2013/09/08

マラソンピーク年齢から2020東京オリンピックの出場選手層を考える

2020年のオリンピックが東京開催に決まりましたね!

出場の可能性があるのはどの年齢層なんでしょう?

1歳刻みの年齢別マラソン世界記録を見ると・・・

データから見るに、マラソン選手としての年齢のピークは、男子が19~37歳(すべて2時間6分未満)、女子が22~33歳(ほぼ2時間20分未満)あたりでしょうか。マラソンランナーは人によって早熟だったり大器晩成型だったりするので、ピーク年齢層は広いと言えると思います。

7年後のオリンピックの前年(6年後)にも良い結果を出して代表に選ばれないといけないので、男子は13~30歳、女子は16~26歳。今このあたりの年齢のアスリートにはチャンスがあるかもしれません!?

オリンピックの花型競技の1つ「マラソン」で、2020年に日本人が優勝するところをぜひ見たいです。無理を承知でお願いしますが、東アフリカ勢・その他世界の強豪に勝って、金メダル取ってください!日本のアスリートの皆様、期待しています!!


P.S.
若い人は、スポーツ留学もひとつの手だと思います。ジュニアテニスの選手はフロリダを拠点にする人も結構いて、日本のトッププレイヤー錦織圭選手やシャラポワ選手もそういうケース。そういう流れが陸上競技にも起きるといいなと思います。世界のトップと切磋琢磨しながら成長できるということもありますが、他にも、いろんな練習方針があるべきで傾向が偏るのはリスクでもありますからね。個人的には早稲田の大迫傑選手がオレゴンプロジェクトへの留学でどれだけ成長して帰ってくるか、楽しみ。

<追記>
[9/10] 共同:日本郵政、女子陸上部を設立 来年4月、東京五輪狙う
日本郵政が、実業団チームとして来年4月に女子陸上部をつくる計画であることが10日、分かった。来春に入社する新入社員で構成し、主に中長距離の選手を集める。
おお、早速!!って動き速すぎですw素晴らしい。駅伝偏重の既存の実業団とは違うタイプの長距離陸上部になるんでしょうか。期待です。

<追記>
東京五輪に出てくるかもしれない(?)気になった海外選手を拙記事から引用して紹介してみます。対象が大勢いすぎるので、若手選手(1988年~生まれ)に絞って紹介します。

まずは男子。

スティーブン・キプロティチ(Stephen Kiprotich)

Sキプロティチ@stephenkiproti1)は89年生まれのウガンダの選手。ケニアとの国境に面したカプチョルワ県出身だそうですが、ウガンダの選手は珍しいですね。ただトレーニングはほとんどケニアでしているそうです。ウガンダのニュースサイトによると、ここ2ヶ月はケニアのKaptagat村にてGlobal Sports Communicationチームの合宿に参加していたそうです(英語記事)。自己ベストは2011年蘭エンスヘデマラソンの2:07:20(ウガンダ国内記録)。2012東京マラソン3位、2012ロンドン五輪優勝、2013ロンドンマラソン6位、2013世界陸上優勝。自己ベストは他の選手と比べるとぱっとしませんが、ロンドン五輪ではWキプサングとAキルイに勝っていますし、世界陸上も制しているのは素晴らしいです。
ニューヨークシティマラソン2013の注目選手

ジョフリー・キプサング(Geoffrey Kipsang)

ジョフリー・キプサングは一部報道で「Geoffrey Kiptanui」(21)となっていましたが、訂正が入り「Geoffrey Kipsang」(20)に。彼は1992年生まれと非常に若く、マカウが世界記録を出した2011年のベルリンで、ゲブレセラシェのペースランナーを務めています。2012年のベルリンでの初マラソンで、2:06:12の好タイムを叩きだしており、マラソン界の期待の星に違いないです。今年のRAKハーフマラソン(UAE)では、58:54の驚愕タイム(世界歴代7位、マカウのコース記録まで2秒)で優勝。年齢的に、7年後、東京五輪で見られるかも?!要チェックですね。ちなみにウィルソン・キプサングと苗字は同じですが、親戚ではないとのこと。

アエレ・アブシェロ(Ayele Abshero)

