2013/09/04

【保存版】テーパリング情報総まとめ☆

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9/15のマラソンまであと僅かになってきたので、最近はテーパリング中です。
(´・ェノ|柱|。。。テンパリ中じゃないよ(←使い古されたネタだったらすみませんw)

せっかくテーパリングについて調べたので、まとめてみました。

<目次>
テーパリングとは?
 ピーキング、ピリオダイゼーションとの関係

テーパリングの方法
 スタンダードな方法
 いろいろなバリエーション
 マラソン以外のテーパリング
 レストオンリー vs 低負荷 vs 高負荷テーパリング
 トップアスリートの方法
 
休養・回復と走力の関係
 テーパリングで何が起きるか
 病み上がりなのに大会優勝、PB更新の事例
 ○○日間走らないと走力はどれだけ落ちるか

テーパリング中の落とし穴
 オーバーテーパリング
 テーパーレス
 無理なロング走
 慣れないことをする
 体重増加を心配しすぎる

まとめ
 テーパリング本


追加情報が見つかったら随時加筆していく予定です。

テーパリングとは?


ta・per [téipə(r)]
━━ vi., vt. 次第に細くなる〔する〕(off),次第に減じる(off).
三省堂 Web Dictionary

スポーツにおけるテーパリングとは、持久系競技(マラソン、水泳)「大会前に練習を減らすこと。パフォーマンスを最大限に発揮するために必要不可欠と信じられており、1週間から2~3週間かけて行う。」(RW)。後述しますが、量は減らしても強度はそのままか、少し上げる人もいます。

テーパリングとは、10人のコーチや研究者に最適な方法を聞いたら、10通りの違う答えが返ってくるようなものだそうです(Competitor, Gaudette)。研究でも回復スピードの個人差は大きいことがわかっているそうです(PubMed)。なので、どの記事も書いてあることが少しずつ違っていてまとめるのが大変でした(笑)。

この記事では、なるべくバランス良くいろいろなテーパリングを紹介できたら、と思います。他の練習理論などと同様に、誰にでも当てはまる「唯一の正解」はないはずなので、自分にあったものを探してみてください。主にマラソンにおけるテーパリングについてですが、5K・ウルトラなど他の距離にも少し触れています。

ピーキング、ピリオダイゼーションとの関係


似た用語で「ピーキング」とは試合時に体力レベルが最大(ピーク)になるよう持っていく調整のこと。オレゴンプロジェクトの元アシスタントコーチ、スティーブ・マグネス氏の著書(後述)では、テーパリングはピーキングの一手法と位置づけています。

もっと大きな枠組で、「期分け(ピリオダイゼーション)」とは1年間をレース中心にいくつかの期間に区切って練習計画を立てること。例えばアメリカの陸上部では、クロスカントリー、インドア、アウトドアトラックのシーズン毎に年3回の期に分けるのが基本だそうです(RT, Taylor)。その期分けという視点で見ると、ピーキング・テーパリングの関係がわかりやすいかもしれません。あるトライアスロン用の期分け法では、レースに体力ピークが来るよう(=ピーキング)、量は徐々に減らしつつ強度は上げており(=テーパリング)、図でみると一目瞭然です。
ピリオダイゼーション:練習量、練習強度、体力の関係
ジョー・フリール氏の著書(後述)の原著2nd Ed, p.29, Fig 3.5. これはトライアスロンの場合で、ランニングだと足へのダメージがあるので強度に関しては少し注意。

テーパリングの方法


スタンダードな方法

まずは一番スタンダードと思われる方法から。ランナーズワールドに数多くテーパリング記事はありますが、その中でも代表的に扱われていたのが、以下の3週間スケジュール(RW)。

3週間前・・・週間走行距離を20~25%落とすことにより、ハードな練習から体を回復させる(具体的にはグリコーゲンの再補充、細胞組織の修復)。ランはほとんどイージーペースで。

