増えます。元の体重にもよりますが1~2kg重くなるのが成功の証のはずです(RC, Housefield; ウィグライ)。

ちなみにカーボローディングの記事に書きましたが、前回のマラソン時、私のカーボローディング開始直前の体重は54kg(ジョギング後は53kg)、レース前日夕食後が58kg、当日朝が56kgでした。


まとめ

テーパリングはレースパフォーマンスの鍵を握るというコーチもいます。

  • 「最後の3週間はマラソン練習で一番重要な期間である」(RW, Cooper)
  • 「いいテーパーは絶対に必要不可欠だ。トレーニングの最重要部分である。長距離ランナーにとって、テーパリングを極めるのも仕事のうちだ。」(RW, Burfoot)

基本は2週間前後かけて「負荷はそのままで距離を減らす」ということに集約できると思いますが、十人十色の方法があるので、個人個人に合った方法を試行錯誤しながらアレンジしてみてください。

長くなってしまい、あまり噛み砕けていないところもありますが、少しでも参考になれば幸いです。


テーパリング本

本文中に登場した人たちの関連著書です。


▲テーパリングとピーキングについてひたすら200ページ以上綴る専門書(英語)。

▲日本でもおなじみの本ですね。英語版ではテーパリングに10ページほど割かれています。

▲2014年発売のマグネス氏の著書(英語)。ピーキングをテーパリングとシャープニングに分けて解説(p.247)し、速筋型と遅筋型など個々に合ったテーパリングカスタマイズ法を紹介。

▲2014年日本語版発売のジョー・フリール氏の著書。この方の専門の一つが期分け/ピリオダイゼーションで、ブログにはいくつもの関連記事があります。



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2013/09/02

(海外ニュース)鎮痛剤とスポーツサプリメントの組み合わせにより、レース中にランナーが死亡した事例

以前、鎮痛剤+脱水のリスクについて書きました(記事)が、こんな残念なニュースがありました。

英ガーディアン紙電子版:「Brighton Marathon runner died after reaction to ibuprofen and supplements」(ブライトンマラソンのランナー、イブプロフェンとサプリへの反応により死亡)。

4/14の英ブライトンマラソンの16マイル(26km)地点で、23才の大学院生Sam Harper Brighouseさんが倒れ、死亡するという出来事があったそうです。

その死因がやっと明らかになり、ここ数日複数のイギリスのニュースサイトで取り上げられています。(9/2現在、日本のニュースサイトはまだどこも取り上げていないようです。)


複合的な要因が重なった


今回公表された死因は腸管虚血と胃腸出血。

高熱、脱水、持久運動、高浸透圧の「スポーツサプリメント」(記事内別箇所はジェルを示唆)、鎮痛剤の組み合わせによる「特異体質反応」が引き起こしたそうです。

レース中の死亡例は、心臓発作が多いようです。今年のピッツバーグマラソンで死亡したランナーはレアな先天的な奇形だったそうで、それも心臓系ですね。一方、今回のような死因はかなりレアだそうです。

ただ、このランナーは健康で体力もあったそうで、そうなると誰にでも起きえそうな気はしてしまいますね。

鎮痛剤はイブプロフェンで、2~4錠摂っていたようです。脱水時の鎮痛剤の危険性については過去にも書きましたので、拙記事「ウルトラマラソンの痛み止め普及率が高すぎる件」もあわせてご覧ください。

追記:水分は摂らなすぎはだめですが、摂り過ぎも危険ということはあまり知られていないようです。運動生理学者ティム・ノックス博士が摂り過ぎのリスクに警鐘を鳴らした本を出しており、過去に拙記事「新常識?水分補給は「渇く前」でなく「渇いてから」という理論」で紹介していますので、よろしければそちらもどうぞ。


エナジージェルの成分比較


スポーツサプリメント/ジェルは他のニュースも調べましたがどの種類がどれだけ摂取されたかは明かされていませんでした。ただ、よく知られた商品だそうです。

死亡時の血中カリウム濃度は通常時の3倍だったそうです。

参考までに、米国主要メーカー各社のジェルの成分表を置いておきます。カリウム(K)は英語でpotassiumです。

メーカー各社のエナジージェルの成分比較
(成分表:iRunFar.comより)


