2014/05/30

米ビブラムが1足最大$94の返金手続き開始~5本指シューズの健康効果誇張による集団訴訟を受け

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今月初め、ビブラムUSAが集団訴訟を受け和解案を出していましたが、ついに返金申し立てのサイトがオープンした、とランナーズワールドが報じています。
対象商品
ビブラムファイブフィンガー(VFF)シリーズ35種類
対象者
米国で2009年3月21日~2014年5月27日に対象商品を買った人全員
(※以前はレシート不要と報じられていましたが、要レシートになった模様)
返金額
1足あたり最大$94(同様の和解事例に習うと$20~$50になりそうとのこと)、1人2足まで
申し立て締め切り
2014年9月24日
申し立て用URL
https://www.fivefingerssettlement.com/claim/

ビブラムファイブフィンガーシリーズの典型的な5本指シューズ
▲VFF (Vibram FiveFingers) 5本指シューズ BIKILA LS



集団訴訟の背景


この訴訟は2012年から続くものだそうです。ようやく辿り着いた今回の和解については日本のニュースメディアはほとんど取り上げていないようです。
 手袋のように5本の足の指をそれぞれ分けて履くランニングシューズを製造・販売しているビブラムUSA(株式非公開)が、5本指シューズの健康効果を誇張していたとして提訴されていた件で和解に向けて動き始めた。

 ビブラムは自社製品の購入者に総額375万ドル(約3億8100万円)を支払うと提案したほか、今後は広告の中で健康効果をうたうことをやめると明言した。

 集団訴訟の原告団はマサチューセッツ州の地方裁判所に訴状を提出、その中で、5本指シューズを履けば筋肉が鍛えられてけがを予防できる、という根拠のない宣伝文句のおかげで、ビブラムは1足100ドル近い価格でランニングシューズを販売することができたと主張している。
(2014/5/9) ウォールストリートジャーナル日本版:靴メーカーのビブラムUSA、健康効果訴訟で和解案


なお、日本は対象外・・・?
ビブラムファイブフィンガーズを日本に輸入しているBarefootinc Japanに日本での対応を聞いてみると「日本法人としては米国の訴訟で問題になったような誇張表現についてはもとから取っていないので、特に返金対応などは予定しておりません。今後も、正しい使い方の周知を徹底させていきたいと思います」とのことだった。
(2014/5/13)日刊SPA! - 「ベアフットラン」用靴で米靴メーカー、集団訴訟で返金に



ビブラムのマーケティング


私はVFFを持っていないので感想は書けませんが、売り文句が誇張されすぎてるな~と思うことはあります。

裁判資料(英語PDF)によれば、ビブラム社が科学的根拠に基づかずに広告やウェブサイトで主張していたというVFFの効果は以下のとおり。
(1) 足と下腿の筋肉を強化する
(2) 足首、足、つま先の可動域を広げる
(3) バランスと敏しょう性に重要な神経系を刺激する
(4) 背骨の歪みを取り、姿勢を改善する
(5) 足とカラダが自然に動けるようになる

ビブラムUSAの元CEOはマーケティング戦略がうまい人だったみたいです。
ビブラム社は元々は保守的で、宣伝なども殆どしない会社。いい物は宣伝しなくても売れる。そんな会社なのですが、Vibram USAの代表のTony Postは超マーケティングが出来る人で、戦略をしっかりと立て、BORN TO RUNという世の中のランナーに超強烈な衝撃を与える本とリバーマン博士の裸足で走った方が衝撃が激減するというデータとBIKILAの発売を合わせたのです。
(引用元:吉野剛の裸足ランニング - ビブラムファイブフィンガーズ開発秘話

↑ブログ村でも有名人、裸足ラン第一人者吉野さんという方のブログ。貴重なビブラム社についての歴史についての日本語記事で、興味深いです。

ちなみに米ビブラム元代表のTony Postですが、独立してシューズ会社を作り、自身の名前を縮めた「Topo」というシューズを作りました。「生まれながら本来持っているバイオメカニクスを増幅する」という謳い文句の、なんと2本指シューズです(笑)。以前書いた記事で触れましたので、ご参考まで:「はじめてのレースシューズ!【日米流行比較編】


トランジションは必須


ベアフット・ミニマリスト系シューズでケガをしにくい鍵は、「トランジション」(移行)の仕方だと言われています。距離や練習強度を徐々に増やしていったり、間にクッションやヒールトゥドロップが中間レベルのシューズを挟んで慣らすことですね。

コーチ・著者のジェイソン・フィッツジェラルド氏は、VFFへのトランジションは2~3年はかかることもあると言っています(ソース)。でも、聞くところによると、慣らしもせず普通のシューズから一気に切り替えてケガをするパターンは多いようですね。


履き回しの効果


ところで昨年、違うタイプのシューズを履き回したほうが怪我のリスクが減るかもしれない、という論文(英語)が発表されました。種類の違うシューズを履き回したほうが、それぞれ違う種類の筋肉に負荷を分散でき、ケガのリスクが減るようです。

海外の人気ブログ「ラン・ブロガー」の著者でフォーム分析が専門の元大学教授、ラーソン氏もこの考えを以前から持っており、例えばこの記事では、クッション系、レース用、トレイル用、ウルトラミニマル、ミニマルなどを履き回しレパートリーとしてあげています。

もしビブラムが効果的だとしたら、それは違うタイプのシューローテーションの恩恵によるものも大きいのかもしれませんね。私もそういう意味でミニマリスト系に興味あります。

ともかく、履くだけで痩せると謳ったシューズも訴訟になりましたが、履くとけが予防とか、短絡的な売り方はよくないですね!

※今回は短絡的な誇張マーケティングのせいで問題になりましたが、ビブラムが好きな方は何もやめる必要はないと思います。合っている人には合っているんでしょうし、これから長期的な効果が発見されていくかもしれませんし、裸足の感覚で走っていて楽しい・気持ちいい、というならそれをやめる必要はないですからね・・・!


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2 件のコメント:

  1. さすがアメリカ訴訟社会だ・・ そして返金までするのですね!
    私もビブラム使っていますが、適切に使えば効果はあると思います。でも適切に、っていうのがわからない人がたくさんいるのでしょうね。
    これでファイブフィンガーズがなくなったりしないといいのですが。

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    1. ほんと訴訟社会ですね。
      こういうケース、たまに目にします。
      LondonSparrowさんみたいに徐々に距離を増やすのが
      ケガせずVFFを履きこなす秘訣みたいですね!
      自分も試す時は底が厚いVFF KSOにしてみたいと思います。

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