2週間前・・・週間走行距離をさらに20~25%落とす。ランはほぼすべてイージーペースで。

レースの週・・・1日8時間は睡眠を取り、週に4日だけ走る。初心者は1回あたり最大5~6km、上級者は週前半に10kmを2回ほど入れても良い。上級者は週前半にレースペースで1.5~6km(+アップ・ダウン)ほど走っても良い。

いろいろなバリエーション

いろいろなコーチの勧めるいろいろなテーパリング方法です。
  • 若い人は2~3週間、若くない人は3~4週間(RW, Hadfield
  • 10~14日間。最初の週は練習を普段より10~20分、レース週は20~30分短くする。ロング走の距離も落とす。(RT, McMillan
  • 3週間。1週目は80~90%、2週目は60~70%、最終週は50%。距離は減らしても負荷は減らさない。(RW, Hutchinson & Mujika
  • 3週間。最初の週は80%、次の週は60%、最後は40%の距離。(RT, Pfitzinger
  • 典型的には2~3週間だが、ニコル・ハントのように3週間を基本としてコーチする人もいる(Competitor, Larkin
  • 短い人は3日。長い人は3週間かそれ以上かけて段階的に練習量を減らしていく(Friel
  • シーズン後期のレースのほうが、前期のよりテーパリングによる恩恵が大きい(Friel
  • 2週間。1週目が70%、2週目は30%の距離にする(RW, Eyestone
  • 最初は2週間で始めてその後微調整する。1週目が80%、2週目は60%の距離(RC, Gaudette
  • 7日前:16~19Kで最後10分はレースペース。3日前:2 x 5分@マラソンレースペース + 3 x 1分 @ 10Kペース。前日:4-5 x 30秒の流し @ ハーフマラソンペース~5K-10Kレースペースのビルドアップ(RW, Magness

ほんと十人十色ですが、マラソンでは2~3週間が多いようですね。年齢やシーズン前後半も加味して微調整する人もいるようです。

わりと共通した意見が、「距離は減らしても負荷は減らさない」ということ。テーパリングについての著書(英語)もある生理学者&コーチのIñigo Mujikaさん(RW, Hutchinson & Mujika)や、日本でも有名な「アドバンスト・マラソントレーニング」の著者として知られる元ランナー&生理学者のピート・フィッツィンジャー氏も同じ意見(RT, Pfitzinger)ですし、他にもちらほら同じことを言っている人がいました。最初に走行距離を落とし、次に負荷を落とすというオプションもありだそうです(RW, Hadfield)。

中長距離のトップ選手にコーチするスティーブ・マグネス氏は、負荷を増やす立場。ピーキングの手法としてテーパリングとシャープニングを次のように定義しています。テーパリング:距離を大幅に減らし、負荷を少しだけ上げる。シャープニング:距離はそのままか少し減らし、負荷も少し減らす。現役アスリートの方は、彼の著書(後述)をご参照ください。

そうそう、それから1週間前以降の仕上げ・調整にインターバル走を勧める人はいても、ロング走(30K~)を勧める人は見当たらなかったです。プロ競技者の方のログを見ると数日前にロング走している方もいますが、市民ランナーはやめておいたほうがいいと思われます。

マラソン以外のテーパリング

各距離ごとのテーパリングをまとめてみます。

5K
  • 1週間。30%の距離に減らす(RW, Eyestone
  • 2週間。最初の週は80%、次の週は50%の距離(RT, Pfitzinger
  • 1週間。1週間前に6 x 400m@1マイルレースペース(r=同時間)、3日前に8 x 200m@5Kレースペース(r=200m jog)、前日に6 x 100mの流し @レースペースかそれ以上(RW, Magness
10K
ハーフ
  • 1.5週間。50%の距離(RW, Eyestone
  • 2週間。最初の週は70%、次の週は50%の距離(RT, Pfitzinger
  • 2週間。1週目は日曜に16~22Kのロング走、平日は30分、週末に45分。2週目は火木に30分、金に1.5~3K走っても良い。(RW, Galloway
ウルトラマラソン
  • ウルトラランナー&レースディレクター、アンディ・ヒューワット氏:「ウルトラではレースに向けて徐々に練習量を増やしていく"reverse taper"(逆テーパリング)を採用する人も多い」「熟練者は量を減らし強度を上げていくが、初心者は量を減らすだけが良い」(ULTRA168
  • 100Kウルトラマラソン世界記録保持者、砂田貴裕さんのテーパリングアドバイスが、ちゃららさんの記事に!