鎮痛剤を飲まれる方、事前にリスクを調べ、飲み過ぎないようにお気をつけ下さい。


追記:浸透圧の原理とハイパートニック飲料


ところでスポーツサプリメント/ジェルは成分だけが問題ではなく、濃さも重要です。脱水時に濃い飲み物を飲んでも、体液との浸透圧の関係で水分補給になりません(ナメクジに塩と同じ現象)。水分補給という意味ではスポドリは水で薄めて濃度を下げるか、水と一緒に飲むと吸収が速いです。

どういうことかもうちょっと詳しく説明すると、浸透圧はスポドリ/ジェルの成分(塩分、糖分etc)のモル濃度に比例します(ファントホッフの法則)。

浸透圧
出典:北里大学2011年度後期「化学」教材(PDF)

上の図を見ると、濃さが一定になる方向に水分子が移動しています。これを見るとナメクジ体液から塩に水分が移動する仕組み、人間の体液から胃の中の濃いスポドリのほうに水分が移動する仕組みがイメージしやすいと思います。

ちなみに相対的に濃い液体はハイパートニック、薄いのがハイポトニック、体液と同じ浸透圧の濃さがアイソトニックといいます。「ハイポトニック飲料」というと神秘的な感じがしますが、極端に言えばただの薄いスポドリです。ハイパートニックな液体は脱水に繋がるので、エナジージェルなどはなるべく水と一緒に飲むと良いそうです。



ブログ内関連記事



ブログ外関連記事(浸透圧)



ブログ外関連記事(痛み止めの副作用)

  • 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎不全(PDF)
    • 「NSAIDs、ACEI、ARB による腎前性急性腎不全は有効循環血液量の減少が大きな危険因子である。有効循環血液量の減少の最も多い原因が脱水である。」
  • ウィキペディア:NSAIDs
    • NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)系鎮痛剤は具体的にはロキソニン、イブプロフェンなど。

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2013/08/20

データで見る体脂肪率と(ウルトラ)マラソンのタイムの関係

レースまであと1ヶ月弱あるので、体を絞るなら今から始めればまだ少しは間に合いそうです。そこで、どのくらい絞るべきなのかな~と気になりました。

そんな中、マラソンタイムと体脂肪率について書かれた、面白いレポートを見つけましたので、紹介したいと思います。

ちなみに私の体脂肪率は、年初が細かい数字は忘れましたが20%以上、7月末が13.1~13.9%、今日測ったら12.6~12.8%になってました。(機種:オムロン・カラダスキャンHBF-903)

フルマラソンのタイム毎の平均体脂肪率

タニタの「ランニング愛好者と体脂肪」調査報告書(PDF)というレポートからのデータです。

まずは男性ランナー。調査対象はランネットのアンケート経由の337人。

グラフ:マラソンタイムと体脂肪率の関係(男性)
3時間~3時間半のタイムで走る人の平均は13.1%なので、私の体脂肪率は若干下回っているようです。ですが、2時間半~3時間の場合は10.6%で、上回っています…。もうちょっと絞っておいたほうがいいのかな?

続いて女性ランナー。調査対象は81人。女性のほうがそれぞれ3~6%ほど多いですが、適正脂肪率だと男女で10%ぐらい差があったような。

グラフ:マラソンタイムと体脂肪率の関係(女性)

ってか、思ったんですが、2時間半~3時間ってカテゴリーはざっくりすぎですよね(笑)


念のため他ソースもあたってみると、AllAbout谷中博史さんの「サブスリーランナーのダイエットとスタイル」が見つかりました。それによれば、
国際的な男子のトップランナーで4~5%、女子ランナーで5~6%といわれます。それでは市民ランナーの場合はどうでしょうか?