アブシェロは1990年生まれの若干22歳。ケベデと同じくエチオピア出身で、レース史上2人目のエチオピア人チャンピオンが誕生するか見ものです。2012年のドバイマラソンが初フルマラソン2:04:23のコース新記録で優勝(キメットのデビュー世界新とわずか7秒差で、こっちのほうが大分若い!)。サブ2:05達成の最も若いアスリート(当時21歳)に。今後も大注目の選手です!2020東京五輪にも出てくるかもしれないですね。コーチはValentijn Trouw、スポンサーはナイキ。
シカゴマラソン2013出場選手紹介(10/13)

ティラフン・レガッサ(Tilahun Regassa)

昨年のシカゴで初マラソン2:05:27の好成績で3位に入った、1990年生まれのエチオピア人。ハーフの自己ベストは59:19。エチオピアは他の東アフリカの国よりは恵まれた家庭出身のランナーが多いそうなのですが、彼の人生は壮絶です。
両親が3才で離婚。男手一つで育てられるも15才で父親と死別。その後は、採石場で働きつつも空腹時に食べ物を恵んでもらう路上生活が3年続きます。そんな中、2006年にエチオピアの10Kレースで28:34.77で4位。5年間もまともに競技生活をしていなかったにも関わらず、大会での活躍が目に止まったのか、路上から見出されたのが2008年のこと。住む場所、食べ物、練習環境を与えられ、文字通りのハングリー精神でチャンスをものにしようと頑張ります。同年、フランス・リールのハーフマラソン大会でデビューし、59:36で優勝。これは、現在でもジュニア世界歴代2位の記録です。(参考:ジュニア日本記録は大迫傑の1:01:47、2010年。日本記録は佐藤敦之の1:00:25、2007年)
シカゴマラソン2013出場選手紹介(10/13)

アツェデュ・ツェガイ(Atsedu Tsegay)

ツェガイは1991年生まれのエチオピア人。2012年にプラハ・ハーフマラソンで58:47の大会記録で優勝。今回が初マラソンですが、若いのでこれからどれだけ成長することやら…。スポンサーはナイキ。
シカゴマラソン2013出場選手紹介(10/13)


ピーター・キルイ(Peter Kirui )

Pキルイは88年ケニア生まれ。マカウが2011年ベルリンで世界記録2:03.38を出した時のペースメーカー。さらには、Wキプサングが2011年のフランクフルトマラソンで当時世界歴代2位の2:03.42を出した時も、35kmまでペースメーカーを務めています。オーバーペースだったと思うのですが、そのレースはなんと完走したそうで、自己ベストの2:06:33を出しています。ちなみに今年はびわ湖毎日に参加するもDNFでした。(※世界陸上マラソン金のAキルイは別人)
ニューヨークシティマラソン2013の注目選手


続いて女子です。

メリマ・モハメド(Merima Mohammed)

モハメドは92年生まれの若いエチオピア人。2010年のトロントでは十代にして2:23:04の好記録。去年のシカゴにてDNF。その一方、2、3ヶ月後のヒューストンマラソンでコースコンディションが悪い中、大会記録に迫る2:23:37で優勝。4月のパリでは2:23:14で2位。まだ21才なのにすでにフルで4回の優勝経験があります。ハーフの自己ベスト、1:08:36は女子ハーフ18才の世界記録。コーチはHaji Adilo。
シカゴマラソン2013出場選手紹介(10/13)