ウィキペディアにも、「レース距離に比例してより長いテーパリング期間が必要だが、ウルトラマラソンと複数日にまたがるようなレースは例外」(Wikipedia: Tapering)というような記述がありましたが(ソースは不明)。逆テーパリングは斬新でしたが、ウルトラの練習はスピードを出さない分、ダメージ回復をそこまで考えなくていいのでしょうかね。

テーパリングは陸上競技以外にも、水泳、自転車、トライアスロン、ボート、スキーなど幅広い競技で導入されているそうです。「自転車では、ランニングよりテーパリング期間が短い。ランニングのほうが脚へのダメージがあり、回復させる必要があるからだ」(Friel)とのことで、他の種目も同様のことが言えそうです。

レストオンリー vs 低負荷 vs 高負荷テーパリング

カナダ・マックマスター大学の1992年のテーパリング研究がいろいろな記事で引用されていたので、紹介します。彼らは週80K走る大学生クロスカントリー選手を使って、次の3種類のテーパリングを比較した実験を行っています。
  • レストオンリーテーパリング(ROT):完全休養、練習距離0%
  • 低負荷テーパリング(LIT):低負荷(30Kイージー)、練習距離38%
  • 高負荷テーパリング(HIT):高負荷(500mインターバルで10K)、練習距離14%
さて、完全休養は理想のテーパリングなのでしょうか・・・?それともある程度運動したほうがいいのでしょうか?

実験では被験者に週6で8週間練習してもらっています。その後ランダムに3つのグループに分け、それぞれ違う種類のテーパリングを1週間して、その前後の走力テストで違いが出るかチェック。そして4週間練習し、別のテーパリングを試した後、走力テスト。最後にまた4週間練習し、まだ試していないテーパリングを試した後、走力テストをもう一度。というように、各自が全種類のテーパリングを行うよう実験しています。その結果・・・

テーパリングの効果比較
  • レストオンリーテーパリング(ROT):走力3%減少
  • 低負荷中量テーパリング(LIT):走力6%増加
  • 高負荷低量テーパリング(HIT):走力22%増加

上は、テーパリング前後での「走力」の違いです。ここでの走力とは各自の1500mのレースペースでトレッドミルを何秒間走れたか。HITにはテーパー前後の走力に統計的有意差(p<0.05)がみられたとのこと。

他にも、クエン酸シンターゼ(酵素)の量はHITで増加、ROTで減少。筋グリコーゲン貯蔵量はROTとHITで増加、血流はHITで増加、ROTで減少、筋力はすべてで増加が見られたそうです。

この論文、被験者数が少なかったり(n=9)、テーパリング期間が1週間だったり、マラソン走力に直結した走力評価か、など突っ込みどころはいろいろある気がします。ただ引用数も多く、その後のテーパリング研究に影響を与えたようです。

カーボローディング中はロング走をするとグリコーゲンを使ってしまうのでだめと聞きますが、それとも合った結果になっていますね。

「距離は落として負荷は落とさない」の原則も影響を受けているのか、この研究の結論と合致してます。オレゴンプロジェクトもインターバルなどで高負荷のテーパリングを採用していて、この研究結果と同じ方向性を感じました(前述Magnessや後述MSTS参照)。レース前のいわゆる「刺激走」というのも、HITと同じような効果を狙ったものなのかもしれないですね。


参考文献:
Shepley, B., J. D. MacDougall, N. Cipriano, J. R. Sutton, M. A. Tarnopolsky & G. Coates. 1992. "Physiological effects of tapering in highly trained athletes". Journal of Applied Physiology. 1992 Feb;72(2):706-11. (PubMed)