アンケート調査などすると面白いと思いますが、とりあえず、私の周囲のさまざまな層のランナーに聞いた所では、フルマラソンで2時間40分を切るようなランナーですと6~8%くらいになっているようです。サブスリーレベルですと幅があって10~14%くらいでしょうか。4時間30分くらいですとさまざまで、中には20%程度と、標準レベルクラスの体脂肪率の方もいます。
 だそうで、これを読むと10~14%に入っているので現状維持でもいいような気もします。

マラソンタイムと体脂肪率の相関

前述のタニタのデータは体脂肪率とタイムの相関が見られて面白いですが、なにせ体組成計メーカーの出してるレポートなんで、信ぴょう性は眉唾程度に思っておくのが良さげ・・・という人もいると思うので、中立した立場の研究も、もし興味があればおまけでどうぞ。すみませんがこれ以降はちょいちょい理系っぽい表現で読みにくいかもしれません・・・。


ある論文[1]によると、男性市民ランナー (n=52)のマラソンタイム(MPT)と体脂肪率(BF)の相関係数は0.60だったそうです(1に近いほど正の線形な相関関係が強く、0だと相関が弱い)。よって体脂肪率がマラソンタイムのいい予測を与える因子となると結論付けています。

マラソンタイムと体脂肪率の相関係数
(赤の強調は筆者による)

ちなみにタイムとの相関関係が一番強いのは練習の平均ペースだそうです。う~ん、直感では理解できますが、どんなトレーニングしているかわからないですし、n=25だし、ちょっと信ぴょう性はわかりません。


また、別の論文[2]では、男性市民ランナー(n=126)のマラソンタイムといろいろな身体測定指標の相関を調べています。年齢、体重、身長、BMI、脚の長さ、体の部位の太さ、皮下脂肪厚、体脂肪率、骨格筋重量などなど…。

マラソンタイムと身体測定指標の相関関係
(赤の強調は筆者による)

中でも皮下脂肪厚と体脂肪率がタイムとの相関関係が強かったようです。脂肪周りの数字を見ながらの調整が重要そうですね!

この論文ではタイムとトレーニング上の要素の関係も調べているんですが、練習中のスピードとタイムの相関相関がr=-0.61と、先ほどの論文と同じ傾向が出ています。


また、別の論文[3]は、ウルトラマラソンのランナーと身体測定指標について。アブストラクトしかアクセスできていませんが、結論では、男性ランナーの速い、遅いには体脂肪率が関係ある、そして完走者のほうが非完走者より平均して低い体脂肪率である、としています。


参考文献

  1. Tanda, G., & Knechtle, B. 2013. "Marathon performance in relation to body fat percentage and training indices in recreational male runners". Open Access Journal of Sports Medicine. 2013;4:141-149. (URL)
  2. Barandun U., Knechtle B., Knechtle P., Klipstein A., Rüst C. A., Rosemann T., & Lepers R. 2012. "Running speed during training and percent body fat predict race time in recreational male marathoners". Open Access Journal of Sports Medicine. 2012;3:51-58. (URL)
  3. Hoffman, M. D., Lebus, D. K., Ganong, A. C., Casazza, G. A., & Loan, M. Van. 2010. "Body Composition of 161-km Ultramarathoners". International Journal of Sports Medicine 2010;31(2): 106-109. (URL)

※脂肪は減らしすぎてもいけないようなので、ご注意を。



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ところで、今までこのブログにコメントいただくには、画像に出ている英字・数字を入力してくださいっていうアレが出てきていました。スパムロボットをはじく仕組み「キャプチャ」ですね。

私はブログの著者なので、普段キャプチャなしでコメント書けたんですが、どんなもんかと思って試しにログオフしてからコメントしてみたら、難易度高いのがどんどん出てきました(笑)

これ面倒ですね。なかでも次のがひどかったです。

recaptcha

左の写真、どう頑張っても読めないよwww

近づいて見たり、薄目にしてみたりしてもダメでした(´;ω;`)ブワッ

正解がなんだったのか気になります…。

というわけで、キャプチャ機能はオフにしてみましたので、今後もコメントよろしくお願いします♪

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