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  • 「駅伝ベースのスケジュール」「海外マラソンを走る機会が少ない」「マラソンを難しく考えすぎ」
  • Running Times - Where the Marathon Matters / Japan's long-running tradition (外から見た日本の長距離界の特徴)
  • 「While U.S. marathon broadcasts rarely creep above 1 percent ratings, in Japan a 10 percent rating for a major ekiden or marathon would be a disappointment; certain athletes and events can bring Super Bowl-like 40-plus percent ratings.」
    (↑趣旨:アメリカではマラソン中継の視聴率は1%だが、日本は10~40%のときもあり、花型スポーツである。)
    The drawback is that even athletes lacking the physiology of Takaoka or Morishita drift toward overly ambitious mileage. Takaoka's coach Itoh points out, "A lot of teams are just doing the training without thinking why. They might point at 1,000 kilometers in a month, and the coach will give the athlete a congratulatory 'Otsukaresama deshita' (Well done!) comment, as if the point of the training is just to train." Morishita agrees. "Rather than do the appropriate training and then see what the mileage turns out to be, many coaches are pointing at some mileage figure first."
    (↑趣旨:トレーニングの目的を考えず走っているチームが多い。闇雲に距離ばかり伸ばす、トレーニングのためのトレーニングは本末転倒だ。)
  • AllAbout - 独占取材!ハイレ選手の世界記録に迫る (元世界記録保持者からみた日本のマラソン選手)
  • 「信じられないかもしれませんが、日本人は身体的に非常にマラソンに適していると思います。日本人が世界記録を更新することも可能だと思います。マラソンに何が必要であるかを考えれば、身体構造も完璧です。将来的には日本の選手も、間違いなくタイムをあげてくると思いますよ。」
    「日本人選手は、トレーニングし過ぎであるように見受けられます。日本のトレーニングがハードなものであることは知っています。ただ日本で練習するよりは、高地へ行って練習するべきです。日本人は努力家です。大会についても非常に真剣に取り組みます。2時間6分台以上の力を持っているはずです。私の言葉を信じてください!」
  • サンスポ - “高岡二世”が東京五輪で輝く日
  • 「日本選手もせめて4分台くらいの力がないと、いくら夏でも戦えない。早くぼくの記録を破ってほしい」
    「02年に出したときは世界歴代4位だった高岡コーチの日本記録は今では61位。最近10年間で2時間7分を切った日本選手はいない。」
  • Sportiva - 【マラソン】日本女子マラソンは、なぜここまで低迷してしまったのか
  • 「今はケニアやエチオピア勢が強くて最初から諦めている選手も多いし、そこを無理やりやらせる指導者も少なくなっていると思う」(武冨部長)
  • 現代スポーツ - 新春特別研究「マラソンでメダル」が見たいのに……なぜ日本人には「箱根駅伝までの選手」が多いのか
  • 「マラソンに挑戦させず、箱根だけに縛りつけるような、選手の可能性を引き出そうとしない指導をしている大学があることにも、問題があると思います」(川内優輝)
    「持久力を付けることばかり考えて長い距離を走らせ、スピードが増すトラックでのトレーニングを軽視しています。だから基本的に皆、長距離仕様の選手になる。1㎞3分ペースで行けば箱根なら区間賞も狙えますから。一方、世界に目を向けると、トップレベルはトラック競技で鍛えることでどんどん高速化している現状があります」(櫛部)
    「そもそも、いまの学生はマラソンに魅力を感じていないんですよ」(櫛部)
    「スターはいらない」という考えを持つ指導者が、選手の将来より大学の広告効果のほうに重きを置けば、学生選手権などのトラック競技を軽視し、一年中、箱根で走るための偏ったトレーニングばかりを行う。箱根の1区間は4区を除いてすべて20km以上。その距離を走り続けることで選手は皆、同じような〝箱根仕様〟になっていく。例えるなら、圧倒的な馬力を誇るポルシェを1台作るより、燃費がよく壊れにくいプリウスを10台作ることを優先し、事実、それで箱根を制した大学も存在する。


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2 件のコメント:

  1. 素人の素朴なギモンですが、東京の8月にフルマラソンをやるのは、安全上、大丈夫なのでしょうか?
    カタールのワールドカップが問題視されていますが、それよりずっと過酷な気がします。

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  2. さのさま、
    はじめまして!

    8月に東京でマラソンを走るのは過酷そうですね。市民ランナーにとっては間違いなく危険だと思います。

    プロの場合は、一部の選手は耐性があるようで、2008年北京五輪の優勝タイム2:06:32(気温:21~29度)は、暑さのわりに素晴らしいと思います。

    ただ2020年夏も今年の日本の暑さと同じぐらいだとすると、プロでもどうなることやら、ですね。

    長距離走は気温が違うと別の種類のスポーツをやっているような気分になるので、ベストタイムがうんぬんだけでなく、暑さ耐性がどれだけあるかで結果が随分変わってくるかもしれません。

    カタールは出張で行ったことがあるのですが、5月なのに暑すぎてジョギングできませんでした。確か40~50度あったと思います。スタジアムに冷房がどれだけかけられるか、が勝負ですね。

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