トップアスリートの方法

やはり人によって違いますね。

5,000m~10,000m
  • モハメド・ファラー&ゲーレン・ラップ(ロンドン五輪10,000mの1位、2位):マラソン選手ではないですが、オレゴンプロジェクトで練習する両者のテーパリングは、高負荷のスプリント走(ラップはレース前日に100m11秒!)や硬いサーフェスで追い込むのが特徴で、ランナーズワールド記事内ではこのテーパリング手法をMagness-Salazar Taper System (MSTS)と呼んでいます(RW, Burfoot)。鍵は「マッスル・テンション」(RW, Magness)。テーパリングというより、もっと範疇の広いピーキング?

追記:ラップが2014/5/30に地元オレゴンPrefontaine Classicにて10000mの北米新記録(26:44.36)を出しました。2週間前の5/15にはUSATF Oxy High Performance Distance Classicにて5000mを13:19で走ったのが、5/30の今大会では「後半5000m」をたった13:18で走っています。

信じられないぐらいの違いですが、インタビュー(LetsRun)よれば地元オレゴンに帰ってきて、テーパリング期間をより取れたことが差を生んだ秘訣だったそうです。余談ですがインタビューアーの印象では、さらにメンタル面も違いを及ぼしたかもしれないとのこと。奥さんが双子を身ごもっていることの報道もあり、地元で安心して走れたのが良かったんでしょうね。


マラソン


ウルトラマラソン
  • 世界各地のウルトラレースで複数の優勝経験を持つランナー、マーティン・フライヤー氏「24時間以内に終わる距離のウルトラ前は、3週間徐々に減らし、最後に急に減らすテーパリングを採用。その代わり強度・スピードは徐々に上げる。」(ULTRA168
  • オーストラリア100マイル記録保持者、マイク・ルルー氏「7~10日間。最終ロング走のあと急に練習量を落とす。」(ULTRA168
え、24時間以内にって、それ以上かかるウルトラあるんですね((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


持久系スキー競技(クロスカントリー・バイアスロン)

11人のオリンピック・世界王者レベルの選手のテーパリング実態を調べた最近の研究(論文)によると、これらの選手はそれほど練習ボリュームを減らしていなかったことがわかったそうです。下図を見ると、理論上適切なテーパー量(点線)との乖離が見られます。



休養・回復と走力の関係

テーパリングで何が起きるか

50ものテーパリング関連の論文をサーベイしたという論文によると、テーパリングの効果は次の通り。「練習で失われた筋肉中のグリコーゲン貯蔵量、酵素、抗酸化物質、ホルモンが適切な範囲まで回復する。筋肉へのダメージも回復。免疫力と筋力も向上し、レース前の風邪や怪我を防げる。テーパリングによるパフォーマンス向上は平均3%。これはマラソンでは5~10分のタイム短縮に相当する。」(RW, Cooper

病み上がりなのに大会優勝、PB更新の事例

以下、長距離自転車の有名なコーチ、ジョー・フリール氏のブログ記事「歴史の教訓~ザトペック効果」(英語)に載っていたエミール・ザトペックという選手の話です。

インターバルトレーニングの創始者で、ものすごい練習量で知られていた選手だったそうですが、大会前に風邪を引き、何日も入院をせざるを得なかったことがあったそうです。大会2日前に退院できたものの、当然ドクターストップ。でも走っちゃいました。その結果、5000mと10000mで優勝。世界記録に次ぐタイムだったそうです。

他にもいろいろなスポーツで、大会直前に怪我をしたり病気になって数日~数週間に練習できなかったにも関わらず大会で自己ベストを出す例を多く見てきた、とフリール氏は語っています。

レース前の回復が重要、というのは経験的になんとなく知られていたことなんですね。

○○日間走らないと走力はどれだけ落ちるか

ジャック・ダニエルズ氏のレストについての講演動画(Youtube, Daniels)を見ていたら、練習を突然止めたらどのぐらいで体力が落ちるか、について語っているシーンを見つけました。

デトレーニングの体力低下について
(写真:Youtubeよりキャプチャ)

ダニエルズ氏曰く、「5日間何もしなくてもフィットネスレベル(体力)は全く落ちない」そうです。

写真のホワイトボードの曲線は、体力レベル。トレーニングにより山の一番上のレベルに達した状態から練習をやめてもなかなか落ちないそうで、10~20日全く練習しないと少しだけ落ちる、と山のちょっと下がった所を指さしています。もちろん彼の見ている現役アスリートの話でしょうし、誰にでも当てはまるかはわかりません。ただ思っていたより落ちないようで、参考になる話でした。

また彼は「休養はサボりではなく練習の一部である」、と強調しています。

ダニエルズ氏は運動生理学者なので、適当に言っているのではなく、ちゃんとデータから裏付けを取っています。もうちょっと長いスパンで調べたダニエルズ氏の研究では、マラソンランナーたちに1年間、週160kmの練習を積ませ、そこから突然87日間練習をストップさせたそうです。筋生検(筋肉の一部を切り取り、顕微鏡などで筋組織の状態を検査する手法)で調べると、練習前と比べ筋力は5~10%しか落ちていなかったそうです。呼吸系はもっと速く落ちても、またすぐ戻ってくるとも言っています。

ちなみに別の研究では、VO2max(最大酸素摂取量)は1~7日のディトレーニング(練習中止)ではほぼ落ちず、10~14日で6%、14~30日で12%、30~63日で19%減少というデータなっています(RC, Gaudette)。

ちょっとテーパリングの範囲からは離れますが、では、怪我や環境の変化などで数年単位で練習をストップして筋肉は一度落ちたら場合は、戻りにくいのでしょうか?答えは、一度鍛えた筋肉はすぐ戻ることが経験的に知られているそうです。例えば3年かけて鍛え、競技から離れて元の体型に戻っても、半年ぐらいで鍛えていた水準に戻せる、というような感じ。これは、マッスルメモリー(筋肉の記憶)と呼ばれる現象で、近年理論的背景が明らかになってきているとのこと(じてトレ)。

もっと知りたい方は、「トレーニング中断するとどうなる? -”衰え”とその対抗策を科学する-」(PDF)という名古屋大の講義スライド(?)が詳しいです。スピード・持久力に分けてディトレーニングのメカニズムがわかりやすく説明してあります。


テーパリング中の落とし穴

テーパリングで陥りがちなミスを集めてみました。

オーバーテーパリング

オーバーテーパリング、つまり、テーパーインということで急に休みすぎてしまうのは、良くないそうです。自己ベスト2:22の元マラソンランナーでもあるコーチジェフ・ゴーデット氏がテーパリングのミスを取り上げた記事2つでは、両者ともありがちなミスとしてあげられていました(RC, GaudetteCompetitor, Gaudette)。また、他の記事でも触れられていました(RT, McMillan)。

テーパーレス

つまり、テーパリングしないことですね。ハドフィールドコーチはそれでいける人もいることはいないが、ほぼベストじゃない状態で走るハメになる、というようなことを言っています(RW, Hadfield)。

無理なロング走

レースが近づくと、最終仕上げとしてロング走を入れたくなりますよね。ハドフィールドコーチによれば、26kmだったのを32kmにするといったように、距離を伸ばし過ぎないほうがいいそうです(RW, Hadfield)。

怪我や疲労のリスクもあるので、1~2回のロング走より、ベストなコンディションでスタートラインに立つことを優先したほうがいいとのことです。

同コーチは、不安から1~2週前にロング走を詰め込むのもダメ、とも言っています。疲労リスクとともに、心理的にも逆に不安になったりしてマイナス効果のようです。

レース前にどうしても不安になってしまう人には、こんな解決法もあります(RW, Kuehls)。
  1. 練習日誌を振り返って自信をつける
  2. ジョギングの間に3~5kmレースペースで走ってみる
  3. 目標タイムの他にダメだった時の第二目標タイムを設定する

慣れないことをする

ゴーデットコーチは、自信をつけるためのスピード練習やタイム予測のためYasso 800sをするのは良くないとしています(RC, Gaudette)。ちなみにYasso 800sの記事に書きましたが、私は前回のマラソン前にやってしまっています(∀`*ゞ)テヘッ

ハドフィールドコーチは、新しいシューズはもちろん、新しい辛い料理、家のペンキを塗り替えるなど、新しいことをあまりしないように薦めています(RW, Hadfield)。辛い料理はたしかに危ないですね~。

テーパリング中はメンタル面で特に不安定になる傾向があるそうなので、新しいことをするとイライラして良くないのかもしれないですね。ちなみにテーパリング中にイライラしたり不安になる現象は、"temper tantrum"(かんしゃく)にかけて、"taper tantrums"と呼ばれているそうですw(Today's Parent)。


すでに慣れないことをしてしまっている人は、落とし穴と言われてますます不安になってもしょうがないので、気休め程度に思うのがいいでしょうね。私なんて、新しいシューズ、ソックス、ウェアといろいろ買ってますし。(・ω<)  テヘッ (・・・でも、事前に十分慣らしはする予定です。)

体重増加を心配しすぎる

※マラソン以上の距離を走る人の場合です。

ゴーデットコーチによると、レース1週間前は下手に減量するより、カーボローディング(=グリコーゲンローディング)で体重が増えたほうがましだそうです(RC, Gaudette)。

重くなるのは当然で、グリコーゲン1対水3の割合で体重が増えます。元の体重にもよりますが1~2kg重くなるのが成功の証のはずです(RC, Housefieldウィグライ)。

ちなみにカーボローディングの記事に書きましたが、前回のマラソン時、私のカーボローディング開始直前の体重は54kg(ジョギング後は53kg)、レース前日夕食後が58kg、当日朝が56kgでした。


まとめ

テーパリングはレースパフォーマンスの鍵を握るというコーチもいます。

  • 「最後の3週間はマラソン練習で一番重要な期間である」(RW, Cooper
  • 「いいテーパーは絶対に必要不可欠だ。トレーニングの最重要部分である。長距離ランナーにとって、テーパリングを極めるのも仕事のうちだ。」(RW, Burfoot

基本は2週間前後かけて負荷はそのままで距離を減らす」ということに集約できると思いますが、十人十色の方法があるので、個人個人に合った方法を試行錯誤しながらアレンジしてみてください。

長くなってしまい、あまり噛み砕けていないところもありますが、少しでも参考になれば幸いです。


テーパリング本

本文中に登場した人たちの関連著書です。


▲テーパリングとピーキングについてひたすら200ページ以上綴る専門書(英語)。

▲日本でもおなじみの本ですね。英語版ではテーパリングに10ページほど割かれています。

▲2014年発売のマグネス氏の著書(英語)。ピーキングをテーパリングとシャープニングに分けて解説(p.247)し、速筋型と遅筋型など個々に合ったテーパリングカスタマイズ法を紹介。

▲2014年日本語版発売のジョー・フリール氏の著書。この方の専門の一つが期分け/ピリオダイゼーションで、ブログにはいくつもの関連記事があります。



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2 件のコメント:

  1. ちゃらら2013/09/04 18:19

    こ、こんなお役立ち記事にあんな記事をリンクをして頂くなんて…(笑)

    とりあえず今は素直に砂田さんの言う事を聞いて大人しくし始めてます(*^^)v

    フルに関してはテーパリングの情報もたくさんありますが、その分色々迷いも出ちゃいますよね~。自分に合った方法は試行錯誤の中で求めるしかないのかもしれないと思いました!

    返信削除
  2. ちゃららさま

    砂田さん練習会、いろんな意味ですごいですね!
    近場なら参加してみたかったですw

    テーパリング方法は迷いますね!自分は前回あまり距離を落とさず失敗した気がするので、今回はもっとテーパリングしてます。

    ウルトラも情報が全然なかったので、あの記事助かりました♪

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